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ピッツァに嘘はない! 改訂版 作者:櫛田こころ

第三章 交わる記憶

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091.中層にてLETS!-②

昼の部の投稿でーすノシ
「ご無沙汰しております、フィルザス神様」

 慌てるイシャールさん無視で、シャルロッタさんはフィーさんに向かって綺麗にお辞儀されていた。
 砕けた接し方の人がほとんどだから、こう言うの見るのは新鮮かも。

「かしこまらなくていいよー? 僕が来てるのは公式じゃないし」
「ですが」
「まあ、イシャール達みたいにしなよとは言わないけど。普通でいいから、ね?」
「あ、はい」
「そーれよりも」

 と言って、フィーさんは不思議形なマントの中から例のハリセンを取り出し、間髪入れずにイシャールさんの頭に下ろした!

「いってぇ⁉︎」
「中層にまでピッツァ広めていいなんて、エディの許可なくなーにしちゃってんの! もうほとんど仕込み終わってるようだから止めれないけど」

 ぷぷんすかぷん、とフィーさん珍しくおこのようです。

「いいじゃねぇか! 食うのは俺とかここの面子だけだろ⁉︎」
「とか言って、アレンジして出せなくもないでしょう? パンで代用出来なくもないのは聞いてるし」
「う」

 それからはフィーさんのねちねち攻撃がイシャールさんに降りかかっていった。

「ど、どうします?」
「本気では怒られていないようだけど、料理長には犠牲になってもらいましょうか」
「こ、これとかは?」
「うーん。生地は使わないと私達じゃ処理しきれないし……ソースは、あのジェノベーゼとやら以外はなんとかなるけど」
「何を言ってんのさ? 作らせないとは言ってないよ!」

 もう終わったのか、フィーさんが上機嫌で僕らの方にやってきた。こっそりイシャールさんを見ると、頭を抱えて痛そうにしてるが多分あれはハリセンでバシバシ叩かれたんだろう。

「い、いいんですか?」
「まあ、直接中層のメニューに出さないならいいと思うよ。ピッツァの焼き加減は繊細だし、大雑把じゃあここや下層でも出せないからね」
「承知しました。では、今日限りの特別なまかないとさせていただきますね」
「うん。それならいいかな?」

 一度知ってしまったものを忘れるのは無理だけど、それについては咎めないみたい。
 なので、ピッツァ作り再開です。
 フィーさんにはピールを出してもらってからクラウを見ててもらいます。

「こいつがピールっつーのか?」
「木製では火で焦げたり匂いがうつる可能性もありますから、この方が良いですね」

 大昔はともかく、現代のピールは大体こんな感じだからね。僕も詳細については意識していなかったけど。

「じゃあ、基本のマルゲリータから焼いていきますね?」

 試食用兼ねて、枚数は一枚。
 今回はイシャールさんとシャルロッタさんにクラウとフィーさん。フィーさんは小腹がすいてて我慢が出来ないみたい。

「よっと!」
「ほぉ?」
「器用ですね……」
「ふゅふゅ!」
「僕も練習してみようかなー?」

 生地伸ばしは相変わらず初見の人には驚きと関心を与えちゃうみたい。
 手早くトッピングもして窯の中へ。

「焼いて、包丁でカッティングしてからお皿に盛り付けて完成です!」

 じゅうじゅう焼けるチーズの匂いは毎回堪りません。
 僕は外見お子ちゃまだから、これとかは食べずにデザートピッツァをおやつ代わりにする予定です。

「すっげ。パンでやってた時の比じゃねぇぞ、カッツの溶け具合」
「これも素手でいいの?」
「はい。焼き立てなんで、具が落ちやすいですから気をつけてください」

 食べたくなるの我慢して、僕はクラウの分を切り分けてあーんさせているよ。

「美味しーー!」
「ふゅ、ふゅぅ!」
「…………」
「…………」
「あれ?」

 フィーさんはいつも通りなのに、イシャールさん達が無言?
 振り返ってみれば、ピッツァ咥えたまま肩がぷるぷるしていたよ。

「イシャールさん? シャルロッタさん?」
「「う……」」
「う?」

 なんかこう言う展開どっかであったような?

