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美少女アイドルは100匹の猫かぶり!  作者: 朱音小夏


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第16話

「お、お待たせしました......」

「「!!」」

「あら!可愛らしいじゃない!HIKARIの可愛らしさが全面的に押し出されてていい感じよ」


 美咲ちゃんからは大絶賛だった。

 他のスタッフさん達も可愛い可愛いと言ってくれる。

 ......問題の二人はと言うと。


「HIKARIちゃんホントに男の子なんだよね?」

「......社長から説明があったんじゃないんですか?」

「いや、そうなんだけど......。ヤバい。可愛すぎ」


 KOUKIさんは耳まで顔を真っ赤にしながら僕を見下ろしている。

 ......どうやら僕はしっかり"女の子"になれているようだ。

 それに安心していると、背後からガバリと抱き着かれた。

 誰かは言わなくとも分かるであろう。


「ちょ、ジュナさん!何してるんですか?!」

「......可愛すぎる光希が悪い」

「は、ハァ?!なんですかそれ!いい加減にしてください!!」


 僕は助けを求めようと辺りを見渡すが、皆微笑ましそうに眺めるだけ。

 しかし、美咲ちゃんは違ったようであった。


「ハイハイ。三人とも!恋愛劇を始めないの!」

「「だって可愛いんだから仕方がない!!」」


 おっと。息ぴったりである。

 そんな息ぴったりな二人はハモったのが面白くなかったのか睨み合っていた。

 美咲ちゃんは二人をため息交じりに見つめると、二人に衣装を渡して着替えるよう指示した。

 二人は名残惜しそうにこちらを見るが知った事ではない。




 ***


 ジュナとKOUKIは追い出されるかのように着替え室へと追いやられた。

 相も変わらずその仲は犬猿の仲と言ってもいいであろう。

 何せ"恋のライバル"なのであるから。


「いやぁ、悪いねジュナ君。今回は僕がお姫様を掻っ攫わせてもらうよ?」

「......所詮MVですから。撮影が終ったら光希は返してもらいます」

「......前々から思っていたけれど、君はHIKARIKちゃんの事を【光希】って呼ぶよね?」

「それがなにか?」


 KOUKIは、面白い事を思いついたかのようににやりと笑って見せた。

 ジュナは、『なんだか、嫌な予感がする』と思いながらその視線を受け取った。


「なら、オレが【光希ちゃん】って呼んでも構わないよね?」

「は?」

「本名なんでしょ?オレ、もっとあの子と仲良くなりたいから。うん。いいね【光希ちゃん】」


 ジュナは初めて人前で【光希】と呼んだことを後悔した。

 ......もしかすると光希自身が嫌がるかもしれない。

 そんな淡い期待を抱かざるを得なかった。




 ***


 ジュナとKOUKIさんが着替えに行った後、僕は女性スタッフさん達から質問攻めにあっていた。


「HIKARIちゃんは実際どうなの?」

「どっちのことが好き?」

「やっぱり長い事ファンでいてくれてたジュナ?」

「いやいや!ここは大人の色気のあるKOUKIでしょう!」

「「「「さぁ!どっち?!」」」」

「どっちと言われましても......僕も男なので......」


 女性とは恋バナになると恐ろしくなるものなのか。

 一つ勉強になりました。

 そう言えば、めろでぃあでも恋バナが上がると、僕は蚊帳の外になるなぁ。

 今度からは席を外してあげるべきだろうか。

 そんな的外れな事を思いながら、二人が戻ってくるのを待った。


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