第26話 オークも倒して下さい
アリシアとギルドの受付前に瞬間移動をする。
「さあ、アリシア約束だろ? 早くクエストを」
「分かってますよ」
アリシアがあの仏頂面で愛想が悪くて杓子定規な受付嬢に話しかけている。
たぶん俺の姿が見えたらまずいだろうから少し離れた場所で聞き耳を立てる。聴力強化(特)の俺に聞こえないものはない。
「良いクエストありますか?」
「朝も来てましたよね?」
「はい!」
「依頼者さんも仕事が早くて喜んでましたよ」
「そうですか!それは良かった!」
……アリシアとあの無愛想な受付嬢が仲良く話しをしているのが聞こえ、遠巻きに様子を伺うと……なぜか俺にはいつも仏頂面の受付嬢がニコニコとしながらアリシアと談笑している。
は?……なんだあの笑顔は……
まあ……そんなことはどうでもいい。早くクエストを受注しろって……俺は早く紙が引きたいんだ……もし今紙を引いたら★★★★★が出るかもしれない! アリシア俺に早く紙を引かせてくれ……
受付嬢が奥に書類を取りに行った隙を見てアリシアに近づいて声を掛ける。
「アリシア早くして!!」
「ウェブ様の為にちょっとでも報酬のいいクエストを探してるのがわからないんですか? 私がただ仲良く話しているだけとでも?」
「……ごめんなさい……」
俺は謝ってその場を離れる。
そして数分後。
アリシアがクエストの依頼書をひらひらと掲げながらやってくる。視力強化(特)の俺のこの目は依頼書に書かれた文字を見逃さない。
場所:ルベールク廃城。
対象:ゴブリン
場所と対象の2つが見えた瞬間に、即座にルベールク廃城に瞬間移動。アリシアは勿論その場に置き去り。
廃墟になった城の中に直接、瞬間移動をし俺は叫ぶ。
「ゴブリンどこじゃーーーー!!」
俺が叫んだおかげか「ぐへぐへ」とゴブリン達が10数匹現れ、俺はあっという間にゴブリンに囲まれる。
「お前ら全員纏めてかかってこいや!」
手にナイフや斧を持った10数匹のゴブリンが一斉に俺に襲いかかってくる。
「俺の頑丈はS、お前らごときがダメージを与えられるはずもない」
ゴブリンの攻撃が体に触れる前に次々に拳を繰り出す。
「すまん、すまん、素早さはS、動体視力強化(特)の俺にお前らの攻撃が遅すぎて先に攻撃をしてしまった」
ゴブリンの死体の山を前にして俺はそう言って瞬間移動をしようとするブヒブヒと豚面のオークが奥から現れる。
恐らくここのゴブリン共を支配してたやつだろう……
「ブヒーーーーーーー!!! よくもゴブリン共をブヒブヒ!!」
「安心しろ。お前には用はない」
ということで瞬間移動しギルドに戻る。
「アリシア!! 報酬だ!! 報酬を!!」
「……ほんとにもう終わったんですか? オーク居ました?」
「うん。居たけど、用事がないから帰ってきた。アリシア早く報酬を」
アリシアは真顔になってこう言った。
「オークを倒すと報酬、倍になるんですけど……」
アリシアは依頼書を見せてその下の方を指差す。
そこにはこう書かれている。
『オークがいる可能性があり、オークを討伐時には報酬は倍』
……
そして俺の目の前にはオーク。
「ブヒーーーーーーーーー!!!」
また現れた俺に興奮して豚のような鳴き声を上げるオーク。
「すまんな。お前にも用事があった」
そのままオークを殴り飛ばすと城の壁に体を突っ込ませる。その衝撃で壁が崩れオークの体は埋もれそこから炎が上がり、豚の焼けたような匂いが漂ってくる。
「これで報酬は倍!」
そう言うと俺は再度ギルドに瞬間移動する。
「アリシア!」
俺が戻ってくるとアリシアすでに受付に立っていて報酬を受けとっている。
「分かってますよ。終わったらここに帰ってきて下さいね。勝手に家に帰ったら駄目ですよ?」
アリシアはそう言いながら俺に報酬を俺に渡す。
その報酬はなんと銀貨2枚!
「え?こんなに?」
得意気な顔をするアリシア。
「だから言ったでしょ良い報酬のクエストを探してたって」
「……ありがとうございます」
ここで瞬間移動し俺は穴の前に立つ。そして穴に銀貨2枚を滑り込ませると、『銀貨2枚の入金を確認しました。10連6回、単発6回引きますか?』の文字が現れる。
俺は力強く頷くと最初の10枚の紙が出てくる瞬間だった。穴の奥が金色に輝き、紙10枚がポコっと現れたのだ。
俺には何が起こったのか分からなかった。
読者の皆様にご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。
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