第32話
翌朝、僕は差し込む朝日の眩しさで目を覚ました。
――いつの間にベッドへ来ただろうか。
昨日は夕飯を食べて、樹とテレビを見てから......それからの記憶がない。
樹はいつ帰った?
そう疑問に思っていると、隣がもぞりと動いた。
「ぎゃーーーー!!」
「......ん。みつき、うるさいよ」
「な、なんで?! 何でいるの?!」
「何でって......光希が一緒に寝てって言ったんだよ?」
「言ってない! 絶対言ってない!!」
僕が必死に否定をしていると、樹は眠そうな顔をしながら笑った。
「昨日ソファーで寝落ちしたじゃん?」
「......え?」
「だから、ベッドまで運んだ」
「......」
「そしたら光希が離してくれなくって、離してって言ったら、『ヤダ、一緒が良い』って......」
僕のバカ!!
ま、まさか一夜の過ちとか......
「安心して。何もしてないから」
「あ、当たり前だー!!」
僕は自分の思っていることが見透かされたように感じて、恥ずかしくなりながら枕で樹を叩いた。
「良かった」
「え?」
「光希がオレを嫌がってなくって」
その一言でオレは何も言えなくなった。
昨夜は無意識にも自分から樹を引き留めたのだ。
――と言うことは。
「......じゃないから」
「え?」
「だから! いやじゃないから!!」
「......」
何でそんな嬉しそうな顔をして固まっている?
"嫌じゃない"ってそんなに喜ぶ事なのか?
僕には分からない。
「嫌じゃないならさ、また泊ってってもいい?」
「......」
「嫌?」
「......嫌じゃ、ない」
「~~光希ぃ」
「うわぁ!!」
樹は感極まりましたと言わんばかりに僕に抱き着いてきた。
重いし、暑苦しい!!
そう思っているとスマホが着信を告げた。
「もしもし? 美咲ちゃん?」
相手は美咲ちゃん。
こんな朝早くからなんだろう?
『もしもし、光希?......もしかしてそこにジュナもいるかしら?』
「え! っと......」
『大丈夫よ。二人が恋人なのはちゃんと教えてくれたでしょう?』
「う、ん。」
『......それも関係することが起きたの。急だけど事務所に来てもらえないかしら?』
――なんだか嫌な予感がする。
僕は了承の返事をしてから美咲ちゃんとの通話を切った。
「......社長、なんだって?」
「事務所に来てほしいって。......なんでもオレ達の関係が関わってるみたいだった」
「......もしかして」
「樹?」
樹の顔は酷く険しくなっていた。
――樹は何か知っている。
そう僕は直感した。
聞きたい。けれど樹は話してくれなさそうだ。
だが、僕もここで引くことは出来ない。
「樹。話して。隠してるのはオレにも関係あるんでしょう?」
「......それは」
「美咲ちゃんから電話が来たってことは、もうオレ達だけの問題じゃない何かが起こったってことだよ」
「......分かった。事務所に行ったら話すよ」
「約束だから」
こうして僕達は身支度をして事務所へと向かった。
――今思うと、一緒に家を出たのはまずかったのだと、その時はまだ気がつかなかった。




