第31話「謎の少年」
山の奥から、妖怪が姿を現した。
四本の腕を持つ、大型の妖怪だった。
「封印石は……どこだ」
妖怪の視線が、山奥へ向く。
蓮が天照を構える。
「お前に渡すわけにはいかない」
隣に立つ少年も刀を抜いた。
「こいつは俺が斬る」
蓮が少年を見る。
「一人でやる気か?」
「お前は後ろにいろ」
「嫌だね」
蓮は前へ出る。
「俺も戦う」
少年は蓮を見る。
「……勝手にしろ」
妖怪が四本の腕を振り上げる。
「死ね!」
一気に襲いかかってきた。
ガキィン!
蓮が一撃を受け止める。
「重い……!」
二本目の腕が迫る。
その瞬間、少年が横から斬り込んだ。
ザンッ!
妖怪の腕に傷が入る。
「今だ!」
少年が叫ぶ。
蓮はすぐに踏み込んだ。
「はあっ!」
天照が妖怪の胸を斬る。
「グオオッ!」
妖怪が後退する。
黒川が札を投げる。
「動きを止める!」
札が妖怪の足に張り付く。
しかし妖怪は力ずくで札を破った。
「まだ動けるのか!」
湊が叫ぶ。
妖怪が蓮たちへ突っ込む。
少年が前へ出る。
「右は任せろ!」
「分かった!」
二人は同時に動いた。
蓮が左から斬り込み、少年が右から攻撃する。
妖怪の動きが乱れる。
「今だ!」
蓮が一歩踏み込む。
天照が強く光る。
「これで終わりだ!」
一閃。
妖怪の身体が大きく揺れる。
少年も同時に刀を振り抜いた。
ザンッ!
妖怪は黒い煙となって消えていった。
蓮は息を整える。
「……倒した」
少年が刀を収める。
「悪くない」
「上から目線だな」
蓮が苦笑する。
少年は山奥を見る。
「封印石は、あの先だ」
湊が尋ねる。
「君は何で封印石を探してるの?」
少年は少し黙った。
「妖怪に渡れば、玄冥の力が戻る」
黒川が目を細める。
「お前も玄冥を知っているのか」
「ああ」
少年は三人を見る。
「俺も、あいつを止めるために動いている」
蓮が驚く。
「じゃあ、俺たちと同じじゃん」
「目的は同じでも、やり方は違う」
少年はそう言って歩き出す。
蓮が追いかける。
「だから、名前くらい教えろよ」
少年は振り返った。
「……神崎 隼人」
そう名乗った。
蓮は頷く。
「俺は蓮。よろしく、隼人」
隼人は小さく頷いた。
「……ああ」
四人は山の奥へ進んでいく。
その先には、封印石が眠る場所がある。
第31話 完




