第39話「三つの封印石」
洞窟を出た蓮たちは、近くの社へ戻っていた。
机の上には、これまで手に入れた三つの封印石が並んでいる。
湊が石碑から写した文字を見つめる。
「『三つの石、揃いし時、扉は開く』……」
蓮は腕を組む。
「扉って何なんだ?」
黒川は資料を広げる。
「古い記録には、玄冥について書かれたものがいくつかある」
隼人が資料を覗き込む。
「何か分かったか?」
「まだ確証はない。ただ、封印石は単なる封印の道具ではなさそうだ」
黒川は三つの石を見る。
「玄冥が封じられた場所に関係している可能性がある」
蓮の表情が変わる。
「じゃあ、三つ集めたら玄冥のところへ行けるってこと?」
「そうとは限らない」
黒川が答える。
「むしろ、何かを開くための鍵になっていると考えた方がいい」
湊が石を見つめる。
「じゃあ、この三つだけじゃ足りないのかも」
その時――
三つの封印石が同時に光った。
「!」
部屋全体が揺れる。
石から伸びた光が、机の上に一つの地図を浮かび上がらせた。
湊が息を呑む。
「地図だ……!」
そこには、日本の一部と、見覚えのない印が描かれていた。
黒川が指を差す。
「ここだ」
「どこ?」
「玄冥が最初に封じられた場所に近い」
蓮が地図を見る。
「じゃあ、そこへ行けば……」
「何か分かるかもしれない」
隼人が立ち上がる。
「行こう」
しかし、その時。
外から大きな音が響いた。
ドンッ!
蓮が振り返る。
「妖怪か?」
黒川が外へ出る。
「……違う」
社の前に、一人の男が立っていた。
以前、洞窟で姿を見せた男だった。
隼人の表情が険しくなる。
「お前……」
男は三つの封印石を見る。
「やはり、集めたか」
蓮が刀に手をかける。
「何者なんだ?」
男は答える。
「その石を集めることが、何を意味するのか知らないだろう」
「だったら教えろ」
男は蓮を見る。
「三つの封印石は、玄冥を封じるためだけのものではない」
湊が驚く。
「じゃあ、何のために?」
男は静かに言った。
「玄冥へ繋がる道を開くためだ」
全員が息を呑む。
隼人が刀を抜く。
「……お前は何を知っている?」
男は答えず、背を向けた。
「その先へ進めば、もう後戻りはできない」
「待て!」
蓮が呼び止める。
男は振り返らない。
「次に会う時は、敵かもしれないな」
そのまま森の中へ消えていった。
蓮は三つの封印石を見る。
「玄冥へ繋がる道……」
隼人が呟く。
「俺たちは、知らないうちに玄冥へ近づいている」
黒川が地図を手に取る。
「だからこそ、慎重に進む必要がある」
湊が頷く。
「でも、ここまで来たんだ」
蓮は天照を握る。
「行こう」
四人は地図に記された場所を目指すことを決めた。
第39話 完