「美味過ぎんだろ⁉︎ マトゥラーとカッツだけでもすげぇのに、生地が滅茶苦茶合う!」
「端はかりっとしてますけど、ソースの下はもちもちしてて病みつきになりますよ! これが基本形⁉︎」
「ねー? 簡単には他所で出せないでしょ?」
「だな」
「ですね!」

 それほど?と僕は思っちゃうけど、僕が蒼の世界の人間だからだろうね。
 異世界の常識が今までの常識と違うのは短い間でもわかってきたもの。ファルミアさんは転生の上に記憶持ちだったから大変だったろうな。

「ふゅ、ふゅ!」
「まだ焼くからとりあえず一枚ね?」
「ふゅ」
「何やら楽しそうですね?」
「ミュラドさん!」

 今度は下層料理長まで来ちゃった。

「やっほー、ミュラド」
「フィルザス神様……お久しゅうございます」
「非公式だからかしこまらなくていいのにー」
「無茶を言わないでください……」
「どうした、ミュラド?」

 二枚目を食べながら、イシャールさんはお行儀悪くミュラドさんに問いかけた。
 すると、ミュラドさんのホワイトオパールの瞳が細く鋭くなっていく。

「アズラント将軍から識札をいただいて来たんだよ。カティアちゃんの守護獣を人質に例のピッツァって言うのを作らせたんだって?」
「ぴょ⁉︎」

 怖い。怖いです!
 ライガーさんの弟さんと言うだけあって顔は似てるけど、纏う空気とかが黒いよ!
 けど、サイノスさん救済措置を他にも用意してくださってたんだね?

「お、俺やシャルとかだって手伝っ」
「りょ・う・り・ちょう? 私がさっき言ったことも忘れてませんか?」
「うっ」
「シャル君抜きに進めれないと思ったけど……もう出来てると言うか試食してるようだしね」

 おっしゃる通り、もろ実食タイム中ですよ。

「あ、そうだ。あと一枚ですが、ミュラドさんも食べてみてください」
「……いいのかい?」
「仕込んだ生地全部焼くんで大丈夫ですよ」
「……どれだけ仕込みしたの、イシャール?」
「こ、ここのまかないで食えるくらいだ!」
「それならいいけど。せっかくだからご馳走になるよ。これは……赤いのはマトゥラーに見えるけど?」
「マルゲリータと言うピッツァです! ソースはマトゥラーをベースにしてるんですよ」

 ちょっと冷めちゃったけどピッツァは多少冷めても美味しい。
 なので、クラウが飛びつくのを防ぎながら勧めればミュラドさんはひょいっと最後の一枚を持ち上げた。

「いただきます…………ん⁉︎」

 不安げな瞳が一変して驚愕に変わる。いい意味でね?

「美味しい……ソースにはアリミンとオラドネも入ってるんだ。調味料は多分ポルトかな?」
「さすがです」

 階層は一番下でも厨房を預かる人の舌は凄い。

「でもこれ基本のタイプなんですよ。他のソースや具材も可能な限り用意したんです」
「……まかないでだよね、イシャール?」
「か、カティアがわざわざ用意してくれたんだって!」
「料理人でも子供の運動量考えてよ!」
「ぼ、僕は慣れてるんでいいですよ?」

 キリがないので、次に焼くやつを三枚くらい用意しよう。生地回しをしていたら、喧騒が止んでミュラドさんがほけっと言う感じのお顔になっちゃった。

「すごい。体の軸がぶれてない……」
「じゃあ、ジェノベーゼとオーラルソースにマトゥラーでもラミートンたっぷりのにしますね」

 これも手早く仕込んで窯にIN!
 くるくるピールで適度に焦げ目をつけていたら、

「あ、あの緑のソースは?」
「ヘルネやオラドネで作ったジェノベーゼってソースだよ。焼くと美味しいよ?」
「あれが……ヘルネ? フィルザス神様は気に入られたのですか?」
「カティアが作ってくれるのはなんでも美味しいからねー」

 嬉しいお言葉だ。
 カッティングと盛り付けはシャルロッタさんが手伝ってくださったので、すぐに終わったよ。

「ジェノベーゼとお野菜たっぷりピッツァにオーラルソースと鳥のテリヤキピッツァ、マトゥラーのカッツなしはマリナーラと言います」

 マリナーラは水菜もといユメナがあったので乗せてみました。
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