第29話「地下の妖怪」
地下室に妖気が広がる。
蓮は天照を構えた。
「封印石はどこだ?」
妖怪は笑う。
「もうここにはない」
「なら、誰が持っていった?」
「それを知ってどうする?」
妖怪が一気に距離を詰める。
「聞き出す!」
蓮も踏み込む。
ガキィン!
天照と妖怪の爪がぶつかった。
蓮は押し返される。
だが、すぐに体勢を立て直す。
「昨日までとは違う……!」
黒川が後ろから叫ぶ。
「力任せになるな!」
蓮は一度息を吐く。
昨日の修行を思い出す。
力を入れすぎない。
身体の動きを止めない。
「……分かった」
妖怪が再び襲いかかる。
蓮は横へかわす。
そのまま一歩踏み込み――
「そこだ!」
天照を振り抜く。
ザンッ!
妖怪の腕を斬り裂いた。
「グアッ!」
妖怪が後退する。
黒川が驚く。
「動きが変わったな」
蓮は天照を構え直す。
「まだ終わってない」
妖怪が怒りの声を上げる。
「人間ごときが!」
妖気が一気に膨れ上がる。
地下室の壁が震える。
湊が後退する。
「強くなってる……!」
黒川が札を構える。
「蓮、一人では危険だ!」
「分かってる!」
黒川が札を放つ。
「封!」
札が妖怪の足に張り付く。
動きが止まった。
「今だ!」
蓮が走る。
しかし――
妖怪が無理やり札を引き剥がした。
「なっ!」
妖怪の拳が蓮へ迫る。
ガンッ!
天照で受け止める。
「ぐっ……!」
蓮の足が床を滑る。
「蓮!」
湊が叫ぶ。
蓮は歯を食いしばる。
「まだ……!」
天照が再び光る。
蓮は身体を低くする。
「これで……!」
一気に踏み込む。
「はあっ!」
ザンッ!
今度は妖怪の胸を斬り裂いた。
妖怪が膝をつく。
「……馬鹿な……」
黒い煙が身体から漏れ始める。
「我らの王は……すでに……」
妖怪は最後まで言葉を続けることなく、黒い煙となって消えた。
蓮は天照を下ろす。
「……勝った」
黒川が近づく。
「修行の成果は出たな」
湊が周囲を見る。
「でも、封印石はない」
蓮は台座を見る。
「じゃあ、妖怪の仲間が持っていったってことか」
黒川が頷く。
「そう考えるのが自然だ」
湊が床に落ちているものを見つける。
「待って」
拾い上げたのは、古びた紙片だった。
そこには地図の一部が描かれている。
湊が目を見開く。
「これ……次の場所かもしれない」
蓮が覗き込む。
地図には、山の奥にある一つの場所が印されていた。
「行こう」
黒川が頷く。
「ただし、次はもっと警戒する」
三人は地下室を後にした。
封印石は、すでに妖怪たちの手に渡っている。
そして蓮たちは、次の封印石を追うことになる。
第29話 完




