第2話 消えたプロフシートと
あれから1夜明けて――、
「んー、今日は曇りか……」
「アンナ、ご飯できているわよー」
「はーい、お母さん!」
――、
「でね、お父さん! 私、プロフィール帳にプロフシート100枚集めるの!」
「ははっ、アンナはすごいな。なあ、母さん?」
「ええ。アンナ、そのプロフィール帳は大切に扱うのよ」
「分かった!」
そう言えば……
(メイとリサのプロフシートが消えちゃったんだった……早速2枚減っちゃった。100枚集めたいのに……)
「お父さん、お母さん」
「なんだ?」「なに?」
「プロフィール帳から、プロフシートが消えちゃうことってあるの?」
「……」「……」
2人は、私の言葉を耳にすると、顔を見合わせて視線を下に落とした。
「アンナ……」
「アンナ、まだお前はそういうことは考えなくていい。いつか、教えてあげよう」
「? 分かった。お父さん」
! メイとリサに伝えないと! 2人のプロフシートが消えちゃったって。
あっ! ベルのプロフィール帳にはちゃんと残ってるのかな? 今日は会って聞いてみよう!
「お母さん、今日はこの後、ベルに会いに行くよ」
「気を付けて。ちゃんとお昼ご飯食べに帰るのよ」
「はーい!」
――、
空はどんよりとして、じめっとした空気が肌にまとわりついていた。
「イヤぁな天気……あっ、ベル!」
ベルに話し掛けたんだけど、いつもの強気な様子はなくて……
「ベル、不思議なコトが起きたの。メイとリサのプロフシートが、プロフィール帳から消えちゃってて……」
「……ありませんわ」
「え?」
「……プロフシートだの、プロフィール帳だの! そんな事言っている場合ではありませんわ!!」
「ベル……?」
「アンナ……メイが……リサが……!!」
「え……? ベル……ベル落ち着いて!!」
「あぁぁ!!」
ベルはそのまま顔を覆って崩れ落ちてしまった。メイとリサが?
その時、ギィィーとベルのお家の戸が、ゆっくりと不吉な音を奏でて開いていった。
「あ」
そこには、私に昨日プロフィール帳をくれたばかりの偉い人が佇んでいたの。
「お……おはようございます。ベルが、メイとリサに何かあったって……」
「ああ、アンナちゃんか。2人にはね……」
ピシャーといかずちが遠くで落ちて、ざーっと空が泣き始めた。直ぐ見えるところからは、「降ってきた」「仕事は一旦休みだ」と村人たちが雨宿りを求めて慌ただしく動き始めた。
「メイと、リサに……『フコウ』?」
「……ああ」
「フコウって……なに?」
「……」
「あぁぁーん!!」
ベルはその場に泣き崩れた。膝をついた服が、雨で跳ねた泥に汚れていく。
その日、雨が上がった夕暮れ時前――。
村の外れでは、大きな炎が二つ、静かに揺れていた。
えんえんと泣く私とベルの頭を、偉い人はそっと撫でた。
そして、静かに口を開いた。
「死者を火葬するのは、魂を安らかにするためなんだよ……」
「えっぐ……うぅ。たましい?」
「そう。人は死ぬと、魂が天へ還るんだ」
「ひっぐ……メイとリサも?」
「……ああ」
「あぁぁーん!!」
私はまだそれがどういうことか分からない。ベルも只々、泣きじゃくるコトしかできなかった。
そして後に私たちは知ることになる。
この世界の真実を――




