第23話
「それじゃあ、本番開始しまーす!!」
いよいよテレビ撮影が始まった。
ジュナはと言うと、カメラに映っていないときに手を握ってきたり、耳元で囁いてきたり......
僕は二重の意味でドキドキしっぱなしであった。
「......ちょっと、カメラに映ってないからって好き勝手し過ぎ」
「とは言いつつ、嬉しいんじゃないの?」
「~~!!」
「痛った!!」
僕は我慢ならず、ヒールで思いっきりジュナの足を踏みつけた。
ジュナはと言うと、あまりの痛さに涙目になっている。
そんな僕らを見て、KOUKIさんはため息をついている。
「ジュナ。HIKARIちゃんの言う通りだよ。いつカメラに抜かれるか分からないんだから」
「羨ましいからって、嫌味言うのはやめてくださいよ」
「......君ねぇ」
......このままでは喧嘩勃発してしまう。
なんとか納めなくては......
「ジュナもKOUKIさんも。喧嘩はよしてください。パフォーマンスに影響しますよ」
「......HIKARIちゃんに言われたら仕方ないね。ジュナ。この勝負は一時期お預けだ」
「まぁ、オレの勝ち戦ですけどね」
「......ジュナ」
――なんでこうも僕絡みになると子供っぽくなるのであろうか。
これも『好きだから』というのだろうか。
僕には分からない。
そんなことを思っていると、いよいよ僕らの出番となった。
「HIKARI」
「?」
「好きだよ」
「!!」
ステージに上がる瞬間に囁かれる甘い言葉にくらくらしそうになる。
そんな僕を見て満足そうにステージに立つジュナ。
......くそ。こうなったらパフォーマンスで見返してやる。
――イントロが流れ始め、僕らは曲に集中する。
そして歌い始めると、ジュナの熱い視線が僕をつらぬく。
あぁ。この視線が心地が良い。
ずっと浴びていたい。
そんなことを思っているとあっという間にパフォーマンス時間が過ぎていった。
自分で言うのもなんだが、今回のパフォーマンスは過去一じゃなかったか?
観客席からも割れんばかりの拍手が溢れかえっていた。
「......気持ちいい」
僕は思わずそう呟く。
すると、ジュナもKOUKIさんもそれに同調するように手を差し出してきた
僕はその二つの手に思いっきりハイタッチをする。
「最高のパフォーマンスをありがとうございました!!」
司会者がそう言うと、僕はカメラが回っていたのを思い出した。
......プロのアイドルだというのに不覚である。
でも、カメラを忘れるくらい最高のパフォーマンスが出来たのはたしかだ。
ジュナもKOUKIさんも、皆いい顔をしている。
「さぁ、戻りましょうか。お姫様?」
ジュナはそう言うと僕に手を差し伸べてきた。
「......からかわないで」
そう言いつつも僕はその手を取った。
今回のパフォーマンスで自覚した。
――僕はジュナが、樹が好きなのだ、と。




