第18話
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曲も出来上がり、レコーディングもすんなりとやりこなすと、とうとうMVの撮影だ。
僕の衣装は事務所で着させられた淡いピンクのワンピースに白いミュール。
それを引き立たせるかのように、僕の両側を挟んで、ジュナとKOUKIさんが立っている。
「それじゃあ、まずはHIKARI とKOUKIがデートをするシーンから!」
監督の合図で僕らは手を繋ぎ歩き出す。
KOUKIさんの視線はとても愛おしいものを見るかのようなものであった。
......きっと、演技の中にも僕への想いを織り込んでいるというのが身をもって感じられる。
「この花、光希みたいだ」
「......僕?」
KOUKIさんが示したのは一つの鉢植えだった。
花は咲いていないようだが、それでも存在の大きさを放っていた。
「知ってる? 【月下美人】って言うんだ」
「......どうしてそれが僕みたい、だと?」
僕が問いかけると、KOUKIさんは一息おいて、僕の手を握った。
「......綺麗なのに簡単に手に入らないところ、かな?」
「......僕は花じゃありません」
僕は顔をふいと背けてしまう。
だが、KOUKIさんは僕の顎をクイッと持ち上げ視線を合わせると、真剣な眼差しを向けてきた。
「光希ちゃん。......どうすればオレを見てくれる?オレだけを......」
そう言うと、KOUKIさんは僕を抱き寄せ、僕にキスをしてきた。
――周りの空気が一気に変わった気がした。
これは撮れ高を上げるチャンスだ。
僕はそのままKOUKIさんの背にそっと腕画を回した。
「――カーット!! イイよイイよ!! すごくいい画がとれた!!」
「「ありがとうございます」」
僕は少し気まずいながらもジュナの隣の椅子に腰かけた。
ジュナは目に見えて不機嫌になっている。
「......キスするなんて聞いてない」
「お、オレだってびっくりしたんだぞ!!」
「でも受け入れてたじゃないか。......あの時のことはハッタリ? オレをその気にさせるだけさせてさ......」
「ち、違う!! オレは本気で!!」
「......KOUKIさんの所に行きたければ行けば?」
「――!! 分からず屋!!」
僕はムカついて、ジュナの胸ぐらを掴み、キスをした。
......自分でも何でこんなことをしたのか分からない。
ただ、ジュナの口からKOUKIさんの元へ行けと言われたのが気に食わなかった。
「お前は!! オレが好きなんだろう?! そんなキス一つで諦められるような思いならこっちから願い下げだ!!」
「......光希」
「......何で、オレの心をこんなにも乱すんだ!!」
僕はもう人がいるのも忘れて好き放題叫んだ。
「好きなら自信もって好きでいろよ!! バーカ!!」
僕は捨て台詞を吐いてジュナの元を離れた。
背を向けた僕は気がつきもしなかった。
ジュナが耳まで顔を真っ赤に染めているのに。
「......反則だろう。光希」
そう呟きながら自身の唇に触れるジュナの姿にも。




