第6話 投獄
「ここは?」
シドは起き上がり周りを見渡す。するとそこは小さな家のようだった。
「あ、シドさん起きた!」
元気よくアナが言う。
「私たち助けてもらったのです。こちらのお姉さんに」
アナが一人の女性を指さし言う。
「アンヌさんです」
「貴方が……助けてくれてありがとうございます」
「いえいえ、道端に血を流して倒れてたからびっくりしたわ」
「ゾルティアという人物に襲われたんです。何とか撃退したのですが」
シドは自分が使った技について軽い説明をした。
「僕が使った技は、ゲドリュウザンと言って、自分の命を削り、身体能力を増す技です。すぐにゾルティアを倒すつもりでしたが、思った以上に時間がかかってしまって……」
本当はもっと短時間でけりをつけるつもりだった。
そのはずなのに、まさかこんなにも時間がかかってしまうなんて、思ってもいなかったのだ。
「そう……大変だったわね。しばらくゆっくり休んでおきなさい」
「ありがとうございます」
シドはお礼を言う。
そしてシドが寝ているベットの淵にアナが座る。
「ありがとう。私のために命まで削って……くれて」
「いや、そんなの構わない。だが、早く回復させないと追手が来るかもというのは問題だがな」
「そうだね。私も、もっと自分の力に対する理解をしないといけませんね」
「お前の場合は焦るなよ。お前が戦う必要はない」
「でも、私だってシドを守りたい。守られてばっかりのヒロインなんて嫌なんです。ただの足で惑いなんて嫌、ゾルティア……あいつにだって勝てるようにならないと!」
そう、強く言うアナに対し「そうだな」と、シドは肯定する。その瞬間だった。
「おいおい、追いつめたぞ、シドさんよ。良くここまで逃げてきたものだ。だけど、それももう終わりだ」
(くそ、このタイミングで追手かよ)
今度は魔物ではなく、王国兵。どちらにしても、手ごわい相手なのは変わらない。
シドは焦る。
今の自分にゲドリュウザンを使う体力は残っていないし、そもそも戦う体力なんてない。
ズタボロだ。
体を動かすのすら苦痛が伴う行為なのだ。
「おい、アナ逃げろ!!森の奥の洞穴に隠れておけ」
シドは叫ぶ。先程見つけた洞穴、あそこなら隠れきれる可能性がある。
自分は捕まってもいい、アナさえ逃げきれれば。
「でも!」「いいから!」
アナの戸惑いを覆いつくすように言う。
アナさえ逃げ切れば、シドの勝ちだ。
アナが裏口から逃げ出したのを見て「それでいい……」とシドは呟いた。
「逃がすと思うか?」
兵士たちはそのアナの姿を追おうとするが、その兵士の腹をシドの剣が貫いた。
「ここは通さない。僕の命にかけても!!」
「く」
「ぐぁぁ」
「つええ」
「死にかけのはずだろ」
「なぜ倒れないんだ」
数々の追っ手をシドはひたすらに退かせる。
数は多いが、将レベルの兵士はいない。
これならばなんとか戦える。
「はあはあ」
しかし、シドの体力はもう限界を迎えている。
今にも気を失いそうな中、必死に、アナを逃がすことだけを考え戦闘に及んでいる。
(これで、何人目だ)
もはや目も見えなくなってくる。
もはや気合だけで青しているようなものだ。
「(あ、だめだ)
限界に気が付いた。
もう体が動かせなくなった。
もう、70人は撃墜で来た。もう十分だろう。
シドはその場でじっと目をつぶった。
そして、シドが目を覚ました時には、腕を後ろ手につながれて、治療されていた。
「目が覚めたか。苦労したよ君を捕らえるのには」
「隊長」
「裏切った罰は後で取らせよう。だが、今は君を治療しなければならない。痛いだろうが、我慢してくれ」
その瞬間、傷口が痛んだ。
「っ」
「大丈夫だ。君は息て本国に移送させる」
そして、2時間後、宣言通り本国に移送された。アナという災厄を逃がした大罪人として。
後ろ手に縛られ、長い距離を馬に乗りながら移動する。
まだ体は痛む。最低限の治療しかされていないようだった。
(頼む、アナよ生きてくれ)
シドにはもう祈ることしかできなかった。
そして本国について軽く治療を受けた後、拷問部屋に移送された。
「さあ、大罪人シドよ。アナの居場所に心当たりはないか? なあ! 答えろ!」
シドの手は鎖につながれ、身動きが全く取れない。
シドの顔が拷問官の手によって殴られた。
激痛だ。
「知らないですね」
シドはシラを切る。
「そうか、知らないで済むと思っているのか!!!!」
シドの手は再び殴られ、顔が膨れる。
「知らない」
「そうか、また痛い目に合うが、構わないのだろうな」
そして捕われて一日目が終了した後、シドの顔は紫色になっていた。
(ああ、痛いな)
シドはそう思いながらその場で寝た。両手両足を拘束されたままで。
痛みと体制の取りづらさで、寝づらく、地獄はまだまだ続く。




