第37話 デスサイズ
「アリシア! 急ぐぞ! 犯人をすぐに見つけにいく!」
瞬間移動で家にもどるなり俺はアリシアに告げる。
「え! 今からですから?お夕飯の準備を……」
「飯なんて土でも食えばいい!! それよりも早く犯人を見つける!」
コンコン!
誰かがドアをノックした。
ちっ! この忙しい時に!
「こちらウェブ・ステイ様のご自宅でしょうか?」
妖艶な女の声で確かにそういった。
アリシアが俺を疑いの目で見ているが当然心当たりなんぞある訳がない。
俺は知らないと首を横に振り、ドアを開けようとする。
……ん? なんか違和感が……
その瞬間、俺の第六感が危険を告げ、半歩後ろに下がった。
スパンという音とともにドアは切れ、俺の胸から腹に掛けて一筋の血の線がはいる。
袈裟斬りにされた扉の向こう側には手を鎌にした女の姿がある。
犯人だ!! こいつが金貨5枚!! 普段ならすぐにでも飛びついて殴り倒すところだがまだ第六感がビンビンと俺に危険を伝えている。
「ふーん。今の一撃をかわすなんて第六感強化(上)ってところかしらね」
「な、なぜそれを……」
「あなたがあの力を得てるのは、シスディアスの戦いを見てぺらぺら喋ってたから知ってるわよ。だからこんな所まであなたを殺しに来たのよ」
「殺せるものなら殺してみろ! 言っておくが俺はお前より遥かに強いからな!」
そして金貨5枚をアリシアに秘密で回収する!
「あら、あなた私に勝てるのかしら? あなたの鑑定眼が(特)なら私の力を見てみたらどうかしら?」
こいつに言われた通りにするのはシャクに触るが、鑑定眼(特)にはなっている。使ってみる価値はある。
鑑定眼!!
死に鎌:デスサイズ
Lv129
HP8500
MP7000
力S+
頑丈S++
素早SS+
魔力S++
魅力S+
運S
スキル??
え……俺より遥かに強いんだけど……
「なあに偉そうに言ってるんですか! 私のウェブ様に掛かればあんたなんかお茶のこさいさいですよ!!」
アリシアが空気も読まずにそう言い切る。
……まずい!
「アリシア逃げろ!」
「え?」
アリシアが声を漏らした瞬間、シュンと風が俺の横を通り過ぎて、死に鎌はアリシアの顎に手を当ててじっとみている。
「ああ! なんて美しい肌! 私の鎌がすーっと入りそう」
恍惚の表情を浮かべる、死に鎌。
み、見えなかった。俺の横を通り過ぎた筈なのに、反射神経(特)、動体視力(特)のこの俺の目を持ってしても……
「動体視力(特)なのに見えなかった……って顔してるわね。見えなくて当然。私より速いのはあのお方だけよ」
……こ、こいつより強い奴がいるだと……
「さあ。アリシアちゃん。私の鎌の餌食になりなさい!」
瞬間移動! アリシアの前!
こう念じた俺の身体はアリシアの前に現れ、奴が振り降ろそうとした鎌を掴む。
「ち、力は互角だ!」
「瞬間移動で私の前に立つなんて考えたわねぇ……高速機転(上)ってとこかしらね。(特)だったら自分だけ逃げてたでしょうけど」
「捕まえたら自慢の速さも意味ないよな……」
「力は互角でも他の能力は私の方が上よねぇ。あなたは私には勝てない」
「ふふふ、それはどうかな! 分身」
俺の影から俺が3人現れる。
「そう分身++なんだよ。俺4人ならお前よりも強い!! 1人なら勝てないかも知れない! だな俺が4人もいれば勝てる!!」
「あははは! 無能が何人揃っても無能。私に敵うはずもない」
分身の1人が死に鎌の身体を俺と一緒に掴んで俺に話し掛ける。
「こいつはやばい。本体も分かってるだろ! だからアリシアと早くに逃げろ! ここは俺達3人でなんとかする」
「俺も戦う!」
俺がそう言うともう1人の分身が俺の肩を掴んでこう言った。
「分かってんだろ、俺達4が人いてもどうにもならないってことを。申し訳ないって思うなら今度俺達にも紙を引かせろ。さっさとアリシアと瞬間移動しろ!」
「……紙を引くのは俺だ……」
「さっさと行け!」
「す、すまん」
アリシアの手を取り俺は瞬間移動!と念じた。




