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美少女アイドルは100匹の猫かぶり!  作者: 朱音小夏


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第11話

ジュナ。......樹が行こうと言ったスイーツショップにはもうすでに行列が。

平日のこの時間だと言うのに驚きだ。


「......一応並んではみたものの。これバレたりしねぇ?」

「?オレメンバーと来てもバレたりしたことねぇよ?」

「......男三人でこのスイーツショップ」


その絵図らが何だか恐ろしく、想像するのもやめた。

そんな事を言っていると、とうとう店内に入る順番に。

店内は落ち着いた雰囲気で、女性狙いと言う訳でもないらしかった。


「光希!これ美味しそうだよ!!」

「......子供みたい」

「光希だって甘いもの好きでしょう?」

「!......な、なんで?」


僕は思わず、ドキッとしていると、樹はクスクスと笑いだした。

......何も笑う事は無いだろう。

こう言うところは昔と変わってなくて意地悪だ。


「だって、事務所で皆が言ってたじゃないか。"光希は甘いものに目がない"って」


......くそう。あいつらのせいで恥ずかしい思いをする羽目になったじゃないか。

......それにしても。


「んー......」

「光希?どうした?」

「......イチゴのパンケーキと桃と紅茶のパンケーキで迷ってる」

「なんだ、そんな事?」

「そんな事とはなんだ!スイーツ選びは重要なことなんだよ!!」


......思わず意地になってしまった。

僕はそれくらい甘いものが大好きだ。


「じゃあ、オレがイチゴのパンケーキ頼むから、光希、桃の紅茶のパンケーキ頼みなよ」

「......え?いいの?」

「せっかくなら、好きな子に好きなもの食べてもらいたいからね」

「!!」


樹が店員を呼び、注文をしている姿を見て――


「......樹」

「ん?」

「こういうところ、昔からかわってないよね」


そう言ってしまってから、口を手で塞ぐ。

樹はそんな僕を見て、昔話を始めた。


「昔のお前は、オレのダンスをずっと見てたよね」

「......覚えてたんだ」

「全部じゃない。でも......妙に覚えてる」


急にそんな話をされて僕は恥ずかしくないわけがない。


「オレの後ろにくっついて、『どうやったらそんなに上手に踊れますか』って聞いてきてた」

「......恥ずかしいから忘れて」


ホント忘れてほしい事ばかりを言ってくる。

......いやがらせか?


「忘れることだけは出来ない」

「なんで」

「今のお前を見てると、あの頃のことを思い出すから」


......そう来たか。

でも僕は......


「......僕、あの頃はホントに樹に憧れてた」

「......」

「だからこそ、あの言葉が許せなかった」


僕がそう言うと、樹の表情が曇った。


「......うん」

「僕ホントにアイドルになりたかった」

「知ってる......今は?」

「今は......叶えた」


僕は、めろでぃあに入ってからの事を話した。

【HIKARI】として活動しているわけも。


「僕は男として、アイドルになれなかったけれど、夢は諦めたくなかった」


僕はそう言うと、一呼吸つく。


「男としてアイドルのなるには小さい背。声だって高い。顔も......女みたいだって言われることが多かった」


だから、一度は夢を諦めた。

だけど――。


「それでも諦めきれなかった」


だから、姉さんに背中を押されて、オーディションを受けた。

そして僕は【HIKARI】になった。


「......」

「最初はこんな自分でもアイドルになれるならっ手それだけだった。でも......ファン皆が僕を見て笑ってくれる。元気になってくれる。――歌を聞いてくれる」


僕は胸に手を当てた。


「いつの間にかHIKARIであることに誇りを持つようになったんだ」


樹は何も言わずに僕の話をジッと聞いていた。


「だから、僕は後悔なんてしていない」

「......そっか。じゃあ――」


樹は一度目を伏せる。そして僕に真剣な声で、眼差しで話しかけてきた。


「じゃあ、これからはオレがお前の隣を歩いてもいい?」


光希はすぐには答えない。

昔はずっと追いかけていた背中。

今は、その背中が隣に並ぼうとしている。

......そんなの、ずるいだろう。


「......勝手にすれば」


そうとだけ答えるのであった。

......そう答えるのでも精一杯絵だったのだ。

けれど――


「ありがとう、光希」


嬉しそうに笑う樹を見ていると、心の中がほんの少し温かくなる。

......僕はこいつを好きになったわけではない。絶対にだ。

ただ――。

隣にいることを、許してもいい。

そう思っただけだ。


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