CASE.6 花道標④
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鑑識が到着するまで、三十分ぐらいかかっただろうか。
大通りだけではない。あの住宅街の掲示板も調べた。
「まあ、偶然じゃないだろうな」
佐野も臨場している。
「おまえを、ここまで誘導してるってことなんだな?」
桑島は、うなずいておいた。
「で、このさきは?」
それには、横に振った。
「皆川明穂さんが待っているのか、べつのなにかがあるのか……」
「証拠は出ると思うか?」
「出ないと思う」
そんな相手ではない。
「一応、おまえたちが話を聞いた主婦たちにもあたってる」
どうやら、同じ場所でまだ話し込んでいたようだ。
「あと、公園の花屋にも、あらためて話を聞きにいかせた」
いずれも、望み薄だろう。
「ここから、三件目の毒殺に続いてるのか?」
「わからない……」
三人目の被害者なのか、それとも犯人につながっているのか……。
「管理官!」
一人の捜査員が報告に来た。
「どうした?」
「交通事故ではないようですが、二年前にここで──」
その捜査員が語った内容は、興味をひかれるものだった。
二年前にこの場所で、焼身自殺があったそうだ。
「自分で火をつけたってことか? こんな場所で?」
「そのようです」
自殺者の行動は、その人でなければわからない。いや、本人でも理解できないのかもしれない。追い詰められた人間は、冷静な思考ではいられないのだ。
「自殺者の身元は?」
「紅林信也。年齢は、二四です」
生きていれば、二六か二七になっていただろう。
「現住所は──」
その捜査員は、続きを口にしようとした。
「現住所?」
佐野が、疑問符に満ちた声をあげていた。桑島も同じ気持ちだった。
「遺族の?」
「あ、いえ……本人です」
「死んでないのか?」
「はい」
正確には、自殺未遂だったようだ。
佐野が鋭い眼光を向けていた。
桑島はそれにうなずくと、現住所に急行した。
7
「ここって……」
結城が思わず声をもらしていた。
最初の被害者・脇田妙子が死亡していた公園のすぐ近くだった。
賃貸マンションの三階。
インターホンを押すと、すぐに応答があった。
『はい』
女性の声だ。
「警視庁の桑島といいます」
『警視庁?』
「はい。少しお話よろしいでしょうか?」
『どのような……』
「信也さんのことで──」
しばし、間があいた。
『どうぞ、お入りください』
鍵のあいた音がした。
桑島は、ドアを開けた。
「失礼します」
玄関にいたのは、五十代ほどの女性だった。
「紅林信也さんにお会いしたいのですが……」
「こちらです……」
案内された部屋の窓際で、紅林信也は眠っていた。
ひどい火傷の跡が、顔中に広がっている。手の甲も同じような状態だった。おそらく裸になれば、全身がケロイド状になっているのだろう。
「話はできますか?」
「簡単な意思疎通しかできません」
これでは、たとえ自殺未遂が事件に関係しているとしても、彼自身がなにかできるとは考えられない。
「あの、自殺の原因についておうかがいしてもいいですか?」
「どうしていまごろ……」
「詳しくは話せませんが、ある事件がおきまして──」
「その事件と関係があるんですか?」
「わかりません。それを捜査しています」
母親は、窓の外に眼をやった。
「もしかして、あそこでおこった事件ですか?」
窓からは、あの公園が見える。
まだ園内は封鎖され、捜査員の姿が確認できた。
「……そうです」
桑島は、視線を室内にもどしてから質問を続けた。
「自ら火をつける行為は、なにかの抗議に思えます。信也さんに、なにがあったんですか?」
「……警察は、なにもしてくれなかった」
ポツリと、母親は口にした。
黙って、次の言葉を待った。
「この子には、恋人がいたんですよ」
その恋人に、なにかがあったのだろうと予想をたてた。
「わたしにはよくわからないことなんですけど、ネットでのイジメっていうんですかね」
「その女性は……」
