第26話「敗北」
山を下りた蓮たちは、しばらく無言で歩いていた。
蓮は天照を握ったまま俯いている。
「……勝てなかった」
湊が蓮を見る。
「でも、一つは守れた」
「それでもだ」
蓮は拳を握る。
「獄牙に、ほとんど何もできなかった」
黒川が静かに言う。
「今のままでは、次に戦っても勝てないだろう」
「……」
蓮は天照を見る。
「もっと強くならないと」
湊も口を開く。
「俺も、何かできるようになりたい」
黒川が湊を見る。
「無理に戦う必要はない」
「分かってる。でも、二人に守られてばかりなのは嫌なんだ」
蓮が湊を見る。
「だったら、俺たちと一緒に調べよう」
「うん」
黒川が頷く。
「まずは獄牙が持っている封印石を取り戻す方法を探す」
「それと、残りの封印石もだな」
蓮が言う。
黒川は頷いた。
「そうだ」
三人は歩き出した。
その頃――
山の奥。
獄牙は奪った封印石を手にしていた。
黒い石が淡く光る。
「一つは手に入れた」
獄牙は石を見つめる。
「だが、まだ足りない」
その脳裏に、あの存在が浮かぶ。
玄冥。
すでに目覚めている、百鬼の王。
「王はすでに目覚めた」
獄牙は静かに呟く。
「ならば、あとは封じられた力を取り戻すだけだ」
封印石が強く光る。
獄牙はそのまま山の奥へ消えていった。
一方、蓮は家に戻っていた。
天照を机の上に置く。
「……獄牙に勝つ」
刀身に手を添える。
すると、天照が僅かに光った。
蓮はその光を見つめる。
「お前の力を、もっと引き出してみせる」
翌日。
蓮たちは、再び集まることになる。
獄牙に対抗するために。
そして、玄冥が取り戻そうとしている力の正体を知るために。
第26話 完




