第19話
(あー!!バカバカ!!オレのバカ!!)
(何であんな、き、キスなんか!!)
僕は自分の行動に猛烈に反省していた。
顔どころか、身体中の血液が沸騰してしまっているかのように熱い。
助かったのは、あんだけ大声を出していたというのに、誰にも見られていなかったと言うこと。
......これから、ジュナとの撮影なのに乗り切れる気がしない。
「光希ちゃん」
「KOUKIさん?」
考え事をしているとKOUKIさんが声をかけてきてくれた。
一人でいるとさっきのことを思い出してしまうのでとても助かるが......
「......なんで、さっきキス、したんですか?」
「答えは無いよ。ただ君が好きだから。それだけ」
「それだけって......」
「恋愛は身体が勝手に動くものだよ?深く考えちゃ、ダメ」
KOUKIさんはそう言うと僕の頬に触れた。
しかし、それも一瞬で、誰かに背後から肩を掴まれ抱き寄せられた。
もう、こんなことをするのは一人しかいない。
「......KOUKIさん。必要以上に光希に触れるのやめていただけますか?」
「それは君が決めることなのかなぁ?」
KOUKIさんはそう言うと僕の方に視線を向けてきた。
――これは僕に答えを出せと言うことか。
「......KOUKIさんにも、ジュナさんにも言っておきますが、僕の恋人は"ファン"の皆です。だって僕はトップアイドルですから」
「それはそうだね。でも――」
「それでもオレは光希の"特別"になりたい」
ジュナの真剣な眼差しが僕に突き刺さる。
僕は先程の件もあり、思わずドキッとしてしまった。
......そんな事をしていると、僕とジュナは監督から呼ばれてしまった。
「......一先ず、この話は終わりにしようか。今日は撮影に集中しよう」
KOUKIさんはそう言うと、僕らの元から去って行った。
「......光希。また後で話そうか」
「......うん」
僕はそう言うと監督の指示に従いながらMVを撮っていった。
――ジュナは笑顔でいるがどこか寂しそうだ。
その表情がMVの雰囲気とマッチしていてスタッフから好評だった。
「――こんなに人を好きになった事は無いんだ」
「でも、僕は......」
「分かってる。でもこの想いをどうしても伝えたかったんだ」
そう言うと、ジュナは僕を思い切り抱きしめた。
――これは演技だ。
それなのにこんな想いをジュナにさせているのが何故だか心苦しい。
「これが最初で最後だから――」
「......んン」
台詞とは裏腹に、僕らは何度目かのキスをする。
僕はそれが心地よくて......離れがたかった。
触れるだけの優しいキス。
ジュナの気持ちがそこに込められているようで......
「......き」
「え?」
「な、何でもない。忘れて......」
――僕は今、なんて言おうとした?
無意識に出かけた"好き"と言う言葉。
僕の中でジュナの存在が大きくなっている。
それも僕は気づこうとしないでいた――




