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ピッツァに嘘はない! 改訂版 作者:櫛田こころ

第三章 交わる記憶

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092.中層にてLETS!-③

夜の部の投稿でーすノシノシ
「おお!」
「こう見ると圧巻ですね……」
「焼き立てはこう言う感じなんだ……」

 皆さんキラキラとしたお顔で見てくださってます。
 けども、焼き立て熱々だからどうぞ食べてくださいな。

「ふゅ、ふゅぅ!」
「だーめだよ、クラウ。僕と君はあーと」
「……ふゅぅ」

 よだれが出そうなくらい物欲しげでいたクラウをフィーさんが抱っこで止めてくださいました。

「なぁ、食っていいのか!」
「どうぞどうぞー」
「では、いただきます」
「私はせっかくだからこのジェノベーゼと言うのを……」
「俺オーラルソースの!」
「私は……このマリナーラと言うのにしますね」

 それぞれお手に取ってくださったけど、ミュラドさんはジェノベーゼをかなり慎重になって見つめていたよ。
 セヴィルさん達に最初に出した時もかなり引いちゃってたからね。別に不思議じゃない。

「ん?」
「お?」
「あら」

 三人が一口頬張ると、それぞれ肩がぴこんと跳ね上がった。ちょっとイシャールさんのが可愛く見えちゃったよ。

「うんめ‼︎ 甘塩っぱくていくらでも食えんな!」
「ジェノベーゼもいいよ、イシャール。オラドネもだけど何か豆を砕いてるからかコクがあるし、野菜とカッツがいい仕事してるよ」
「マリナーラって、カッツがない分物足りないかと思いましたが、マトゥラーのソースでさっぱりしててユメナとも相性が抜群です!」
「ありがとうございます!」

 ぴょんぴょん跳ねてたら、頭にぽんっと大きな手が乗ってきた。

「……楽しそうにしているな」
「せ、セヴィルさん⁉︎」

 なんでお忙しいはずなのに中層に!
 しかも、言動とは違って物凄く不機嫌で、このお城で最初にお会いした時を思い出しちゃうくらい怖い……。

「げ、ゼル⁉︎」
「げ、ではないだろうイシャール……」

 言葉を発する度に威圧が増していく気がするよ……隣にいる僕は足や腰がガクガクしていっちゃう。

「何故カティアを無理に連れ出した上に調理をさせた……」
「い、いや、あの」
「アズラント将軍が先日いただいたピッツァの内容に好奇心を持たれて連れてきたそうです」
「シャル⁉︎」
「……伝え聞いた通りか」

 シャルロッタさんが割り込むと、セヴィルさん空いてる手で阿修羅並みに恐ろしいお顔を覆われた。

「やーーっと来たんだ、セヴィル?」
「ふゅぅ?」
「ふ、フィーさんが連絡されたんですか?」
「うん。大体サイノスが言ってたことを僕の式でね? それにしても遅かったねぇ?」
「この時期を考えろ……」

 ……式典間近ですもんね。

「すみません……お忙しいのにお手を煩わせて」
「……カティアが謝ることはない。悪いのは、この忙しいのに私欲で自身の業務を停滞させているそこの阿呆だ」
「………………すまん」

 イシャールさんようやく反省されたみたい?
 大柄な体格がしおしおナメクジみたいにしぼんでくように体を丸めちゃった。

「だが、もう試食までしているところしっかり知ってしまったようだな」
「ここのまかないで行き渡るくらい仕込みしちゃいました……」
「体力は問題ないのか?」
「まだ大丈夫です!」

 ピッツァに関してなら元気一杯に頑張れるもの!
 勢いのあまりに興奮してたら、何故かセヴィルさんが固まっちゃった。

「そ、そうか……」

 そしてどことなくお顔が赤いような?

「……だが、上層やエディオスの無許可でピッツァをカティアから教授したことには、いくらか咎めがあるだろう」
「なんでだよ⁉︎」
「俺よりもエディオスの性格を考えてみろ」
「あ」

 なんかまずいことでもあるのかな?
 すると、いつの間にか後ろにいたフィーさんがくすくす笑い出した。

「エディは結構食べ物に関しては独り占めしたがりだからねー? ユティとは親友だもんで分かち合いたいから知らせてたけど、城下町とかで食べたものは基本教えてくれないんだよ」
「エディオスさんが?」

 少しおっちょこちょいだけど、基本優しい人なのに。

「ああ、言い訳はあいつにしたって無駄だ。フィルザス神の式は俺とあいつ宛に届いたからな。式典明けにはおそらく呼ばれると思え」
「…………おう」
「俺は戻る。カティアにはフィルザス神がついているなら問題はないな」
「まっかせてー」
「……夕餉でな」

 と言いながら僕の頭を撫でて、ちょっとだけ笑って厨房から去って行った。

(……美形さんの微笑みは心臓壊れそうになるよ!)

