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美少女アイドルは100匹の猫かぶり!  作者: 朱音小夏


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第26話

 翌日、事務所に行くと、もう既にめろでぃあのメンバーが揃っていた。


「ちょっと、ちょっと! 王子、聞いた?!」

「は、HANAさん? 近いよどうしたの?」

「どうしたもこうしたも!! ジュナのヤツ恋愛ドラマに出演決定だって! 王子と言うものがありながら!!」

「お、落ち着いて? ドラマでしょ? 何をそんな――」


 僕がHANAを宥めていると、AYAが一冊の冊子を見せてきた。

 そこに載っていたのはドラマタイトルと出演者の名前。

 ――主演の欄に載っていたのはジュナの名前と


「......花恋?」

「そー! コネアイドルの花恋!! ジュナの大ファンだからって親の権力使ってもぎ取ったに違いないわ!!」

「......そう」


 ......ジュナが僕以外の女のこと恋愛する。

 ドラマだって分かってる。

 ......だけどこんなにも胸が痛い。


「王子? 大丈夫?」

「......ん。平気だよ」


 その言葉はAYAに言っているように見せかけて、自分に言い聞かせているものだった。




 ***


 あれから数週間後、ドラマ撮影が始まったようでジュナとは会えずにいた。

 僕もめろでぃあの新曲のレコーディングやら振り入れやらで忙しくしていた。

 今日は何やら緊急招集とのことでめろでぃあのメンバーとジュナを除くNOIRメンバーが集められていた。


「皆急にごめんなさいね。どうしても情報共有しておきたいことがあって」


 美咲ちゃんはそう言うと週刊情報誌を取り出し、とあるページを見せてきた。

 ......そこに書かれていたのは――


『ジュナ&花恋、ドラマを越えて熱愛か――?!』


「......なに、これ」

「事実確認はまだなのだけれど、誰かジュナからこのことについて聞いてない?」

「......オレらも初めて聞いたよな、レイ」

「あ、あぁ」

「......HIKARIはどうかしら?」


 皆の視線が僕に集まる。

 その視線はどれも困惑したものであった。


「......僕も何も聞いてません。連絡すら取ってませんし」

「......そう」


 僕はこみ上げてくる涙を唇を噛み締めながらぐっと堪えていた。


(僕......樹が他の誰かに取られるのが怖いんだ)




 ***


 緊急招集から数日。

 世の中はジュナと花恋ちゃんの熱愛報道でもちきりだった。

 僕はと言うと久々のオフで、部屋でただただぼぅっとしていた。

 すると、スマホが着信を告げ始めた。

 ......画面に表示された名前は"樹"。

 僕は出る気になれずスマホを放置した。

 ――それから二時間程経っただろうか。

 ピンポーンとインターフォンが鳴った。

 居留守を使おうかと思ったが、何度も何度も鳴らされ、いい加減鬱陶しく感じ、玄関へと向かう。

 ドアを開けるとそこには今もっとも会いたくない樹の存在があった。


「......何?」

「なんで電話出ないの?!」

「なんだっていいだろ。それよりデカい声出すなよ。......入って」


 目立つと困るため仕方なく樹を部屋に上げた。


「......それで? 何しに来たわけ?」

「光希は、何も思わないわけ?」

「は?」


 何を言い出すかと思えば......


「花恋ちゃんとの熱愛について?」

「そうだよ!! いいの?! オレが光希以外の女の子と噂になっても!!」

「~~言わせてもらうけど! 腕組んだり、キスしたりしてる写真見てオレが何も思わないとでも?!」

「!!」

「......もう待てなんて言わない。オレの、オレだけの樹になってよ......」


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