第33話「選ばれし者」
洞窟の中。
蓮たちは、台座の上に戻った封印石を見つめていた。
「さっきの反応……何だったんだ?」
蓮が隼人を見る。
「お前、何か知ってるだろ」
隼人はしばらく黙っていた。
「……天照は普通の刀じゃない」
「それは分かってる」
「昔、玄冥が封印された時にも、その刀は存在していた」
蓮が驚く。
「玄冥が封印された時に?」
「ああ」
隼人は封印石を見る。
「天照は、玄冥を封じるために使われた力の一つだ」
黒川が眉をひそめる。
「なら、なぜ今も蓮が使える?」
「分からない」
隼人は首を振る。
「ただ……天照を持つ者は、封印に関わる場所で力を引き出せる」
蓮は刀を見る。
「だから封印石と反応したのか」
「おそらくな」
湊が封印石に近づく。
「じゃあ、この石も天照と関係がある?」
黒川が答える。
「可能性は高い」
その時。
洞窟の入口から物音がした。
「……誰か来る」
蓮が天照を構える。
だが、現れたのは妖怪ではなかった。
一人の男が立っている。
「隼人」
隼人の表情が険しくなる。
「……お前」
男は蓮たちを見る。
「封印石を見つけたか」
「誰だ?」
蓮が尋ねる。
男は答えず、隼人へ視線を向ける。
「まだそんな連中と行動しているのか」
「関係ない」
隼人が刀を抜く。
男も刀に手をかける。
「ならば、いずれ敵になるな」
「待て!」
蓮が前に出る。
男は蓮を見る。
「天照……」
一瞬だけ驚いた表情を見せる。
「その刀を持っているのか」
「知ってるのか?」
「……いや」
男は背を向ける。
「今はまだ、お前たちと戦うつもりはない」
そのまま洞窟を出ていく。
蓮は隼人を見る。
「知り合いなのか?」
「……昔の仲間だ」
隼人は刀を収める。
「でも、今は違う」
湊が尋ねる。
「敵なの?」
隼人は男が消えた方向を見る。
「分からない」
洞窟の奥。
封印石が再び淡く光った。
蓮は天照を握る。
玄冥。
封印石。
そして天照。
まだ知らないことが多すぎる。
「……もっと調べよう」
蓮が言う。
黒川と湊も頷いた。
隼人も静かに歩き出す。
四人は洞窟を後にした。
第33話 完




