第36話「封印石を持つ妖怪」
地下へ続く広間。
妖怪は封印石を握ったまま、蓮たちを睨んでいた。
「この石は渡さん」
蓮が天照を構える。
「なら、奪う!」
蓮が踏み込む。
妖怪の爪が振り下ろされる。
ガキィン!
天照で受け止める。
「くっ……!」
以前よりも重い。
蓮は力任せに押し返そうとする。
だが、黒川の言葉が頭をよぎった。
――力を入れすぎるな。
蓮は一度身体を引く。
妖怪の攻撃をかわし、その勢いを利用して横へ回り込む。
「そこだ!」
ザンッ!
妖怪の腕に傷が入る。
「ぐっ!」
隼人も反対側から斬り込む。
「蓮、今だ!」
「分かってる!」
二人が同時に攻撃する。
妖怪は後退する。
しかし、その手にある封印石が突然光り始めた。
「……!」
黒い妖気が妖怪の身体へ流れ込む。
「何だ……?」
湊が驚く。
妖怪の傷がみるみる塞がっていく。
「封印石の力を吸収してる!」
黒川が叫ぶ。
「蓮、気をつけろ!」
妖怪が巨大化する。
「これが……封印石の力だ!」
ドンッ!
床が砕ける。
妖怪の拳が蓮へ迫る。
「蓮!」
蓮は横へ飛ぶ。
拳が壁に直撃する。
轟音とともに壁が崩れた。
「危なかった……」
蓮が立ち上がる。
隼人が妖怪を見る。
「正面からじゃ無理だ」
「じゃあ、どうする?」
「封印石を狙う」
蓮が頷く。
「分かった」
黒川が札を取り出す。
「俺が動きを止める。その隙に二人で石を奪え」
「頼む!」
黒川が札を投げる。
「封!」
札が妖怪の両足に張り付く。
妖怪が動きを止める。
「今だ!」
蓮と隼人が同時に走る。
妖怪が腕を振る。
隼人が受け止める。
「蓮、行け!」
蓮は妖怪の懐へ入り込む。
封印石を握っている腕を狙う。
「返せ!」
天照を振り抜く。
ザンッ!
妖怪の手から封印石が弾き飛ばされた。
湊が走る。
「俺が!」
落ちてきた封印石を両手で受け止める。
その瞬間――
封印石が強く光った。
蓮の天照も同時に輝く。
妖怪が叫ぶ。
「その刀……またか!」
蓮は天照を握り直す。
「何度言っても分からないなら――」
一歩踏み込む。
「ここで終わらせる!」
天照の一閃が妖怪を斬り裂いた。
「グアアアアッ!」
妖怪は黒い煙となって消えていく。
地下室に静けさが戻った。
湊が封印石を見る。
「……今度は守れた」
黒川が頷く。
「これで二つ目だ」
蓮は天照を見る。
「やっぱり、この石は天照と何か関係がある」
隼人も頷く。
「間違いない」
しかし、次の瞬間。
封印石に刻まれていた紋様が、二人の目の前で淡く光った。
湊が気づく。
「これ……地図じゃない?」
黒川が石を覗き込む。
そこには、まだ見たことのない場所を示す紋様が浮かんでいた。
蓮は顔を上げる。
「次の封印石の場所かもしれない」
隼人が静かに言う。
「なら、急ぐぞ」
「うん」
四人は新たな手掛かりを手に、地下室を後にした。
だがその頃。
遠く離れた場所で、獄牙は二つの封印石の反応を感じ取っていた。
「……二つ目まで奪われたか」
獄牙の目が鋭くなる。
「次は、俺が直接動く」
第36話 完




