第31話
花恋は固まったジュナの表情をジッと見つめる。
その顔には勝利を確信したような笑みを浮かべている。
「やっぱり、そうなんですねぇ」
「......何のこと?」
「もう誤魔化しなんてききませんよぉ?」
そう言うと花恋は自身のスマホをジュナに見せつけてきた。
そこに映っているのは、先程光希と通話していたジュナの姿だった。
「こーんなに幸せそ言うな顔してぇ。いいんですかぁ? アイドル同士の恋愛なんて」
「......何が言いたい」
「私のパパ、優秀なカメラマンと知り合いなんですよぉ。......気をつけないといつ撮られるか......ね?」
「脅しのつもり? そんな脅しをされてもオレは君の気持ちに応えることは無いよ」
ジュナがそう言うと、花恋は唇をぐっと噛み締めた。
しかしそれも一瞬のこと。
「まぁ、いいです。ジュナさんが私を選んでくれないならぁ......フフッ。これからが楽しみですねぇ」
そう言い残し、花恋は現場へと戻って行った。
一人取り残されたジュナは、スマホをギュッと握りしめ、花恋の去って行った方を睨みつける。
――光希は絶対守って見せる。何が起ころうとも。
***
その日の夜。
「お邪魔しまーす!」
「......声大きい。うるさい」
「だってさぁ、光希の方から誘ってくれたんだよ? テンションも上がるって!!」
......確かに誘ったのは僕の方だ。
だが、ドラマ撮影で疲れているはずなのにこのテンションの高さ......
けれど、どこかおかしい。
どこか影が差して見える気がする。
「......何かあった?」
「......え?」
樹は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして僕を見てくる。
――これは何かあったに違いない。
「オレには話せないこと?」
「......」
「あまりため込まないで。いつか爆発しちゃう」
「光希......ごめん。これだけはまだ言えない。でも必ず、どんな形でもオレが光希を守るから」
――守るってなんだ? 一体何から?
僕はそう疑問に思ったが、樹はこれ以上話してはくれなさそうだった。
「......分かった。もう何も聞かない。でもこれだけは約束して。一人で抱え込まないって。爆発しちゃう前に必ずオレに言うこと。......恋人、なんだから」
「光希......ありがとう。好きだよ。大好き」
「きゅ、急に何......」
「んー? 言いたくなっただけ」
樹はそう言うと僕をギュッと抱きしめてきた。
少し苦しいが、その苦しさも嫌ではなかった。
「ほら、ご飯できてるから食べるぞ」
「わーい! 光希のご飯!! 今日は何?」
「......エビチリとチンジャオロース」
「中華大好き!!」
***
「社長!! 大変です!!」
「?どうしたの?」
「さっきファックスでこんな記事が......」
「?......!!」
『人気アイドル同士の熱愛?! HIKARIとジュナ、深夜の密会!!』




