第15話
「ハイハイ!盛り上がっているところだけど、これからのスケジュールについて話すわよ」
美咲ちゃんの言葉で盛り上がっていたのが嘘かのように静まり返った。
流石は社長だ。
「曲は今製作中で、今週中には上がってくるとのことだから。来週にはレコーディングに入ってもらいます。MV撮影はその後。......とは言ったものの流石にそれまで何もしないのはなんなので、これから衣装合わせに入ります!」
衣装合わせか。
......ちょっと待て。
僕が男であることはKOUKIさん以外は知っている。
つまり、KOUKIさんは知らないと言う事。
「みさ、社長!!」
「あら?HIKARI?どうしたの?」
「......僕の事KOUKIさんには......」
「あぁ。大丈夫よ。あらかじめ説明済み」
説明しちゃったのか......
ん?だとしたら何故ジュナに張り合うのだろうか?
普通男と知ったらガッカリするようなものだけれど。
「......もしかして、ホモ?」
「HIKARIちゃん?!違うから!オレはHIKARIちゃんだから興味がわいただけ!!」
「でも、僕男ですし。ジュナさんだけかと思ってましたよ。ホモは」
そう言った瞬間に、二人が膝から崩れ落ちた。
......なんなんだ一体。
そんな二人をよそに、美咲ちゃんとスタッフさんが大量の衣装を持ってきた。
「さぁ、まずはHIKARIの衣装から決めていきましょ!私の一押しはこの淡いピンクのワンピース!HIKARIと言えばピンクでしょう!......と言う訳で。HIKARI!これに着替えて。あ。ここでじゃなくて隣の部屋でね?いくら知っていても夢が壊されちゃう子もいるから」
?"夢が壊される"とはどういう事だろうか。
僕は渡されたワンピースとそれに合わせたミュールを持って部屋を移動した。
***
「社長ナイスっす!」
「いくら知ってても目の前で着替えられると、どういう目で見ていいか分かりませんもん」
「......貴方達HIKARIガチ勢だものね」
「あ!おとこの娘だからと言ってファンは辞めませんよ!もちろん!」
どうやらHIKARIファンはスタッフの中にもいるようである。
HIKARIはその可愛らしさからはもちろん、時々出る紳士的な対応から女性ファンも多くついている。
「でも、HIKARIちゃんはジュナとKOUKI、どっちとくっつくのかしら」
「オレはHIKARIが決めた相手なら......応援するぜ......」
「ちょっとガチ泣きしてるじゃない!」
「ほら、貴方達。もうじきHIKARIが戻ってくるのだからちゃんとして」
「「はい」」
美咲の一声によって騒がしかった室内は落ち着きを取り戻したのであった。
***
「へ、変じゃないかなぁ......?」
「そんな事ないです!普段ツインテールのイメージが強いから下ろしてると少し大人っぽいです!ほら、鏡見てください?」
僕はそう言われ鏡の前に立つ。
そこに映されたのはどこからどう見ても"美少女"と言ってもいい僕であった。
......自分で"美少女"と言うのも変な感じだが。
「さぁ、皆さんに見せに行きましょ!絶対絶賛されますよ!」
「あ、ありがとうございます」
ジュナとKOUKIさんの反応が一体どういう感じになるのか僕はドキドキして仕方なかった。




