第40話「玄冥への道」
翌日の放課後。
蓮たちは、三つの封印石によって浮かび上がった地図を頼りに、山奥へ向かっていた。
「この辺りのはずなんだけど……」
湊が地図を確認する。
蓮は周囲を見渡した。
「何もないぞ」
「いや」
黒川が立ち止まる。
「ある」
黒川の目の前には、木々の間に古びた石柱が二本立っていた。
その間には何もない。
だが、黒川が手を伸ばすと――
バチッ!
空気が弾けた。
「結界か」
隼人が刀に手を添える。
「この先に何かある」
湊が三つの封印石を取り出す。
「もしかして、これを使うんじゃない?」
石を石柱の前へ近づける。
すると――
三つの封印石が同時に光った。
ゴゴゴゴゴ……。
何もなかった空間に、巨大な門が浮かび上がる。
蓮が息を呑む。
「……門?」
黒川が門を見つめる。
「これが、石碑にあった『扉』か」
門には古い文字が刻まれている。
湊が読み上げる。
「『王へ至る道を開く者、覚悟を持て』」
蓮が天照を握る。
「王って……玄冥だよな」
隼人が頷く。
「間違いない」
蓮が門へ近づく。
その瞬間――
天照が強く光った。
「まただ……」
刀の光が門へ吸い込まれていく。
すると、門の奥から強烈な妖気が流れ出した。
「うっ……!」
湊が後退する。
黒川が叫ぶ。
「蓮、下がれ!」
だが、蓮は動かなかった。
門の向こうから、声が聞こえた。
『……天照……』
蓮の目が見開かれる。
「今、誰か……」
『……選ばれし者よ……』
門が大きく揺れる。
そして――
ドンッ!
門の一部が開いた。
その先には、暗い山道が続いている。
隼人が呟く。
「玄冥へ繋がる道……」
しかし、その時。
背後から声がした。
「ようやく開いたか」
四人が振り返る。
そこには獄牙が立っていた。
蓮が天照を抜く。
「獄牙!」
獄牙は門を見る。
「三つの封印石と天照……」
そして、蓮を見つめる。
「やはり、お前が鍵だったか」
蓮が睨む。
「何の話だ?」
「まだ知らなくていい」
獄牙の身体から妖気が溢れ出す。
「だが、その門を開けたのはお前だ」
隼人が刀を抜く。
「なら、ここで止める!」
獄牙が笑う。
「止められるものならな」
獄牙が一歩踏み出す。
蓮も構える。
しかし――
門の奥から、さらに巨大な妖気が噴き出した。
全員が動きを止める。
獄牙でさえ、門を見た。
「……これは」
黒川が青ざめる。
「門の奥に……何かいる」
蓮は天照を握りしめた。
門の先。
そこから感じる妖気は、今まで戦ってきた妖怪とは比べものにならなかった。
そして、遠くの闇の中で――
巨大な二つの眼が、ゆっくりと開いた。
第40話 完




