第4話 逃亡再び
しかし、翌日ギルドの前に軍の警備網が敷かれていた。
ここに、指名手配犯が来るかもしれないからというものだ。
「皆、シド クラウニィと、アナ グラシティが現れれば、どんな手を使ってもよい。捕らえよ! 特にアナ グラシティ、彼女は生かしておけばどんな事態が起こるともしれん。一刻も早く捕らえよ!!」
「は!」
そして軍は、森に入りギルドの入り口を監視した。もし二人がギルドに来た時に、すぐに捕らえられるように。
シドたちは、朝起きて、朝ごはんを食べ、ギルドに向かう。
だが、そこには沢山の敵意があった。明らか過ぎてシドが一瞬で理解できるような。
その敵意はまるで、いつ襲い掛かろうかを見定めているかのようだった。
シドに続いてアナもギルドの中にに入ろうとする。
しかし、そんなアナをシドは止める。
「アナ、ここはだめだ」
「え?」
戸惑うアナを連れ、すぐにその場を離れる。
「どうして?」
「国軍と思わしき人たちにギルドが囲まれていた。おそらくばれたのだろう。多分もう、僕たちの正体はばれていると思う。後は、どこまで逃げられるかだ。アナ、もう少し速度上げられるか?」
「ええ」
(もう少しこの生活をしたかったな)
穏やかな生活。ギルドで魔物を狩って人助けをしながら銭を稼ぎ過ごしていく。
こんなに素晴らしい生活は無かった。
しかし、アナを助けるという選択をした時点で、平穏な生活への道は閉ざされてしまっているのだ。
所詮は賞金首。追われる身だ。
シドはこの道を選んだことは後悔していない。たとえこれで死んだとしても。
「……追手が来ない?」
逃走中にシドは疑問に思った。流石にそろそろ追手の気配がしてもおかしくない頃だ。
もしかしたら、何か事件が起きているのかもしれない。
だが、振り返るわけには行かない。
それで速度を落とし、国軍に追いつかれて捕まれば笑い話では済まされないのだから。
そして二人はそのまま山の方に逃げていく。山を抜ければ次の村へとたどり着く。
そのまま歩いていくと、山の中から魔物が複数体出てきた。
「なんだ、お前ら」
シドは問う。だが、魔物達は答えることなく、アナに襲い掛かった。
「っくそ。聞く耳なしか」
「ファイヤーフレイム!」
アナは魔物達に炎の魔法をぶつける。木々に燃え移らない様に、緻密なコントロールをして。
その炎で魔物達は吹き飛んだ。だが、次は人型の魔物が次々とアナに襲い掛かる。
それも数が多い。次々に山の奥底から出てきている。
「こいつら……やはりアナが目的か」
「昨日まではこんなことなかったのに……」
だが、動機探しも愚痴も何の意味ももたらさない。
二人はひたすら敵を斬り(燃やし)倒していく。
だが、中々敵の数は減らない。それどころか、どんどんとその数を増やして行く。
「そんなに、アナの命が欲しいのかよ!」
シドは吠える。人間も、魔獣もみんな勝手だ。みんな勝手に、アナの命を狙いに来る。
こんな幼気な少女の命を。その覚えていない罪によって。
「変形、鋭剣シドノツルギ」
シドは剣を変形させ、さらに鋭い形とした。
その剣は自在にその剣の長さを変え、敵を刈っていく。
「……すごい」
アナはそう呟く、だが、目の前に敵が迫っていることに気づき、魔法で自分の周囲三六〇度に強風を出して、敵を吹き飛ばす。
そしてすぐに新手はこなくなった。
「これで終わり?」
「みたいだな。また次が来たら困る。一気に駆け抜けるぞ」
「うん!」
そして走り、森を抜ける。するとすぐに次の町に着いた。
「ここで、宿に泊まる」
「うん。分かった」
二人は宿に泊まる。だが、問題は明日からどうやって生活していくのかだ。
何しろ、この街にはギルドがない。それに、追手の問題や、アナに群がる魔物のことも気になる。
考えなければならない事が沢山ある。
「ふう、ふっかふか」
そう言ってアナはベッドに勢いよくダイブした。
「ここの布団も気持ちがいいです」
「それは良かった」
嬉しそうなアナを見るのはシドにとって楽しい事だ。
「それで、これからどうやってお金を稼ぎましょう」
「それについては考えがある。まず、ここではギルドはない。だからこそ売る相手を変えるんだ」
「変える……?」
アナは首を傾げた。
「ああ、所詮ギルドは仲介業なんだ。顧客からの依頼を冒険者たちに紹介してるだけに過ぎない。だから僕たちで依頼を集めたらいいんだ」
「なるほど、それは名案ですね」
そう言って、アナはシドの手を握った。
「明日から早速やっていきましょう」
「ああ」
結局二人が思い立った金稼ぎの方法は、魔物狩りだ。
だが、売る相手は、飲食店にである。
その近くには、山があり、そこに肉の美味しい魔物がいるのだ。
その魔物は効果で売買されるため、金儲けとしては、良い方法だ。早速翌日、高値で取引される。その値段と言えば、一度の売りで、十万ゴールドのお金をもらえる。
だが、それ相応の危険度もある。それに、山には魔物がいるのだ。




