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美少女アイドルは100匹の猫かぶり!  作者: 朱音小夏


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第2話

――なんだろう、この場違い感は。

周りにはキラキラした女子で溢れている。

オレは下を向いてその場の空気と化していた。

今日は、歌唱とダンスの審査だ。

緊張しないわけがない。


「天宮 光希さん、ですね?」

「?はい」


オレがベンチに座って待機していると、スーツを着た女性から声をかけられた。

......どこかで見た事がある気がする。


「少し、お話があるんだけれど、いいかしら?」

「は、はい」


オレはその女性の後をついていった。

すると、誰もいない応接室へと通された。

――ギィっと音を立てて扉が閉じられると、後ろからガバリと抱きしめられた。


「光希ちゃーん!!久しぶりね!大きくなって!!」

「?!?!」

「あ、もしかして覚えてない?お姉さんの友人でここの社長をやってる"神楽坂 美咲"です」

「もしかして、美咲ちゃん??」


見覚えがあると思えば、姉さんの大学時代の友達の"美咲ちゃん"。

......まさか、姉さんの言っていたコネとは美咲ちゃんのことだったとは。


「お姉さんから話は聞いてるわ。安心して?あなたが男の子であることは誰にも言っていないわ。......これから歌唱審査とダンス審査があるけど大丈夫?」

「......歌はカラオケに行ったりしてたし大丈夫だろうけど......ダンスは少し心配、かな?」

「自信を持って。身体の記憶を信じて」


"身体の記憶"、か。


「私は最終審査からしか参加できないけれど......そこで貴方と会えるのを楽しみにしているわ」


美咲ちゃんから言われたおかげで緊張が少し和らいだ気がする。

せっかく姉さんと美咲ちゃんが背中を押してくれているんだ。

応接室を出ると、どうやら丁度順番が回ってきたところであった。


「さぁ、見せつけてきて。貴方の"魅力"を」


美咲ちゃんに言われ、オレは自信を持って、審査へと挑んだ。

審査は歌唱、そしてダンス審査の順番で行われた。


「それでは、天宮 光希さん。歌唱をどうぞ」

「......はい」


そしてオレは、マイクを持ち歌い始めた。

すると、審査員たちがざわついた。

......男だとバレたか?


「......ありがとうございます。ところで天宮さん」

「?はい」

「どこかで、歌の経験が?」


......何故そんな事を聞くのだろうか?

友達とカラオケに行くと"女声"のようだから女性アーティストの曲ばかり歌っていた。


「......子供の頃にアイドル育成所に所属していただけで、あとはカラオケに行っていただけです」

「......なるほど。それではそのままダンス審査に移ります。準備はいいですか?」

「はい」


オレは過去の記憶を掘り起こして、ダンス審査に挑んだ。

......審査員席を見ると、オレのダンスを食い入るように見てくれている。

もっと。もっとオレを見ろ!!


「......ありがとうございました」

「天宮さん。貴方ほどの実力の持ち主を手放すのは、惜しいです。本来なら、面接審査までお時間をいただくのですが、このまま面接審査をさせてください。今、社長を呼んできます」


こんなに早く美咲ちゃんと再会をすることになるとは。

美咲ちゃんは、にこやかに審査室へと入って来た。


「やっぱりこうなると思っていたわ。私からの質問はただ一つ。貴方はどんなアイドルになりたいの?」


"どんなアイドル"、か。


「私は、可愛いだけのアイドルにはなりません。歌やダンスでファンの人が笑顔になってくれればそれだけで十分です」

「......そう。その言葉が聞けて良かったわ。天宮 光希さん。貴方を我が事務所に迎え入れたいと思います」

「......え?」


......どうやら、オレはアイドルになれるらしい。

こうして、オレの"アイドル物語"は始まるのである――



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