不快な過去 (2)
突然、視界が晴れる。まるで長い眠りから覚めて瞬きをしたかのように。
何が起きているのか理解する間もなく、自分が酒場に座っていることに気づく。
だが、ここはレゴリオにある見慣れた酒場ではない… ずっと遠く、ラリウス王国の酒場だ。
窓から差し込む光からすると真昼間のはずだが、酒場は完全に空っぽだ。
ラリウスの酒場はいつも満員なのを考えれば、極めて不自然だ。バーテンダーさえいない。一体どうなってるんだ?
突然、背後から大きな笑い声が響く。どこかのテーブルから聞こえてくるようだ。
ゆっくりと振り返り、完全に凍りつく。大きな円卓を囲んで座っているのは、俺の昔の冒険者ギルドのメンバーたちだ――飲み食いし、大声で笑っている。そしてその中に座っているのは…俺自身だ。
これは夢だ…
円卓に集まっているのはちょうど5人。俺、ディナ、レスシア、ジオナ、そして俺たちの自称リーダー、フェンゲだ。
この手の夢はいつも、俺を惨めな過去へと暴力的に引きずり戻す…
フェンゲは肩幅が広く、後ろに撫でつけた茶髪と濃い顎鬚を持つ大男だ。いつもエメラルドグリーンの鎧を着ていた。彼は前衛騎士であり、戦闘中は魔法よりも純粋な物理的筋力に頼っていた。彼の戦闘スタイルよりも最悪だったのは、その神経を逆撫でするような傲慢な声だ。彼は常に自分が正しく、どんな場所にいても自分が最強の戦士だと信じて疑わなかった。
そのすぐ隣に座っているのは、エルフのディナだ。
彼女には流れるような金髪、鋭い緑色の目、貴族のような細い鼻、そして常に真っ赤な口紅で染められた唇があった。彼女はいつも度を越した露出度の高い、下品な服を着ていた――脈のある者なら誰からでも注目を集めようと必死だった。フェンゲと同様に、彼女も異常に膨れ上がったエゴと、有害な優越感を持っていた。彼女の甲高く、不平ばかり言う声は、その腐った性格に完璧にマッチしていた。
彼女は魔法使いであり、破壊力の高い火の魔法に完全に依存していた。
彼女とフェンゲがギルドの行動を完全に支配していた――もっとも、実際には彼女がフェンゲを操っていたのだが。
ヴィンスがパーティーを抜ける前、俺たちは4人だけだった。だが彼が去った後、俺たちの総合的な戦闘力は激減し、新しい血を入れることを余儀なくされた。
そうしてジオナとレスシアがチームに加わることになったが、俺が彼女たちと共に過ごした時間は信じられないほど短かった。ジオナは内気で物静かな魔術師、一方のレスシアは生意気で口うるさい戦士――完全な正反対だった。彼女たちは実際、まともな人間だった… 少なくとも、フェンゲとディナが俺に対して彼女たちを洗脳するまでは。
俺が初めてギルドに入った時、フェンゲとディナは素晴らしい演技をしていた。彼らは友好的で、歓迎してくれ、協力的だった。俺たちは結束した部隊として戦い、酒場の勘定を均等に割り勘し、お互いの背中を守った。だが今振り返れば、それはすべて哀れな作り話だった。
ヴィンスは気まぐれでギルドを辞めたわけじゃない。彼が去ったのは、ディナとフェンゲが彼の陰で常に囁いていた、胸糞悪く嫌悪感を抱かせるような噂のせいだ。彼が俺たちといた期間は短く、そもそもフェンゲが彼を加入させた唯一の理由は、ヴィンスが異常なほど強力で、フェンゲがより難しいクエストのために彼の力を利用したかったからだ。
だが、ヴィンスは根本的に俺たちとは違っていた――文字通りに。
ヴィンスは魔人だった。世界で最も普遍的に嫌悪されている種族の一員だ。