「いえ……女性ではないです」
男性の恋人。
いまでは、それほどめずらしいことではない。この母親の語り口からいっても、それ自体に驚きはもっていないようだ。それとも、すでに過去の出来事と線を引いているのだろうか。
「そのことで、SNSにいろいろと書き込まれたということなんでしょうか?」
「ええ……」
それに耐えかねて、自殺した……。
現代では、それほどめずらしい図式ではない。人々にとって、ネットの世界での一言が心をえぐってしまう。
「息子は、警察に訴えました……書き込んだ人を罰してくれって……」
「捜査はされなかったんですね?」
なにもしてくれなった──とは、そういう非難の言葉だったのだ。
ネットの誹謗中傷で警察が捜査をすることは稀だ。弁護士を雇って民事で訴えることのほうが一般的な流れとなる。
「抗議の意味があったということですか?」
桑島の言葉に、母親は困ったような顔をした。
「どうなんでしょう……この子も、いろいろと書かれたみたいですから」
彼自身へも、ひどい書き込みがされていたようだ。はたして焼身自殺の原因は、恋人への誹謗中傷に対する抗議なのか、それとも恋人と同じように世間の言葉に耐えられなくなったのか……。
「たしかめようにも、この子には……」
簡単な意思疎通しかできないのなら、難しい内容は理解できないのかもしれない。
「あの、つかぬことをお聞きしますが……」
じつは紅林信也という名前を知ったときから、聞き覚えがあると思っていた。
「弁護士をやっている方はいませんか?」
「夫は、弁護士です」
やはりそうだ。
病院での違法臓器移植に関係していた事務局長の取り調べのさいに、やって来た弁護士の名前が紅林だった。
「ご主人の事務所は、どこですか?」
「……いまは、どこにも所属していません」
暗い声音で話していた。
「個人事務所、ということですか?」
女性は、首を横に振った。
「休業中としか……」
しかし、あの病院の騒動から、まだそれほど日は経っていない。
「最近、ご主人と事件捜査の過程で会っているのですが」
「さあ……いまなにをやっているのか、まったくわかりません」
どこか呆れているような語気だった。
「こちらには帰っていないんですか?」
「たまによるぐらいです……」
「最後に会ったのは、いつですか?」
「いつでしょう……一週間ぐらいまえでしょうか。でも、わたしが買い物に出ているときに、もどってきたみたいです」
「それは……」
「昨日です」
「何時ごろですか?」
「わたしが外出していたのは、午前中……九時から十一時ぐらいまででした」
「あの、自殺した恋人を誹謗中傷した人については、特定されたんでしょうか?」
「はい……主人が対応していましたので、たしかあまりにもひどかった人については、話し合いをしたということでした」
「どういう決着になったんですか?」
「ごめんなさい……そこまではわからないです」
話を聞き終えて、マンションを出た。
「警視……紅林弁護士が犯人かもしれないですね」
結城も、紅林とは顔を合わせている。
《ラボ》という組織に関係はしていないようだったが、こうして紅林にいきついたということは、一連のどこかにかかわりがあるということだ。
今回の毒殺にだけ限定すれば、息子の仇をうっているのかもしれない……。
もしかしたら──。
紅林も、《参謀》の力を頼った……。
「どうしますか? 紅林弁護士を手配しますか?」
しかし、現時点ではなんの証拠もない。
「佐野には伝えておこう」
すぐに結城が連絡を入れた。
「──行方は、捜査本部のほうでさがしておくということでした」
報告を終えた結城が言った。
参考人ということになるだろうが、事件の鍵になると佐野も判断したということだ。
「わたしたちは、どうしますか?」
「……皆川明穂だったのかな?」
「え?」
「いま聞いた話」
「恋人の男性を誹謗中傷した人物が、ですか?」
桑島は、うなずいた。
もっといえば、殺害された古木田と二人でやったのではないだろうか?