 しかも、阿修羅からの変化だから余計にギャップを感じちゃう。きっと顔真っ赤だ。

「ぜ、ゼルが⁉︎」
「あ、あんな風に出来たんですね……」
「幼子は苦手でもカティアちゃんは別なのかな……」

 フィーさんとクラウ以外の外野いるの忘れてました。

「と、とりあえず、他の食事系かデザート系作りますがどちらがいいですか?」

 無理やりの話題逸らし!
 フィーさんが笑ってても無視だ!

「んー、俺はなんでもいいが」
「私もだね」
「わ、私……デザートが気になります」
「んじゃ、シャルの意見でいいな」
「そうだね。どんなのがあるんだい?」
「果物と生クリームにココルルソースをかけたものとかこの前のカッツと蜂蜜が多いですね。ファルミアさんとはコッテージカッツとは違うカッツクリームというものを使って、甘酸っぱいのやちょっと苦味があるのも作りましたが」

 クリームチーズの知識はここで解禁。
 僕から調理場の幹部の人に言うとは思わなかったけど。

「「カッツクリーム??」」
「用途はサイノスに聞いたが、作り方はコッテージと同じか?」
「僕やファルミアさんの作り方ですと、パルフェをきつーく水切りして出来ちゃうだけです」
「「「そんな簡単に⁉︎」」」

 やっぱりこのお城じゃ需要がないか、まったく存在してなかったかのどちらかだね。
 フィーさんここは混乱を招くので黙っててくれてます。

「味の予想はコッテージとは違げぇよな?」
「そうですねー、パルフェが元なので少し酸味がありますが滑らかでコッテージ以上に用途は幅広いです」

 お菓子作り、料理、おつまみなんかと言うのはチーズ料理の醍醐味。ディップにするのもいいんだよね。

「カティア、コッテージってなぁに?」

 とここで、フィーさんが質問してきた。

「……お散歩の時にここで作ってたのは覗かれたんじゃ?」

 近づいてひそひそ声で話すよ。

「音はあんまり拾わないようにしたからね。ミーアやユティとか四凶も一緒だったから」
「どうして?」
「その方が想像を掻き立てるから面白いじゃない!」
「面白い、ですか」

 そうだった、こう言う人……いや、神様でした。

「コッテージは牛乳を温めてからリモ二汁を数滴入れると白いつぶつぶの塊になるカッツなんです。分離した液体はカッツクリームの過程で出来るのとほとんど同じなんでパンに使えますが」
「おお! 今日は使わないの?」
「あまり種類出し過ぎても……」

 200以上の種類全部なんて僕でも出せないよ!
 なのでこの話は切り上げて、イシャールさん達の方に戻りました。なんか話し合われてたようだけど。

「あの、どうすればいいですか?」

 ブルーベリーチーズケーキ風以外は生地を素焼きにしなきゃいけないのだ。
 すると、イシャールさんとミュラドさんはシャルロッタさんに視線を向けて言うように促した。

「え、えっと……いいんですか?」
「デザートは女が特に好きだろ? 今後の参考にもなんだから甘えとけ」
「うん、シャル君の好きなのでいいよ」
「じゃ、じゃあ……」

 と言って僕の前に立ったと思えばすぐにしゃがんだので、猫っ毛がふわりと揺れた。

「お願い、ファルミア妃殿下と作られたって言う二種類いいかしら⁉︎」
「ぴょ!」

 ぱんっと、懇願するように手を合わせてきてちょびっとびっくりした。

「じゃあ、カッツクリームと生クリーム作りましょう!」
「生クリームは俺に任せろ!」
「あとは何が必要かな?」
「えっと、コパトとお砂糖にフェイを小さいボウル一杯くらいですね」
「パルフェは私が持ってきます!」

 と言う感じに分担して作業していき、ブルーベリーチーズケーキ風とティラミス風を作っていくよ。
 フィーさんは変わらず、クラウの抱っこで待機。

「じゃあ、まずはフェイの方から作りますねー」

 今回は女性向けの甘めで作ります。
 違うのは焼いて取り出してから適量の砂糖を振るとこかな?

「……アニンを焼くのはチェイルだけだと思ってたけど」

 アニンとはなんだろう?
 フィーさんにこそっと近づいて聞くと、蒼の世界のベリーやチェリーを指すみたい。覚えたよ。

「カッツと果物っつーのが斬新だな?」
「塩気はほとんどないので、甘めですがどうぞ」
「「いただきます」」
「どんなもんだー?」

 皆さん一ピースずつ勢いよく口に入れられた。
 待つこと数秒。

「甘酸っぱいけど、下のカッツクリームが優しい感じに包んで中和してくれます!」
「これ、ケーキでも使えそうだね?」
「カティアもそう言ってたから、作り方知ってんじゃねぇのか?」

 くるっとこっち見ないでください!
 ケーキ分野はファルミアさん以下なんだから勘弁して!

「美味しいー」
「ふゅ、ふゅぅ!」

 そしていつの間にかフィーさんクラウと一緒に食べてるし。いいけど。
また明日〜ノシノシ
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