フェンゲとディナの生得的な偏見が表面化するのに、時間はかからなかった。彼らはヴィンスについての悪意ある嘘を捏造し始め、街の他の冒険者たちにその噂を熱心に広めた。
ヴィンスは冒険者にしては信じられないほど裕福だった。彼は絶え間なく高ランクのソロミッションを引き受ける猛烈な仕事人間であり、つまり莫大な報酬をすべて一人で懐に入れていた。
これに気づいた2人のリーダーは、彼をこの地域から完全に追放する絶好の機会だと考えた――だがその前に、彼が苦労して稼いだ金を合法的に騙し取ろうとしたのだ。
だがヴィンスは馬鹿じゃなかった。彼らが金貨一枚でも彼から搾り取る前に、彼は荷物をまとめて王国から完全に去った。彼が姿を消す前夜、彼は密かに俺と会い、どこへ行くのかを正確に教えてくれた。バッドランズ大陸だ。
当然、俺はフェンゲやディナに彼がどこへ行ったかは絶対に言わなかったが、俺は本当に激怒していた。なぜ彼らが俺たちの最大の戦力を追い出すことにそれほど固執したのか、理解できなかった。
俺がそのことについて彼らを問い詰めると、彼らは薄汚い魔人と付き合うことは自分たちの清廉な公的評判を落とし、潜在的な顧客を怖がらせることになると、得意げに答えた。
俺は完全に言葉を失った。あの瞬間、俺が感じたのは純粋で混じりけのない憎悪だけだった。
俺は彼らを説得しようとした。ヴィンスの純粋な力は、俺たちの妨げになるよりも無限に多くの成功をもたらしてくれていると主張した。彼らは俺を完全に無視した。
俺は彼らの基本的な人間性に訴えかけようとし、魔人も俺たちと同じように生き延びようとしている普通の人間だと明確に述べた。彼らは文字通り俺の顔を見て笑った。
あの衝突の後、すべてが変わった。かつて俺を家族のように扱ってくれた奴らが、積極的に俺を妨害し、中傷し始めた。
以前は、クエストを完了するたびにフェンゲが報酬を分け、パーティー内で平等に分配していた。だが俺が口頭で彼らに反対した瞬間、俺の平等な取り分は突然消え失せた。
俺の支払いは目に見えて少なくなった。俺が説明を求めるたびに、フェンゲは吐き気がするほど皮肉で嫌味な謝罪を口にした。
任務成功後に酒場でやっていたお祝いの夕食会は完全に無くなるか、わざと俺を誘うのを忘れるかのどちらかになった。
だが最悪だったのは、俺の魔法に関する執拗な心理的虐待だった。
当時、俺は操作魔法に大きく依存しており、剣の切断力を劇的に高めるために常に剣に水をまとわせていた。水の魔法は昔から俺のメインの適性だ――その攻撃力において悲劇的なほど過小評価されている属性だ。
奴らは絶え間ない侮辱をただの親しげな冗談だと主張したが、俺には奴らが何をしているのか正確に分かっていた。自分たちの脆いエゴを膨らませるために、組織的に俺を打ち砕こうとしていたのだ。彼らの執拗な嘲笑は最終的に俺の自信を完全に打ち砕き、魔法を一切使わなくさせた。
俺自身も、自分のために何もしていなかった。精神的にひどく打ちのめされていたせいで、俺は常に頭を下げ、些細なミスでも謝り、奴らが生まれつき俺より優れているのだと本気で信じ込んでいた。
俺がまだブロンズランクに留まっている一方で、奴らが誇らしげにシルバーの記章を見せびらかしていたという事実が、全員の心の中にあるその有害なヒエラルキーをより強固なものにした。
俺の苦しみを少しでも理解しているように見えたのはジオナだけだったが、彼女は一度も俺をかばうために立ち上がることはなかった。それが身をすくませるような内気さからなのか、それとも自分が次の標的になることへの純粋な恐怖からなのか、俺には一生分からないだろう。
