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妖怪大戦記  作者: 湯けむり作家
第1章「封印崩壊編」
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第4話「追われる少年」

「はぁ……はぁ……!」


蓮は必死に走っていた。


背後から、木々を踏み倒すような音が近づいてくる。


「待てぇ……!」


「なんなんだよ、あいつ!」


蓮は振り返らない。


昨日までは、妖怪なんて存在すら知らなかった。


それなのに今、自分は妖怪に追われている。


「くそっ!」


角を曲がる。


だが――


「……え?」


目の前に、さっきの妖怪が立っていた。


「なっ……!」


蓮は慌てて足を止める。


「逃げられないぞ、人間」


妖怪がゆっくり近づいてくる。


「お前……俺を狙ってるのか?」


「刀の匂いがする」


「刀?」


「天照だ」


蓮は息を呑む。


妖怪は牙を見せて笑った。


「天照を持つ者を見つけたら、知らせろと言われている」


「誰に?」


妖怪は答えない。


ただ、蓮へ飛びかかる。


「うわっ!」


蓮は横へ転がって避ける。


妖怪の爪が電柱をえぐった。


「こんなの……まともに食らったら死ぬ!」


蓮は立ち上がり、再び走る。


その時、ポケットのスマホが落ちた。


「しまった!」


拾おうとした瞬間、妖怪の爪が迫る。


蓮はとっさに腕で顔をかばった。


「ぐっ!」


身体が吹き飛び、地面を転がる。


「痛っ……!」


腕を見る。


制服が破れている。


幸い、大きな傷ではない。


しかし、立ち上がろうとしても足に力が入らない。


妖怪が近づいてくる。


「終わりだ」


蓮は地面に座ったまま、妖怪を見上げる。


怖い。


身体が震える。


それでも、昨日の玄冥の言葉を思い出した。


「……俺は……」


蓮は拳を握る。


「まだ、何も分かってないんだよ」


妖怪が腕を振り上げる。


「だったら――」


蓮は必死に立ち上がった。


「こんなところで終われるか!」


その瞬間。


遠くから、かすかな音が聞こえた。


鈴の音。


チリン……。


妖怪が動きを止める。


「……何だ?」


蓮も振り返る。


道路の向こうに、人影が立っていた。


顔はよく見えない。


だが、その人物は妖怪を見ている。


「……誰だ?」


蓮が呟く。


人影は何も言わない。


妖怪が警戒する。


「人間……?」


その瞬間、人影が一歩前へ出た。


妖怪は蓮から視線を外し、その人物を睨む。


「お前……何者だ」


人影は答えない。


ただ、静かに手を上げた。


すると――


妖怪の足元に、小さな光が走った。


「ぐっ!」


妖怪が飛び退く。


蓮は驚いて、その人物を見る。


だが、次の瞬間には――


人影は姿を消していた。


「……消えた?」


妖怪も周囲を見回す。


「ちっ……!」


そして妖怪は蓮を睨む。


「今日は見逃してやる」


「え?」


「だが、天照を持つ者は必ず見つける」


妖怪は闇の中へ走り去っていった。


蓮はその場に立ち尽くす。


「……何だったんだ、今の」


助けてくれた人物。


妖怪が口にした「天照」。


そして、玄冥の言葉。


蓮の中で、いくつもの疑問が膨らんでいく。


家に帰れば、天照がある。


だが――


もう今まで通りの日常には戻れない。


第4話 完

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