第32話「封印石」
山道を進んだ蓮たちは、崖の下にある洞窟へ辿り着いた。
「ここだ」
湊が地図を見る。
「地図に書かれていた場所と一致してる」
隼人が洞窟の奥を見る。
「気をつけろ」
「何かいる?」
蓮が尋ねる。
「妖気が濃い」
四人は洞窟へ入った。
奥へ進むにつれ、壁に古い文字が増えていく。
やがて、広い空間に出た。
中央には石の台座。
その上に――
黒い石が浮かんでいた。
「封印石……!」
湊が声を上げる。
蓮が近づこうとした、その時。
「遅かったな」
奥から声が響いた。
全員が振り返る。
暗闇から、一体の妖怪が姿を現した。
その妖怪を見た瞬間、隼人の表情が変わった。
「……お前」
蓮が隼人を見る。
「知ってるのか?」
隼人は刀を抜いた。
「こいつは……俺の村を襲った妖怪だ」
妖怪が笑う。
「まだ生きていたか」
隼人の手に力が入る。
「忘れるものか……」
蓮が隼人の前に立つ。
「一人で戦うな」
「……」
「俺たちもいる」
隼人は蓮を見る。
「……分かった」
妖怪が封印石へ手を伸ばす。
「王のために、これはもらっていく」
黒川が札を構える。
「させるか!」
札が飛ぶ。
妖怪が腕で弾き飛ばす。
「邪魔をするな!」
妖怪が突進する。
蓮と隼人が同時に動いた。
ガキィン!
二人の刀が妖怪の攻撃を受け止める。
「隼人!」
「分かってる!」
二人が左右に分かれる。
蓮が正面から斬り込み、隼人が背後へ回る。
ザンッ!
妖怪の背中に傷が入る。
「ぐっ……!」
妖怪が怒り狂う。
「人間ごときが!」
妖気が膨れ上がる。
黒川が叫ぶ。
「蓮、隼人! 下がれ!」
だが、妖怪は二人へ向かって突っ込んだ。
その瞬間――
洞窟の奥で、封印石が強く光った。
蓮の天照も同時に輝く。
「まただ……」
蓮が天照を見る。
封印石と天照が共鳴している。
隼人も気づいた。
「……天照が反応してる」
妖怪が封印石を見る。
「まさか……」
その表情が初めて崩れた。
「その刀……!」
蓮は天照を握る。
「何を知ってる?」
妖怪は答えない。
ただ、封印石へ向かって走った。
「渡すか!」
蓮が追う。
しかし――
妖怪の手が封印石に触れた瞬間、洞窟全体が揺れ始めた。
ゴゴゴゴゴ……。
「何だ!?」
湊が叫ぶ。
封印石から強烈な光が放たれる。
妖怪が苦しそうに叫んだ。
「ぐあああっ!」
そして、その身体が吹き飛ばされた。
封印石は台座へ戻る。
蓮たちは呆然とする。
隼人が呟いた。
「……選んだのか」
「何を?」
蓮が聞く。
隼人は封印石と天照を交互に見る。
「この石は、誰にでも触れられるわけじゃない」
蓮は石を見つめた。
まだ、この封印石には秘密がある。
第32話 完