一方、レスシアはフェンゲのカリスマ性に簡単に操られていた。彼女はすぐに奴らのエリート主義的な考え方を取り入れ、俺をゴミのように扱い始めた。
俺の野心は、頭の中で押し寄せる息が詰まるような憂鬱の波に完全に飲み込まれてしまった。
至高の剣士になるという夢は常に遠い空想だったが、あのテーブルに座っていると、それは永遠に、そして苦痛なほどに手の届かないものに感じられた。
だが、最も暗い瞬間でも、俺はいつもヴィンスが去る前に俺に言ったことを思い出していた。「明日自分がどんな人間になりたいかを常に想像し、今日その人間になるために絶え間なく努力しなきゃいけない」
ある朝、俺はついに目を覚まし、あの惨めな連中と一緒に苦しむことで得られるものはもう絶対に何もないと悟った。だから、ヴィンスと同じように、荷物をまとめて逃げ出した。
当てもなく荒野へと逃げ込んだ。ただ歩いて、歩いて、歩き続けた… 疲れ果てた足がついに俺をレゴリオの門へと運んでくれるまで。
今日まで、俺の最終的な目標は究極の強さという伝説的な称号を持つことじゃない。俺の唯一の本当の目標は、誰かにとって心から重要な存在になることだ。
正直なところ、王国軍に入った無意識の理由もそれだと思う――周りの人たちにとって俺が実際に重要であると感じたいだけなのだ。たとえ彼らの名前を知らなくても、自分が彼らを積極的に守っていると感じるために。
結局のところ、俺は本当は至高の剣士になんてなりたくなかったのだ。俺が本当にずっと望んでいたのは、必死に守れる人たちと、盲目的に信じられる友達を持つことだけだった。
パンドラ王国から逃げ出した時、俺は持っていたあらゆる物質的な所有物を捨てた。あの忌まわしい場所から持ち帰った唯一の形見は、紫色の紫水晶があしらわれたシンプルな銀のネックレスだけだ。
寝ている間にフェンゲが俺からそれを盗もうとしているのを見つけて以来、俺はそれを首にかけるのをやめた。ここを離れる前夜、彼が俺の胸元を強欲に見つめているのに気づいたので、俺はこっそり留め金を外し、寝る前にブーツの奥深くに埋めたのだ。
あれから一度も着けていない。だが、もしかしたら… また着ける時が来たのかもしれない。あんなに美しくて価値のあるものを、引き出しの底で埃を被らせておくのはもったいない…
俺は深呼吸をし、あのテーブルに座っている自分と昔のパーティーメンバーの幻影を見つめる。
大量に酒を飲み始めたのは、レゴリオに着いたちょうどその頃だった。
それは俺の主な対処メカニズムになった――問題から目を背けるための、あるいは少なくともそれに耐えられるくらい感覚を麻痺させるための必死の手段だ。
後悔はまだそこにあるが、完全に窒息させられないように、俺はそれを心の奥深くに押し込めようとしている。
そして今、俺はウィリアムと出会った。子供の頃の自分を痛いほど思い出させる少年。子供はいつも不可能で伝説的なことを成し遂げる夢を見るもので、ウィリアムも例外ではない。だが俺とは違って… 彼は実際に、自分が切望するすべてになる可能性を秘めている。
突然、視界の端が白い光でぼやけ始める。目をぎゅっと閉じようとするが、すでに閉じられていたことに気づく。
酒場の幽霊のようなイメージはゆっくりとエーテルの中に溶け込み、吹き飛ばされた煙のように消えていく。
俺はようやくまばたきをして目を開け、自分がベッドにいないことにすぐに気づく。
