第7話 竜
その頃アナは、シドに言われた通り、洞穴で隠れてやり過ごしていた。
周りから音が聞こえていく。そんな中、アナはただ気配を消しながら、ただそこで隠れている。
シドがピンチになっている中、一人悠々と安全な場所にいる。
アナの良心がそれに耐えられるわけがなかった。
アナは、穴から頭を出して、ちらちらと周りを見る。そこには誰もいなく、ひょいっと上に出た。
もう騒ぎは収まっていた。もう、シドは捕らえられたのだろう。
捕らえられたらどこに行くか。きっと王都に送られ、拷問を受けているだろう。
自分のせいで苦しんでいる。早く助けなければ。
そして、アナはすぐに王都へと向かう。シドを助けるために。
「どうやったらいけるのでしょう……」
アナは王都の場所を知らないということにすぐに気づいた。ただシドについて行ったアナは、道を覚えていない。どういった経路で進んできたのかすら何も知らないのだ。
今はお尋ね者になっている。不用心に町を進むわけには行かない。人に道を訊くわけにもいかない。
仕方ない、山を何とかうろ覚えで進んでいく。
すると、開けた道に出た。
「……ここかな」
能天気に進んでいくアナ、
その道が正しくはないという事には気づかないで。そう、シドを助けることに頭を割かれている今、正しい道かどうかを思索する暇はなかった。
進んだ先に、一つの建物がある。アナはここで道を教えてもらおう。
そう思い、建物の中に入る。
「すみません、王都はどう進めばあるか知りませんか?」
アナは頭を下げて訊く。
「お願いします、大切な人が危機に瀕しているんです。教えていただきませんか?」
「っくそ。なぜここがばれたんだよ」
そう叫ぶ組織の構成員。すぐさまアナに向けて剣を振る。
「なんで?」
アナは咄嗟に牽制として、魔法を数発放ち、後ろに下がる。
「侵入者だ。殺せえええ」
その言葉をきっかけに複数の兵士が大量に向かってくる。
そこは国に相対する組織の本部だった。
それはまさにシドがギルドから依頼を受けていた場所でもある。
「何するの?」
アナはすぐさま魔法を放ち、すぐさま敵兵の意識を奪う。
催眠魔法だ。
「ここも……私の命を奪おうとするのね」
アナは完全なる臨戦態勢に入った。早くシドを助けなきゃならない今、こんなところで時間を取るわけには行かない。
平穏に生きることは出来ない、とわかっている。しかし、こんなところでさえも、命を狙われる。
ここにいるのは、ゾルティアでも、王国兵でもないというのに。
「ねえ」近くにいた構成員にアナは問う。
「王都ってどうやって行けるの? 私はそれを知りたいだけなんです」
「ここを見られた時点で、生きて返すわけには行かない」
そう言われたことにより、アナはここをつぶす覚悟をした。
もとより壊滅させる以外には外に出る方法はなさそうだ。
アナも決して弱いわけではない。その卓越した魔法技術で、迫りくる敵を皆倒していく。
怒涛の勢いで。
幸いながらそこの構成人はそこまで強くはなかった。
アナでも十分に対処可能なレベルの強さだったのだ。
まだ戦闘もそこまで得意じゃないのに。
そしてそのまま、ボスのもとまでたどり着いた。
立派な白髪、そして白髭を携えているいかにも貫禄がある人物だった。
「とりあえず、私にこれ以上手を出さないでくれませんか?」
そうアナはボスに問う。
「なるほど」ボスは立ち上がった。「それは無理だ」
「じゃあ、倒します。私には時間がないので」
「ふん、かかってこい」
そして、ボスは剣を鞘から一気に引き抜く。
そして、一気にアナへと向かっていった。
――アナにはシドの剣を見て、考えていたことがあった。
魔力を自分にまとう事が出来るんじゃないか、と。
その結果、アナは魔法を纏う事、つまり魔装を考えた。
剣を数回避けていく。
そしてその間にアナの体に魔力が駄々酔っていく。そしてついにその魔装が完成した。
「これが私の新しい姿、魔装アマスターです」
そう自信満々にアナは決める。災厄アマスターという名前からそのまま取ったくせして。
「とりあえず早く終わらせます。私には時間がありませんので」
そう言ったアナはすぐに走ってボスを殴ろうとする。
剣で必死にあらがおうとするも、アナの攻撃の方が素早い。いつしか、ボスは追い詰められていく。
「もう、終わりですか?」
「まだだ、まだ終わってはいない」
そう言って、ボスは赤いボタンを押す。
「君の敵はこいつだ」
そこにいたのは、竜だった。
「我々が研究しているのは、太古の竜の復活だ。計画には早いが、根絶やしにされるなら、不完全でもいい。さあ、奴を殺せ」
そう、竜は命じられた。だが、竜は一向にアナに向かって行こうとしない。
「何をしている、お前の敵はその女だ」
「お待ちしておりました。アナ様。さあ、何なりと命じてください」
竜がそう言うと、「お前、私が復活させたのだぞ。私の命令に従え」ボスが怒鳴る。
「私が命令に従うのはアナ様だけです」
「分かった。じゃあ、あいつらを滅ぼしてください!」
「分かりました」
そして竜は、ボスに襲い掛かる。おびえるボスはそのまま竜の業火にやられてしまった。
そしてそんな状況を見てアナは、私の新しい必殺技を試す機会が……と、落ち込むのであった。




