第20話
MVの撮影はどうだったかと言うと、スタッフ全員が好評する出来となっていたらしい。
「いやぁ、三人とも。いい演技だったよ!いいMVになりそうだ」
監督からも絶賛の言葉が送られた。
嬉しくもあったが、僕はこれからが問題だった。
――ジュナとKOUKIさん。
この二人とどう接していていくべきか......
「光希」
「......?」
「さっきのこと、気にしなくていいから」
「......え?」
(気にしなくていい?なんで?どうして?僕の気持ちはもうどうでもいいの?)
僕の心を乱すだけ乱して、あとは放置とか酷いヤツだ。
"気にしなくていい"。なんて残酷な言葉だ。
僕は二人きりの空間からいなくなろうとしたジュナの腕を引き、壁に押し付けた。
そして、睨みつけると、キスをした。
ジュナは目を大きくして、驚いた様子で僕を見つめた。
「......みつ、き?」
「......とか、言うな」
「え?」
僕は涙を流していることに気づかなかった。
ただただ、気持ちが溢れて仕方がなかった。
「気にしなくていいとか言うなよ!オレにこんな気持ちにさせといて!!」
「み、光希さん?」
「お前なんか、好きになってたまるかって思ってたのに!!」
......僕は今、何と言った?
これじゃあ、まるで......
「光希、それって告白、だと思ってもいいの?」
「ヒェ......」
「オレの事好きになってくれたの?」
「~~!!うるさい、うるさい!!」
僕は自分でも気づかないうちに、告白のような発言をしてしまったようだ。
ジュナの顔を見ると、とてつもなく嬉しそうな顔をしていた。
......くそう。顔が良い。
「光希、好きだよ」
「......知ってる」
「光希は?オレの事好き?」
「......知らない!!」
こんなやり取りでもジュナはとてつもなく嬉しそうだ。
終始笑顔で僕の事を見てくる。
「見せつけてくれるなぁ」
「!!KOUKIさん!!」
「......月下美人はやっぱり月下美人だったか」
KOUKIさんはよく分からないことを呟いていた。
......あの花がなんだというのであろうか?
「言っただろう?"簡単に手に入らない"って。......でも、諦めたわけじゃないから」
「......は?」
ジュナがとてつもなく低い声を出した。
顔を見ると、鬼の形相でKOUKIさんを睨みつけている。
「そんな怖い顔しないでおくれよ。恋のライバルがいた方が燃え上がるだろう?」
「おあいにくさま。オレの恋はどうやら成就するようなので」
「~~!!樹!!」
僕は思わずジュナのことを【樹】と呼んでしまった。
それを聞いたKOUKIさんは、やれやれ。と言わんばかりに首を横に振った。
「相思相愛のようだね。......でも恋は障害が大きいほど燃えるってもんだよ」
「......つまり、光希のことを諦める気はない、と?」
「もちろん!」
僕はこれから続くであろう、困難な未来に頭を抱える羽目になった。




