コンセントの修理で――家に来てくれたおじさんに、服の下に隠していた秘密まで見られてしまいました
リビングのコンセントが使えなくなりました。
最初は放っておこうと思いましたが、掃除機まで動かせないのは不便です。
管理会社へ連絡すると、その週の土曜日に修理の人が来ることになりました。
訪問予定は午後一時です。
私は昼前にシャワーを浴びました。
薄い白のTシャツと、黒いフレアスカートを着ます。
Tシャツの下にブラはつけませんでした。
スカートも、膝よりだいぶ上までしかありません。
下着もやめました。
代わりに、以前アダルトショップで買ったスプレッダーを装着しました。
お尻の左右を革のベルトで引き、力を入れてもお尻の穴を閉じられなくする装具です。
(これでいい)
全身鏡の前で横を向きました。
スカートを下ろしてしまえば、外からはわかりません。
でも、その下ではずっと、お尻を広げられたままです。
午後一時を少し過ぎたころ、インターホンが鳴りました。
「はい」
玄関に来ていたのは、四十代ぐらいの男性でした。
作業着を着て、大きな工具箱を持っています。
会社名と名前を名乗ったあと、
「コンセントの不具合ですね」
確認されました。
「こっちです」
リビングへ案内します。
問題のコンセントは、ソファの横にありました。
作業がしやすいように、ソファは壁から少し離してあります。
テレビには、ヨガの動画を映していました。
床にはマットも敷いてあります。
修理中、近くでストレッチをするつもりでした。
(せっかくだから)
(少しくらい、見てもらいたい)
私はマットの上に座りました。
修理員さんは、コンセントのカバーを外しています。
こちらを見る様子はありません。
両脚を伸ばして前屈しました。
短いスカートが太ももの上までずり上がります。
それでも、反応はありませんでした。
今度は片膝を立て、上半身を横へ倒します。
片腕を頭の上へ伸ばすと、Tシャツが持ち上がりました。
もう片方の腕で胸元を抱えます。
隠しているようで、胸を中央へ寄せているだけでした。
(見てない)
工具の音だけが聞こえます。
私がどれだけ姿勢を変えても、修理員さんは手元から目を離しませんでした。
少し腹が立ちました。
その一方で、安心もしています。
この人は、仕事をしに来ただけなのです。
「すみません」
突然、修理員さんが声を上げました。
外した小さな部品が床を転がり、ソファの後ろへ入ってしまいました。
「ああ……奥ですね」
修理員さんが隙間を覗き込みます。
「ソファを動かしますので、少し待ってください」
「上からなら取れると思います」
考えるより先に言っていました。
ソファの背もたれへ膝を乗せます。
「危ないですよ」
「大丈夫です。見えていますから」
背もたれをまたぐようにして、上半身を向こう側へ伸ばしました。
すぐにスカートがずり上がります。
(ヒーん)
(この格好、後ろから全部見えちゃう)
修理員さんに背中を向けたまま、さらに前へ進みました。
胸から上はソファの向こう側です。
下半身だけが、こちら側へ残っています。
足場が不安定になりました。
「すみません。腰を支えてもらえますか」
言ってしまってから、胸が大きく鳴りました。
(知らない男の人に)
(自分から、抱えてくださいってお願いしちゃった)
修理員さんは一瞬ためらいました。
「では、落ちないように支えますね」
両腕が腰へ回ります。
作業着の袖が、Tシャツの裾に触れました。
私はさらにソファの向こうへ身を乗り出します。
そのたびに修理員さんの腕にも力が入りました。
「もう少しです」
指先は、まだ部品へ届きません。
もう少しだけ前へ進みました。
私のからだが、ずるっと滑ります。
「危ない」
修理員さんは、とっさに腰から手を離しました。
両腕を私の脚の間へ差し入れ、太ももの付け根を下から抱えるようにして、落ちていく骨盤を支えます。
両手が当たっているのは、あそこのすぐ左右でした。
(ヒーん)
(そこ、あそこに当たってる)
そこを持たなければ、前へ落ちていく私を支えられません。
修理員さんが引き戻そうと力を入れるたび、左右の手が私の脚を外へ押し分けました。
短いスカートは、腰まで上がったままです。
下着もつけていません。
下半身は、もう何もつけていないのと同じでした。
