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美少女アイドルは100匹の猫かぶり!  作者: 朱音小夏


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10/21

第10話

僕らが事務所を出ようとした時、美咲ちゃんが「ジュナ」と呼び止めた。

僕は不思議に思っているとジュナは「先にいてて」と言うので気になりつつも先に行く事にした。




***


「ジュナ」

「......はい」


二人の間に緊張が走る。


「昨日のことだけれど、貴方が光希に対して本気なのは分かったわ。でも、貴方がこれからどう行動するのかは別問題よ」

「......分かっています」

「光希は今、【めろでぃあ】で自分の夢を叶えてる。貴方の独りよがりな恋愛感情であの子の夢を壊すような真似は絶対に許さない」


美咲にとって光希は、弟のような存在である。

その光希が悲しむ思いをするところを見たくは無いのだ。


「私は貴方があの子に昔何を言ったか聞いているわ」

「......」

「今度は絶対に光希を傷つけないで」


その言葉にジュナは真剣な眼差しを美咲に向ける。


「分かっています。オレはもう二度とあいつを泣かせたくはない」


美咲はその言葉を聞いてフッと表情を緩めると、ジュナの肩をぽんと叩いた。


「......なら、頑張りなさい」

「はい」


そう言ってジュナは美咲に背を向け歩き始めた。




***


レコーディングスタジオに入ると、普段のジュナとは別人のように集中していた。


(こいつ、美咲ちゃんと何があった?)


そう思いながらも光希はマイクの前に立つ。


「それじゃあ、試しに二人で歌ってみようか」


イントロが流れる。

ジュナが歌い始める。

その歌声を聞いた瞬間、僕の心に戦慄が走った。

――そこにあったのは昔、僕が憧れていた先輩の姿。


(......あの頃はこいつの背中を追いかけていた)

(でも今は――)


今度は僕が隣で歌う番だ。

追いかけるのはもうお終いだ。

ジュナの声に合わせて僕は歌い始める。

僕とジュナ、二人の歌声が重なる。


「......凄い」

「二人の歌声、相性良すぎない?」


スタッフ達がそんな風にざわついているのを僕らは知らない。

――ただ、歌っていてこんなに気持ちいと感じたのは初めてな気がする。

そして、収録後。


「OK!一発目からこの完成度!十分すぎる程だ!!」


その言葉を聞き、ジュナは僕を見た。


「......やっぱり。オレは光希と歌うの好きだな」

「......僕は仕事として歌っているだけです」


......口が裂けても言ってやらない。

歌っているのが、気持ち良かったと。

楽しかったと。

......僕も嫌ではなかった、と。


「そうだ。このスタジオの近くに美味しいスイーツショップがあるんだけど行かない?」

「......スイーツ」

「あ、純粋にオレが甘い者食べたいだけであって、決して作戦とかでは......」


言い訳をするジュナが先程までとは人が違いすぎて、僕は思わず笑みを零してしまった。


「!!光希?」

「......仕方ないから一緒に行ってあげるよ【樹】」


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