それどころか、昨晩足を踏み入れたのと全く同じ酒場の、ベタベタする木製のカウンターにうつ伏せで突っ伏している…
朝だ。ドアの隙間から差し込む容赦ない太陽の光が、棚にあるガラス瓶の一つに乱暴に反射し、俺の敏感な目に直接突き刺さる。
重い頭を上げると、鋭く脈打つ痛みがすぐに頭蓋骨を叩き、ゆっくりと鈍い痛みへと落ち着いていく。口の中は完全に乾ききっていて、喉が渇いて死にそうだ…
間違いなく、ひどい二日酔いだ…
昨晩起きたことを何一つ覚えていない…
最後のまともな記憶は、あの柑橘系の酒の4杯目を一気飲みしたことだ。
部屋を見渡すと、客の姿は一人も見当たらない。信じられないほど早朝に違いない。
酒棚の隣にある木のドアがギシギシと開き、昨日のハゲかかった口髭のバーテンダーが出てきて、俺が起きていることにすぐに気づいた。
「ああ、起きたか」と彼は笑いながら言う。「昨日は飲みすぎだぞ、隊長」
「俺は一体何杯飲んだんだ?」と俺は尋ねるが、自分の声は信じられないほど弱々しく、かすれている。
「正直なところ、数が多すぎて数えきれなかったよ…」
「でも、ツケは払ったよな?」
「心配するな、割り勘にしておいたから」と彼はサラリと答える。
「誰と割り勘したんだ?」俺は目を細め、完全に混乱する。誰かを連れてきた記憶なんて絶対にない。
「あんたが勝負を挑んだ客たちとさ」
「悪いが、記憶が完全に飛んでるんだ」と俺はこめかみを揉みながらうめく。「昨晩、俺が一体何をしたのか教えてくれないか?」
男は布巾を手に取り、グラスを拭き始めながら、少し面白がるような小さなため息をつく。
「あんたはこの酒場にいたほとんどの男たちに腕相撲の勝負を挑んだんだよ」と彼は何気なく説明する。「誰か自分に勝てたら、そいつの酒代を払ってやるって叫んでた。でも負けたら、あんたのツケを全部払えってな」
どうやら、俺は全員を叩き潰したらしい…
「それで… 俺は本当に勝てたのか?」と俺は神経質に尋ねる。借金の山がのしかかっていないことを絶対に確認する必要がある。
「ああ。あんたは奴ら全員に完全に赤っ恥をかかせたよ」とバーテンダーはニヤリと笑う。
彼の返事を聞いて、俺は大きな安堵のため息をついた。
男に別れを告げた後、俺は酒場からよろよろと外に出し、ゲストハウスへの道をゆっくりと歩いて戻る。
歩いていると少しめまいがするが、なんとか倒れずに立っていられる。
ようやく自分の部屋に倒れ込むと、心は夢に出てきたあのネックレスへと戻っていく。俺はそれを引き出すために、ナイトスタンドの引き出しをゆっくりと開ける。
それは比較的シンプルな銀のチェーンで、紫色の紫水晶が埋め込まれた繊細なペンダントが付いている。
これは、俺の故郷であるパンドラ王国から残された唯一の物質的な所有物だ。
これは父からの誕生日プレゼントだった。彼はパンドラ軍の誇り高き侍だったが、特に高い地位に就くことは一度もなかった。
母は信じられないほど優しく、いつも俺に十分な野菜を食べるように口うるさく言っていた。
俺は本当に、パンドラに留まるべきだったのだ。なぜ故郷を離れるなんていう馬鹿な考えを抱いてしまったのだろう?
今、両親はどこにいるのだろうか。もし今日、俺が彼らの玄関口に姿を現したとして、彼らは俺を受け入れてくれるだろうか?
待て、なんだこれは? 俺は泣いているのか?
ハッ。自分の涙を感じるなんて、本当に久しぶりだ。年を取るにつれて、俺も本当に丸くなってきたに違いない…
ところで、今日は何日だ?
なぜなら、俺はもう今日は一日中寝て過ごすつもりだから…




