第36話 虚無期間からの?
アリシアに同じ絵をもう一枚描いて貰って、周辺の聞き込みを開始する。
大体、あんな胸のはだけた目立つ格好で歩いて手が鎌になるような人間なんてすぐに見つかるだろと思っていたが……
誰も見てないって口々に言う。
「目立ちそうな人ですけど、誰も見てないって言ってますね」
「うん……すぐに見つかるとおもったんだけどな……」
「繁華街の方にも聞きに行きますか?」
「可能性は低いかもしんないけどね……」
アリシアと二人で夕方近くまで色々な場所で聞き込みを行なったが何の成果も得られなかった。
「顔は分かってても見つからないものなんですね」
「そうだねぇ……」
名前が分かれば千里眼で居場所分かるんだけど……
あの女、千里眼で見た感じなんか喋ってたみたいだけど千里眼じゃ音は聞こえないんだよなぁ……
どうしたもんか……そっくりな似顔絵を持ってしても見つからんとなると、普段は顔を変えてたりとかするのかな? 仮面かぶってるとか……聞くしかないか……
「もう日も暮れてきたし今日の所は引き上げますか」
「ああ、そうだな」
まあ今は期間限定もフェスも無いし、慌ててお金が欲しい訳でもない。今日の所は勘弁してやるか……命拾いしたな犯人め。
夕方ということは……俺はさっとアリシアに右手を出す。
「はい、はい。お小遣いですね」
「うん。いつものやつね……それと正当な報酬ってやつは?」
俺はちょっと語尾の部分をかわいくアリシアに言ってみる。
「それって前借りしたやつですよね。今週は当然ありませんよ」
「う、うんそうだよね。前借りありがとうございました。おかげ無限収納が引けました」
そう言って俺は右のポケットをぽんぽんと叩く。
それをアリシアは冷ややかな視線で見ている。
まあいい。今はフェスも期間限定もないから、小遣いだけでも問題ない。
「はい、それじゃ小遣いです」
「ありがとうございます」
アリシアから銅貨30枚の入った小袋を当然というような感じで受け取って穴に行く。穴に近づくといつもの文字が現れる。今日はその文字が変わっていた。
『緊急告知! 明日の朝から1日メンテナスが入ります』
メンテンナス? あーあの穴が無くなって10回分くれるやつか。いいぞもっとやれ。
『メンテンス後より、★★★★★限界突破が追加されます。この限界突破は恒常追加となります。そして銀貨3枚で強化されたスキルが出てくるガチャが恒常追加されます』
え……銀フェスが恒常になるってことか。まあこれは良い改良だね。金貨とかで回してたら何千枚とか何万枚とか紙の管理がめんどくさいし。
しかし限界突破ってなんだろう?
いつもの穴ならここで能力の詳しく解説はされない。しかし今回は違っていた。
『この限界突破は能力強化の限界を突破します(特)を10枚集めることで(極)に進化させることが可能となります!! ぜひ限界突破を引いて人間の限界を突破して下さい! ちなみに限界突破を重ねると……この先はお客さま目でご確認を!!』
は?……どいうこと……(特)が強化されて(極)になる……
心臓がドクドクと速く打ち始める。ミノタウロスの時に死んだ時の比にならない程に……
ま、まさか……こ、これは……腹が減ったら口の中に突っ込んでたゴミが? ちょっと燃やすものが足りない時に燃やしてたゴミが必要に?
「はあああああああああああああああああああああああああああああ? 必要なら先に言えよおおおおおおおおおおお!! 訳わかんねぇこと言ってんじゃねぇぇよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
勝手に喉の奥から声が漏れ出てきて俺は叫んでいた。
「ありえねぇぇぇ!! ほんとにありえねぇぇぇ!!! 前もって言っとけよぉぉぉぉぉぉ!! 捨てちゃ駄目食っちゃ駄目って!! ああああああああああ!!! もう!! ほんとになにかんがえてんだよおおおおおおおおおおおお」
そして叫び終わると膝がの力が抜け落ちて立ち上がることができない……
俺は四つん這いになったまま叫びを止めることができない……
「ゴミがぁぁぁぁゴミじゃなかったぁぁぁぁぁ!!!」
どれぐらいの時間が経ったのか分からない。途中で人に話しかけられてたような気さえする。まあでも少し落ち着いてきたし、勝手に声もでない、そして膝に力も入るし立ち上がることもできる。
とりあえず銅貨30枚いれて紙を引こう。明日は引けないから……
10枚の紙が穴から出てくる。
★筋力強化(微)などの今までゴミとして食ったり捨てたりしていた紙を右ポケットに突っ込む……
そう明後日までにあいつから金貨5枚の回収と、アリシアからなんとしてもお金を貰う! 前借りの前借りをする!! そして最速で限界突破を引く!!
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