第24話
収録終わりの楽屋。
ジュナはマネージャに呼ばれて席を外していたためKOUKIさんと二人きりに。
「今日の収録、凄い良かったね。心変わりでもしたかな?」
「......何の話ですか?」
「ん?月下美人はそろそろ咲きそうだねって話」
......KOUKIさんの言うことは難しい。
「ま、かと言って諦めるオレじゃないけどね。......隙あらば掻っ攫ってくさ」
「はぁ」
......それにしてもジュナのヤツ、遅すぎやしないか?
ちょっと様子でも見に行ってみるか。
そう思い僕は楽屋から出ようと扉を開けた。
すると、収録前にジュナに絡んでいた女の子、......たしか"花恋ちゃん"。
その子がジュナと親し気に話していた。
......それにしても甘ったるい喋り方で苦手だ。
ジュナの様子を見ると、どこか困った様子であった。
「あーらら。また捕まっちゃたんだねぇ」
「KOUKIさん?」
「あの子、業界でも有名な"コネアイドル"らしいよ。オレもさっき聞いた」
「"コネアイドル"?」
KOUKIさん曰く、所属しているのは親のやっている事務所で、仕事も親のコネでとって来たものばかりで、各業界もなかなか逆らえない存在らしい。
......なるほど。それで"コネアイドル"。
「ジュナ」
「!あ、HIKARI......」
「KOUKIさんが奢りで打ち上げしようだって」
「え?!オレ?!」
......ごめんなさい、KOUKIさん。
でも、これもジュナを取り戻すため......
「ごめんね、花恋ちゃん。オレはこれで......」
「あぁん。ジュナさぁん!!」
ジュナがこちらへとやって来ると、小声で「助かった。ありがとう」と笑いかけてくれた。
その様子を見ていた花恋ちゃんは......僕をジトリと睨みつけていた。
どうやら目をつけられたらしい。
でもそんなの気にしてられない。
......ジュナは"オレの"だ。
「君も厄介なのに目をつけられたものだねぇ」
「ホント勘弁してもらいたいですよ......なんでオレなんかを......光希もありが......光希?」
「......あの子のこと、なんとも思ってない?」
「光希さん?」
「......!!なんでもない!!」
僕は思わず変な事を言ってしまった。
どうしよう。僕、とんでもないことを口走ってしまった。
顔に熱が集まるのが感じられる。
僕はどうしようもなくて、楽屋の隅に身を寄せしゃがみ込む。
「光希ちゃーん。自分で言ったんだからね。オレちゃんと奢るから支度してー」
「光希?さっきなんて言ったの?」
「だから!なんでもないって!!」
......ジュナのヤツ、絶対ニヤニヤしてる。
なんなら、KOUKIさんもニヤニヤしてる。絶対してる。
「......僕、何にも言ってないから」
「うん」
「だから......その」
「大丈夫。ゆっくりで、光希のペースでいいから」
......くそ。こういうところでも優しさを見せるからズルい。
ますます好きになってしまうじゃないか。
僕は立ち上がると、サッサと支度を済ませる。
「KOUKIさんには高級焼肉奢ってもらいますからね!」
「光希ちゃん?!」
「さんせーい!!それじゃあ行きましょうか」
僕らは揃って楽屋を後にする。
――その様子を花恋ちゃんが睨みつけているのには気がつかなかった。