「コンビニ店員を恐喝するような二人ですから、そうであっても不思議じゃないですね」
「それと……」
「警視?」
「もう一度、町田弁護士をあたってみようか……」
「話してくれますかね?」
「紅林弁護士のことを知っているかもしれないし、いま聞いた話にも、なにか関わっているかもしれない」
「わかりました。むかいましょう」
8
しかし町田は、事務所にはいなかった。
事務員の女性に居場所をたずねたが、わからないという。連絡もつかないらしい。自宅住所に捜査員を派遣したが、在宅していなかった。
「まさか、次の被害者は……」
結城がそう考えるのも、一連の流れを読み解けば、仕方のないことだろう。
町田弁護士、皆川明穂──行方の知れなくなった二人……そのどちらかなのか……。
「もしそうなら、紅林弁護士は、町田弁護士にも恨みをいだいているということになりますよね?」
「たしか脇本妙子は、SNSのトラブルで町田弁護士に依頼していた。そのトラブルというのが、紅林信也の恋人への誹謗中傷だったとしたら……」
だから、脇本妙子は殺害された。
「でも、それだと皆川明穂は、どうなるんですか?」
皆川明穂がやったのは、コンビニ店員へのクレーマー行為だ。いま桑島が捜査してる毒殺事件には無関係なのだろうか?
しかし、元恋人の古木田も殺害されているのだから、やはりなにかはある……。
どうにも見えそうで、見通せない。犯人の意図がバラバラのような気がするのだ。動機が、一つではない……。
参謀。
事件の裏に、また《参謀》の存在があるのなら、想像できないほど複雑な構図を用意しているのかもしれない。
桑島と結城は、警視庁の特特室にもどって、これまでの事件を整理することにした。牧村も書記役で参加している。ホワイトボードにこれまでの概要を記してもらった。
最初の被害者・脇本妙子は、これまで桑島が検挙した犯人たちに接見していた町田弁護士と関係があった。殺害された理由は、わかっていない。
二人目の被害者・古木田は、コンビニ店員へのクレーマー行為で炎上した過去があった。それが殺害原因とすることもできるが、被害にあったコンビニ店員は、事件に関与していないようだ。
古木田といっしょにクレーマー行為をしていた皆川明穂は、現在行方不明。どういうわけか、彼女は脇本妙子も出入りしていた町田弁護士事務所の真向かいの喫茶店で働いていた。
さらに、何者かの誘導によってたどりついた道路では、かつて焼身自殺未遂があった。その本人である紅林信也の父親は、病院での事件で被疑者に接見していた弁護士でもある。
「いろいろと……バラバラですね」
自らが書いた内容を牧村が総括した。
そうなのだ。物事に一貫性がない。
つながっているようで、つながっていない。いや、つながってくれない──そういう感じだ。
「一つ一つを解決していくしかないのかもしれない……」
桑島は、自身に言い聞かせるようにつぶやいた。
「けっこう単純だったりして」
牧村のお気楽な発言に、すかさず結城が噛みついた。
「あんたねえ!」
単純。
言い争いをはじめている二人を無視して、桑島は脳内ですぐにシミュレーションを開始した。
もし今回のことが、もっと簡単なことだったとしたら。自分たちが考えすぎているのだとしたら──。
脇本妙子に恨みをもっていたのは、だれ?
それが皆川明穂だったとしたら、復讐の機会をうかがうために、すぐ近くで働いていた……。
しかし、脇本妙子と皆川明穂に関係性はなさそうだ。それに、脇本妙子が町田弁護士事務所に来るのはそう多くはないだろう。
皆川明穂の元恋人・古木田を殺したのは?
一番、恨みを抱いていそうなコンビニ店員は、いまのところシロだと判断している。
町田弁護士は、毒殺には無関係なのだろうか?
脇本妙子と町田には、ただの弁護士と依頼人という以外に、なにかありそうだ……。
紅林弁護士と息子の信也の自殺未遂。
息子の復讐が毒殺につながった?
