第30話「次の封印石」
地下室から持ち帰った地図を、三人は山道で広げていた。
「この印……次の封印石の場所だと思う」
湊が地図を指差す。
黒川が周囲を見る。
「ここからなら、そう遠くない」
蓮は天照を背負い直す。
「行こう」
三人は山の奥へ進んだ。
しばらく歩くと、古い石橋が見えてきた。
その手前で、蓮が足を止める。
「……誰かいる」
橋の向こうに、一人の少年が立っていた。
黒い服を着て、腰には刀を差している。
少年は三人を見ると、ゆっくり口を開いた。
「お前たちも、封印石を探しているのか?」
蓮が警戒する。
「お前は誰だ?」
「それを答える前に聞きたい」
少年の視線が、蓮の天照へ向く。
「その刀……どこで手に入れた?」
蓮は柄に手を添える。
「これは天照だ」
少年の表情が変わった。
「……天照」
黒川が少年を睨む。
「お前、この刀を知っているのか?」
少年は答えない。
代わりに、橋の先を指差した。
「その先には封印石がある」
湊が驚く。
「本当に?」
「ああ」
「じゃあ、そこまで案内してくれ」
蓮が言う。
少年は首を横に振った。
「断る」
「なんでだよ?」
「お前たちには、まだ早い」
蓮が眉をひそめる。
「どういう意味だ?」
少年は刀に手をかける。
「確かめさせてもらう」
「何を?」
「お前が、天照を持つ資格があるのかを」
次の瞬間。
少年が一気に踏み込んだ。
キィン!
蓮が天照を抜き、攻撃を受け止める。
「速い!」
少年は一歩下がる。
「なるほど」
蓮も構え直す。
「いきなり斬りかかるなんて、どういうつもりだ!」
「確かめているだけだ」
再び少年が迫る。
ガキィン!
刀と刀がぶつかる。
蓮は押されながらも、修行で身につけた動きで攻撃をかわす。
「昨日までとは違う……!」
黒川が呟く。
蓮は踏み込む。
しかし少年は簡単に攻撃をかわした。
「まだ甘い」
少年の刀が蓮の首元で止まる。
「……!」
「今のままでは、天照を持っていても死ぬ」
少年は刀を収める。
蓮は悔しそうに拳を握った。
「お前……何者なんだ?」
少年は少し黙った。
「俺の名は――」
その瞬間。
遠くから妖気が膨れ上がった。
少年が振り返る。
「……来たか」
山の奥から、地面を揺らすような咆哮が響く。
「グオオオオッ!」
湊が青ざめる。
「妖怪……!」
少年は刀を抜く。
「話は後だ」
蓮も天照を構える。
黒川が周囲を警戒する。
「封印石の場所が、近い」
山の奥。
封印石を狙う妖怪が、こちらへ向かっていた。
第30話 完




