第35話 ウェブ・ステイ画伯
「弔い合戦とはいいましたが……どうやって犯人見つけましょうか……」
アリシアは腕を組んで首を傾げる。
「俺にいい考えがある」
「役に立つ力があるんですか?」
俺はうんと頷く。
死者蘇生(仮)を使ってノゲイラを生き返らせて犯人を聞けばいい。それで終了。
「死者蘇生って技が使えるんだ俺、まあ生き返ってもアンデッドだけど」
「あの……ウェブ様、一応私、神の祝福を受けてるのであっさりアンデッドとか作られたりされちゃうと立場上、困っちゃうと言うか何というか……」
「大丈夫、大丈夫、アリシアちゃちゃっと浄化すれば良いだけでしょ?で死体どこなの? 脳みそ腐ったらダメらしいから、早く行こう」
瞬間移動で騎士団の屯所に向かう。
事件はギルドの管轄ではなく騎士団の管轄になるのだ。
この国の騎士団の本部は王都にあって馬鹿でかい建物のなのだが、この街にあるのは屯所の為、アリシアの家の方がでかい。
石造りの城のような建物の中にアリシアが入っていく。騎士達はみな一様に黒い制服を纏っており、その制服を着た者の往来が多い。
……そうだよなぁ……俺この制服に憧れてたんだよなぁ……今は紙さえ引ければどうでもいいんだけど。
アリシアが屯所から出てくる。その顔は冴えない。
「どうだった?」
「ダメです。結構前に殺されたみたいで発見時にはもう……」
「そっか……それなら次の手だ」
「次?」
「ふふ、この俺に次の手が無いとでもおもっていたのかね? この高速機転(特)のこの俺に」
「はい、はいでどうするんですか?」
そうこの間、アリシアに前借りした分で千里眼を引いていた。これで千里眼は+++となっている。
千里眼++は『星を見渡す目、人や場所を念じると見ることができる』この間の千里眼をもう1枚引いたから千里眼は+++となった。
その結果『星を見渡す目、人や場所を見渡せ、自分がいる場所の過去をみることができる』となった。
つまりノゲイラが殺されたところに行けば、物盗りの顔を見ることができる。
そして犯人を見つけ出せば金貨5枚を手に入れることができるということ。
「殺人現場だ。殺人現場に行けば犯人が分かる! ちなみこの力はアリシアに前借りをした時に得た力だからな!」
アリシアははぁとため息を突く。
「自分で蒸し返してどうするんですか……殺人現場は倉庫街の13番倉庫だそうですよ」
ということでアリシアが俺の手を握る。瞬間移動と念ずると赤レンガの倉庫街が目の前に広がっている。
「13番倉庫だな?」
「はい、その筈です」
いっぱい立ち並ぶ倉庫、壁に13と書かれた倉庫があり、その倉庫に入る。
木箱が無数に置かれた倉庫、確かに黒い血痕のようなものが地面や周辺の木箱に付着している。このを見ればここでノゲイラが殺されたことは明白。
千里眼! と念じる。結構日が経ってたっていってたから1日前に遡るとノゲイラの首が倉庫の中に転がっている。それからずっと見ていくと……ちょうど1週間前……
ノゲイラの首が飛び、巨乳の首が飛び、眼鏡の首が飛ぶ瞬間が映し出される。
「見えたよアリシア! 犯人見えた!」
「え?どこですどこ?」
……そうだった千里眼は他の人には見えないんだった。
俺は右ポケットからさり気なく丸めたスケッチブックと黒い絵を書く時に使う炭の塊を取り出してアリシアにアピールをする。
「あーーー俺の無限収納に収められていたスケッチブックと炭が役に立つ立つ時がきたーー!! 普通だったらかさばって持ち歩けないのにーーさすが無限収納だーーー」
アリシアは呆れたというような表情をしている。
「はいはい。とっと犯人の似顔絵を書いて下さい」
「任せとけ!!」
千里眼でその犯人の顔を見ながらスケッチブックに犯人の絵を書いていく。
「できた。完璧だ!」
アリシアにその絵を見せる。
「……犯人ってカマキリなんですか?」
「そうだよ。手が鎌みたいになるんだよ!!」
「ふーん。口の下に鼻くそ付いてますよ?」
「こ、これはほくろだほくろ!」
「っていうかこの絵じゃ何にもわからないじゃないですか!! 体、全体を書いて顔はやたらちっちゃいし口の下に鼻くそみたいなほくろがあるぐらいしかわかりません。これじゃ子供が書いたカマキリの絵ですよ!」
「いやいやどっからどう見てもカマキリ人間だろうが!!」
「分かりました! 私が描きますから、ウェブ様は私の質問に答えてください」
「ふん! どうせアリシアもカマキリにしかならねぇぇよ!」
そんな俺を無視してアリシアは絵を描き始める。
「髪型と髪の色は?」
「真っ黒で背中の半分ぐらいの長さでちょっと波打ってる感じ」
「はいはい。目の形は?」
「切れ長」
5分ほどこんなやり取りをするとアリシアが手を止める。
「できました! これが犯人ですね!」
そう言ってアリシアが書いた絵をみると千里眼でみた女そのもの顔だった。




