第27話 分身
……な、なんなんだあの光は……もしかして吉兆を知らせる光?
紙を穴から取り出し、1枚目から見る……
「うおおおおおおおおおお!!!」
お、思わず叫んでしまった……チラッと見えた紙に書かれていたの★★★★!! そして紙に書かれているのは分身!!
きたーーーー!! 期間限定!! ここで俺の頭はフル回転を始める。
分身ということは、分身させた方をアリシアのところに行かせて、俺はここで紙を引けばいいんじゃないか?
そうだ! そうしよう!
流石、高速機転(中)、いい考えが浮かんだ。
なら早速、分身を使ってアリシアの所に行かせよう。
分身! と念じてみる。すると自分の影から腕が生えてきて地面を掴んで一人の男が現れる。
自分の顔なんてそうまざまざと見ることもないからこれが俺と言われても、ピンとこないし、もっとかっこいいような気もするが、分身ということだからだぶんこれが俺なのだろう。
よし! 分身に命令だ!!
「分身よ! これからアリシアの所に行け!」
「断る。俺はここで紙を引くからお前が行け」
「は?紙を引くのは俺だ。分身のお前が引いても仕方ないだろ?」
「分身だから俺が引いてもお前の能力は上がるはず。俺が紙を引くからお前が行け」
「いやいや、それなら俺が引いてもお前の能力が上がるんだからお前が行けよ」
こいつ……分身の癖に……紙を引くことにこだわりやがって……
「俺が引いたほうが★が多い紙が出るかもしれないだろ?」
「なに言ってるんだ! 俺が★★★★の分身を引いたからお前がここにいるんだろ! 俺のほうが良い紙を引ける!!」
「ふざけるな! 俺はお前なんだよ!!」
「お前こそ、俺の分身のくせに!!」
こうなったら力づくで分からさせてやる!
すると分身は俺を指差してこういった。
「お前はこう考えている。力づくでも分らせてやると」
「ああ、そうだよ!」
右の拳を握りしめ、思いっきり分身の目掛けて叩きこむ。
バチン! という音がする。俺の右拳と分身の右拳同士がぶつかり合う。お互いのちょうど真ん中で拳と拳がぶつかり合い、そのまま力比べのようになる。
俺と分身の腕の筋肉がプルプルと震え出す。
「分身のお前が行け!」
「本体が行け!」
同じタイミングで分身と俺は距離を取る。
「これならどうだ!!」
「これでどうだ!!」
俺と分身は全く同じタイミングで拳の連打を叩き込む。
その全てが鏡の中の自分と戦っているかのように、全ての拳同士がぶつかり合う。
数分の打ち合いは全て拳同士のぶつかり合いで終わる。また同じタイミングで距離を取り、俺は肩で息をし、分身も同じように肩で息をしている。
「はぁはぁはぁ……やるな分身……」
「はぁはぁはぁ……本体こそ……」
くそ……このままじゃ埒があかない……分身というだけあって力は互角だし、攻撃のタイミングまで全て一緒……。
クソッ……こうなったら……
空が赤くなり始めており、それを見て分身が呟く。
「もう時間がないな……」
「ああ……仕立て屋に行く時間だ……」
「本体、お前が行け、紙は俺が引いといてやる」
「ぬかせ、分身……紙は俺が引く。分身解除!」
俺が分身解除というと、分身はそのまま姿を消す。
分身のくせに俺の言うことを聞かないとかもう使ってやらんぞ……今から紙を引いてアリシアの待つギルドに行って仕立て屋に瞬間移動すればまだ間に合うはずだ……分身の所為でとんだ回り道になってしまった。
俺の手の中にある分身の紙を改めて見る。
★★★★分身
『自分の分身を1体作ることができる』
分身のくせに俺の言うことを聞かないとかありえないだろ……俺が紙を引きたいから分身を呼び出したんだろ。その辺わかっとけよ……
ああああ!! こんな事してる暇はない。早く紙を引かないと!! ということで俺は後9枚の紙をみる。★と★★ばかり、そして★★★が1枚。
あとの56枚!! 早く引かないと、穴の前に立つと『10連を引きますか?』の表示が現れ急いで頷くと今度は金色に輝くことなく10枚の紙が現れる。
当然10枚の紙は保証の★★★しかない。たぶん金色に輝くと★★★★が出てくるんだろうな……金色に輝くことを祈りながら引くがあとの46枚全て穴が輝くことはなかった。
結局65枚はゴミ32枚、★★24枚 ★★★8枚でフィニッシュ。★★の新規追加は魅了耐性(微)から(下)になり、石化耐性も手に入れることができた。
後は★★★★★の無限収納だけだ!!
ギルドに瞬間移動するとアリシアが眉をしかめて立っている。
「遅すぎです! もっと早く帰ってくると思ってたのに!!」
「ごめん、分身が言うことを聞かなくて……」
「訳のわからないこと言わないで下さい。嘘ならもっとましな……もう時間ないですから仕立て屋に行きますよ!」
ということで俺とアリシアは仕立て屋に瞬間移動をした。