装具によって閉じられなくなったお尻と、修理員さんの両手に押し広げられたあそこ。
その両方を、私は自分では隠すことができません。
(ヒーん)
(こんなところを持たれてる)
修理員さんに邪な気持ちはありません。
私を落とさないように、必死で支えているだけです。
だから、やめてとも言えませんでした。
「すみません……そのまま支えていてください」
私は自分からお願いしました。
あそこに手を当てられたままにしてください。
そう言っているのと、ほとんど同じでした。
部品は、もう指先のすぐそばにあります。
少し手を伸ばせば取れました。
でも私は、わざと指先を迷わせます。
「あ……もう少しです」
修理員さんの息遣いが聞こえました。
私を支え続けるのは、思っていたより大変なのでしょう。
「お客さん、腰の……そのベルト、大丈夫ですか」
心臓が大きく跳ねました。
(ヒーん)
(やっぱり、気づかれちゃった)
ただのベルトに見えるはずがありません。
この位置からなら、何のための装具なのかもわかってしまうはずです。
「大丈夫です」
声だけは平静を装いました。
「見ないでください。でも、手は離さないで」
自分で口にしてから、顔が熱くなりました。
見ないでと言いながら、スカートを直そうともしません。
そもそも今の私には、直すことができませんでした。
(見ないでなんて)
(本当は、全部見られたいくせに)
ようやく部品をつかみました。
「取れました」
でも、そこから自分の力では戻れません。
上半身をソファの向こうへ乗り出しすぎて、足に力が入りませんでした。
「すみません……戻してください」
修理員さんは短く、
「はい」
答えました。
私の下半身を抱えたまま、後ろへ引き戻します。
私は抵抗することもできず、修理員さんの両手に預けたまま、ソファの上をずるずると戻されました。
(ヒーん)
(知らない男の人に、こんなふうに戻してもらってる)
足が床についても、すぐには振り返れませんでした。
スカートを下ろしながら、
「ありがとうございました」
何事もなかったように言います。
修理員さんも、何事もなかったように部品を受け取りました。
そのあと、修理はすぐに終わりました。
私は麦茶を出しました。
「先ほどは、すみませんでした」
「いえ。落ちなくてよかったです」
返ってきたのは、それだけでした。
顔を見ても、何も読み取れません。
私のからだを支えたことも、
スカートの下で見たものも、
仕事中に起きた小さな事故として処理しているようでした。
(事故じゃないよ)
(私が、わざとやったんだよ)
心の中で教えてあげると、またからだが熱くなりました。
玄関で、作業完了の書類に署名します。
用紙には、私の名前と、この部屋の住所が印字されていました。
旅先ですれ違っただけの人ではありません。
知らない街で、二度と会わない人でもありません。
この人は、私がどこに住んでいる誰なのかを知っています。
「ありがとうございました」
ドアを閉めました。
鍵をかけてから、しばらく玄関を動けませんでした。
スカートの下には、まだ装具がついています。
さっき彼の両手に抱えられた感覚も、はっきり残っていました。
(私のこと、どう思ったんだろう)
偶然だと思われたのなら、少し寂しい。
私がわざとやったと気づかれていたのなら、怖い。
どちらであってほしいのか、
自分でもわかりませんでした。
PS
これまでは、見られても二度と会わない人を選んできました。
今回は違います。
修理員さんは、私の名前も住所も知っています。
どうしてあんなに高揚したのか、あとになってわかりました。
大事なところを見られたからだけではありません。
私がつけていたのは、普通の女の子なら知らないような、いやらしい装具です。
会社では真面目に働いている、どこにでもいる二十六歳の女の子が、
服の下ではそんなものをつけて、知らない男の人に見られようとしていた。
その秘密まで、知られてしまったのです。
しかも修理員さんは、私の名前も、住んでいる部屋も知っています。
あの人が、誰かに話すことだってあるかもしれません。
そう考えると怖くなります。
でも同時に、
私の知らないところで、私のいやらしい秘密を誰かに話されているところを想像すると……
また、からだの奥が熱くなりました。