「警視?」
しらず、牧村の書き込んでくれたホワイトボードに、桑島は新たに線を書き込んでいた。
脇本妙子と、町田弁護士。
町田弁護士と、皆川明穂。
皆川明穂と、脇本妙子。
三人を、三角形でつなげたのだ。
「警視? これは?」
「深い関係にあるのは、脇本妙子と町田弁護士じゃない……町田弁護士と、皆川明穂が男女の関係なんだ」
だから、皆川明穂は弁護士事務所のすぐ近くで働いている。
「それは……愛人とか、そういう意味ですか?」
桑島は、うなずいた。
「ですが、町田弁護士は独身ですよね? たとえ皆川明穂と男女の関係だったとしても、隠すことじゃないですよね?」
そこの部分は、町田弁護士と脇本妙子の関係を疑ったときにも生じた疑問だ。
「関係が何年もまえから続いていた場合は、そうはならない」
「どういう意味ですか?」
それについては、牧村のほうが勘づいた。
「未成年のころから、ということですよね? 未成年のときから関係していれば、淫行になりますね」
「そのことをネタに、脇本妙子に脅されていた……」
それが町田弁護士と脇本妙子の関係性。
「恐喝されていたということですか?」
「そこまでではないかもしれないけど、弱みを握られたことによって、いいようにつかわれていた可能性がある」
「弁護士を強請りますかね?」
淫行条例──青少年保護育成条例は、国の法律ではない。各地方自治体の制定している条例になる。東京都での正式名称は『東京都青少年の健全な育成に関する条例』という。罰則は、二年以下の懲役、または百万円以下の罰金となっているはずだ。たしか、時効は三年。
「かりにすでに時効をむかえていたとしても、弁護士事務所としてイメージダウンはまぬがれない」
「では……脇本妙子殺害は、町田弁護士の犯行ですか?」
「いえ……」
桑島は、新たに線を引いた。
古木田と皆川明穂。
「この二人は、恋人同士──もしくは、友人関係にあった」
皆川明穂と町田弁護士に男女の関係があった場合は、悪友のような存在だったのかもしれない。
そして古木田と、紅林弁護士を線でつないだ。
「その関係は?」
「まだわかりませんが……古木田が、紅林信也の恋人を誹謗中傷していたのかもしれない」
そうでなくても、古木田の素行を考えれば、なにかしらの恨みをかっていたのだ。
最後に、二人の弁護士を線でつないだ。
「なんですか……これは?」
結城は、難しい顔になっていた。
「たぶん、二人の弁護士が入れ替わっているんです」
「入れ替わる?」
「言葉どおりの意味じゃなくて、立場というか、目的というか」
「交換殺人みないな?」
「そうといえば、そうなのかもしれません」
自身でも、歯切れが悪いと感じている。
町田弁護士が邪魔だと思っていたであろう脇本妙子を、紅林弁護士が殺害した。紅林弁護士が恨んでいた古木田を、町田弁護士が殺害した──。
が、それは二人の弁護士による共謀ではない。
「どういう意味ですか?」
「それが、《参謀》なんですよ」
桑島は、覚悟をもってそれを口にした。ここで見当はずれの推理をした場合、事件の真相は遠く離れていくだろう。
「《参謀》が、二人の弁護士を仲介しているんです」
場合によっては、二人に面識はないのかもしれない。
「参謀……やっぱり、得体が知れないですね」
嫌悪感をにじませて、結城はつぶやいた。
「目的は、なんでしょうか?」
「わかりません……そもそも、そんなものがあるのかどうかも……」
いや、彼らなりの目的はあるのだろう。常人には理解できない内容だとしても──。
「警視の見立てどおりだとして……どのように捜査しますか?」
とにかく、事件に深くかかわっているであろう三人。皆川明穂、二人の弁護士から話を聞くしかない。
だが肝心の三人は、いまのところ行方がわからない。
「町田弁護士をさがすしかない……」
