第1話
「うぉおおー!!【めろでぃあ】!!」
熱気に包まれたドーム。
客席を彩るのは色とりどりのサイリウム。
「皆さーん!盛り上がってますかぁー!!」
「HIKARIぃ!!」
客席からの熱い声援に応え、ステージを飛び回り手を振る美少女。
「次の曲!ボク達のデビュー曲、【恋は100%】!!」
「うぉおお!!」
大きな歓声がドームに響き渡る。
......どうしてこんな事になっているのか。
それは数年前の夏の日に戻る。
***
「ただいまー」
この時、オレはまだ高校生。
そして夏休みの真っ最中。
オレは集中して勉強がしたくて学校の図書室まで行っていた。
「うふふ―♡お・か・え・り♡」
「なんだよ、姉さん。ニヤニヤして気色悪い」
「気色悪いとはなによ!......まぁ、いいわ。光希に良い話しがあるの♡」
「......なんか嫌な予感」
ハートを飛ばしながら喋る姉さんにはろくなことはないのだ。
今回も例に漏れずそうに違いない。
「な・ん・と!光希ちゃん、アイドルオーディションの書類審査に見事通りましたー♡」
「?おめでとう?」
「ちょっと、何他人事なのよ。"光希ちゃんが!"受かったのよ!」
「ハァ?!」
この姉は何を言っているのか......
オレが、アイドル?ムリムリ!!
「姉さん。オレにアイドルなんて無理だよ。」
「あら。昔はアイドル育成所で習ってたしいけるんじゃない?」
......たしかに、昔の夢はアイドルになることだった。
でも、オレみたいなのがアイドルになれるはずはないと思っていた。
声変りが来てもいまだに高めの声。低い身長。それに加えて女顔。
カッコイイアイドルなんて夢のまた夢。
「どうせ、アンタのことだから、変な事考えて諦めてるんでしょ?でも大丈夫!お姉ちゃんいい案思いついたから!」
「"いい案"?」
「"カッコイイアイドル"が無理なら、"可愛いアイドル"になればいいのよ!」
......一体どういうことなのだろうか?
"可愛いアイドル"、とは?
「"男性アイドル"が無理なら......"女性アイドル"になればいいのよ!!」
「は、ハァ?!」
「大丈夫!今回応募したところはお姉ちゃんの友達がやってる事務所だから!!」
......それはいわゆる"コネ"と言うものでは......?
それにしても"女性アイドル"??オレが??
「お姉ちゃん、貴方にはアイドルの夢を諦めてほしくないの。......だから、使えるものは、使う。それが友達でもなんでも、ね?」
「......姉さん」
......なんてオレは弟思いの姉を持ったのであろうか。
いや、だからと言って......
「女性アイドルは無理があるだろーが!!」
「てへ♡」
「てへ♡じゃねぇー!!」




