7章ー27:閑話試練(サイドクエスト)発生
「それでそれで?五年越しの殿方からのお返事はどんなものだったのですか?」
「ええっと~・・・それは~・・・」
「“お前は僕の最愛の人だ。もうどこにも行くな”、と。涙を滲ませながら・・・///」
「ちょっとレムア・・・!!!」
「ほう・・・。ほうほうほう!!♡♡♡妻の故郷を取り戻る戦いで、勇み足ゆえに傷ついた彼女を抱きながらの、独占溢れ・・・それでいて魂から出る、愛の告白・・・///これも新たな刺激です♡♡♡」
氷の試練を終え、ニヴァーリは僕とレムアから、今日に至るまでの馴れ初めを根掘り葉掘り聞いて、石板に爪でメモを取る。
彼女の、武竜の恋愛を描いた次回作の取材だ。
だけど・・・いくら吹雪と極寒が止んで過ごしやすくなったとはいえ、かれこれ四時間以上もぶっ続けやから、疲れた・・・。
何より僕の、羞恥心がもたない・・・。
だってレムアったら、僕の送った歯の浮くような言動の数々、全部覚えてんだもん・・・///
「それから私とリオル様は、互いの生を噛み締めるように、熱い抱擁を・・・///」
「はぅ~!!♡♡♡考えただけで胸がときめきますっ!ここは息遣いを荒くし、少々官能的に描くのも手ですね♡その時の話を、もっと詳しく!!」
「ええ。是非///」
ひゃああああああああああああああああああああああああああ・・・!!!
もう止めてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・///
「ニヴァーリ。そこのリオルを、暫し貸してもらえるか?次の雷の試練について相談したい」
ティラエ!!
良かった助け船が出た!!
「あとにして下さいましティラエ!今、筆が今までにないほど乗っているのですから!!」
ニヴァーリは引く様子がない。
しかしそこは五龍門の試練の裁定者にして、龍廷貴族最強の源龍族。
ニヴァーリを一点見つめして、彼女に無言の圧をかける。
「・・・・・・しょうがないですわ。では待っている間、レムアから、リオルがミーノ領の旗本だった時のお話を、掘り下げて聞くとしましょう」
不服そうなニヴァーリを気にせず、僕はレムアに見送られてティラエとその場を離れた。
「まずは祝辞だ。氷の試練を突破したことで、五つある試練の内、三つを乗り越えたことになる。それについて、立会者として称賛しよう」
「ありがとうございます!」
これで残りの試練は雷と心の二つ・・・。
苦戦続きではあるが、確実に上洛達成に向かってることに、僕は自信を持った。
この調子で、残りの二つも・・・!!!
「しかし・・・」
「はい?」
「人選に陰りが生じているように見えるのは、まろだけか?」
「・・・・・・いえ」
結構痛いところ突かれた僕は、火属性を帯びたツバメバチに囲まれ休眠を取っているティアスとギガレクスに目をやった。
二人ともニヴァーリとの戦いで、かなり体力を消耗した。
特にギガレクスは、命に別状はないとはいえ、腹に刺し傷がある。
このまま次の試練に連れて行くことはできない。
「先程ダインから渡鴉竜で連絡があった。忍竜二頭がまだ本調子ではないらしい」
カダチとミツタネさんも動けないの!?
「次の雷の試練は、雨と風が激しい霊峰で行なわれる。火を吐くお前の家臣も厳しいのではないか?」
マジか・・・。
暴風雨じゃ火属性がメインウェポンのアンドラが実力を十分出せるとは考えにくい。
・・・・・・あれ?
ちょっと待って。
じゃあ・・・。
「暴風雨の中でも動けて、これまで試練に参加してなくて、雷に耐性があるのって言えば・・・」
「奴しかいないだろう?」
・・・・・・最悪だ。
後半戦を目前にして、ここにきて『サイドクエスト』が発生しちまった。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
喧嘩中のスラギア君との仲直りだ。