三人のなかで、一番最後まで所在がわかっていた町田弁護士をさがすのが合理的だ。
佐野率いる捜査一課の力をつかって、町田弁護士の行方をさがした。だが三日経っても発見はできなかった。自宅にはもどらず、親族や知人の家にも姿をあらわすことはなかった。
その間、桑島も独自の視点から捜査を継続したが、なんの進展もなく、時間だけが虚しく過ぎていくだけだった。
捜査会議でも、焦燥感が場を支配していた。
捜査一課長の檄が飛んでも、捜査員に活力はもどらなかった。
「おまえのほうは、どうだ?」
会議のあと、佐野に声をかけられた。桑島は首を横に振ることで、結果をしめした。
「逃亡してるってことだよな?」
普通に考えれば、そういうことになる。そして逃げるということは、事件に関係しているということだ。
「公開手配できればいいんだがな……」
物的証拠はなにもない。これまでに町田弁護士の自宅と弁護士事務所を家宅捜索しているが、毒物などの事件に関係するものは発見されていない。
「弁護士なら、逃げても意味がないことぐらいわかりそうなもんだがな」
佐野が愚痴のようにつぶやいた。
そのとおりだ。犯罪組織に属していのならまだしも、これまで真っ当な弁護士として活動していた人間に、逃亡生活は耐えられるものではない。資金も、すぐに尽きる。そして、いずれ捕まる。
たとえ海外に逃亡したとしても、それはかわらない。犯罪人引渡し条約を結んでいる国はアメリカと韓国しかないのは有名な話だが、だからといってほかの国々が協力してくれないというわけではない。自国の人間を引き渡せということではないのだ。日本人の犯罪者を日本に引き渡すのをためらう国は、一部の仮想敵国以外にはないだろう。
「まさか……自ら命を絶つ、なんてことにはならないだろうな?」
「それはないと思う……」
「なんだ? ふくみをもたせてるな」
「……」
ここまでの流れをひもとけば、充分に考えられることだ。
「最後に、なにかをするつもりなんだ……」
「どういうことを?」
「たとえば……二人で殺害する、とか」
桑島も、曖昧にしか言葉にできない。
「だれを?」
「皆川明穂だよ」
二人の弁護士がこれ以上、殺害をくわだてるのなら、一人しかない。
古木田が恨まれるほどの誹謗中傷をおこなっていたのであれば、悪友である皆川明穂も加担しているだろう。紅林弁護士の復讐相手と考えられる……。
そして町田弁護士にとっても、邪魔になる存在だ。脅していた脇本妙子を亡き者にしたいま、皆川明穂を殺害すれば、淫行の証拠は残らない。
「いや……淫行を隠すために、そこまでするか?」
「隠したいのは、淫行じゃない。脇本妙子との関係なんだ」
「なるほど……自分を脅していた脇本妙子を殺害したんだとしたら──実行したのは紅林弁護士だとしても、その理由になる皆川明穂が邪魔だということか……」
生き証人である皆川明穂がいなくなれば、殺人の容疑はかからない──町田弁護士はそう考えたのだ。
「二人がかりで、皆川明穂を?」
「そうかもしれない……」
「なんだ? まだほかにあるのか?」
「……不吉な予感がするとしか」
口にするのは、あまりにも根拠がなさすぎる。
桑島は、こう考えている。
最後には、町田・紅林両弁護士が──。
「ん?」
佐野の携帯が音をたてた。
「……いや、そのままつけろ」
ひと通り報告を聞いたあと、佐野はそれだけを相手に伝えていた。
通話を終えてから、
「町田弁護士の目撃情報が入った」
と、重々しく告げた。
「新宿駅周辺を歩いていたそうだ。所轄の人間に尾行させてる。誠一の話では、このあと紅林や皆川明穂に接触する可能性があるんだろ?」
桑島は、うなずいた。
「ぼくも向かう」
「わかった。位置は、つねに知らせる」
桑島と結城は、新宿方面に向かった。




