第17話
「お待たせしましたー」
「......どうかな、光希?」
現れたのはどこかどう見ても完璧なイケメン。
......僕はこれからこのイケメンに取り合われるMVを撮るのか。
そう思うと気が重くなるのを感じた。
KOUKIさんは白いシャツに黒いジャケット。
流石ソロアーティストをやっているだけあってシンプルなデザインなのに立っているだけで様になっている。
ジュナは黒いTシャツにシルバーのアクセサリーが輝いていて、アイドルをやっている時よりも大人な雰囲気が出ている。
「ふ、二人とも、カッコイイです!!」
「【光希ちゃんは】、どっちと恋したい?」
「......え?」
僕はバッとジュナを見ると手を合わせて謝っていた。
......なんだか、責める気も失せてきた。
それに......
「KOUKIさん、僕の事【光希】って呼んでいいのはジュナさんだけなんです」
「別にいいじゃない。僕にも呼ばせてよ。ね?」
「......ハァ。分かりました」
「やった♡」
僕と言うのは本当に押しに弱すぎる。
......何故かジュナまで絶望顔をしているのは謎であるが。
「光希!オレだけじゃないの?!」
「そもそも、ジュナさんが人前で呼ぶから、KOUKIさんに伝わったんじゃないですか」
「......すみません」
「......まぁ、譲歩して二人きりの時は"名前"で呼んであげますよ」
そう言うと、ジュナは機嫌が最高潮になるくらいに喜んでいる。
たかが名前一つでこんなに......
そう思っているとKOUKIさんが先程の質問を再度してきた。
「ねーねー。だから、光希ちゃんはどっちと恋愛したいと思う?」
「......KOUKIさん。僕も一応男なので、どっちと恋したいかと問われましても......」
「ふーん。じゃあさ......」
「?!」
KOUKIさんはいきなり僕の腕を引っ張り抱き寄せたのであった。
「撮影が終るまでに、オレを好きにさせてみせる。覚悟しておいて?」
「ちょ、KOUKIさん?!」
KOUKIさんはそれだけ言うとスタッフの元へと歩いて行った。
......僕は何だか気が重くなっていた。
すると、背後からバックハグをされた。
......ジュナだ。
「......光希、オレから離れないで。オレだけのそばにいて」
「ジュナ、さん?」
......こんなに弱々しいジュナは初めて見た。
「こんな気持ち、光希が初めてだよ」
「え......」
「......ごめん、忘れて」
......ダメだ。
こんなジュナを一人にしたくない。
僕は思わず、去ろうとしたジュナを抱き止めた。
「?!......光希?」
「オレは......オレは、その。今の樹のこと知らない。だから、教えてほしい。"今の樹"を」
「光希?それって......」
「よ、用件はそれだけ!もう行っていいよ」
僕は思わず素が出てしまったが、そんなこと知った事ではない。
何故だか、ジュナに傷ついて欲しくなかった。
ただそれだけ――




