第25話「巨妖」
山道に立つ巨大な妖怪。
蓮は天照を構えた。
「お前……何者だ?」
「我が名は、獄牙」
獄牙は地面に置かれた二つの封印石を見る。
「それを渡せ」
「断る!」
蓮が先に斬りかかる。
ガキィン!
天照が獄牙の腕に当たる。
しかし、傷は浅い。
「硬い……!」
獄牙が腕を振る。
「遅い」
ドンッ!
蓮の身体が吹き飛ばされる。
「蓮!」
湊が駆け寄る。
「大丈夫か?」
「……大丈夫」
蓮は立ち上がる。
その間に、獄牙が封印石へ近づく。
「させるか!」
黒川が札を放つ。
「封!」
札が獄牙の腕に張り付く。
動きが止まった。
「蓮!」
「分かってる!」
蓮が走り出す。
天照を振り抜く。
「はあっ!」
ザンッ!
今度は獄牙の肩を斬った。
「……!」
獄牙が初めて目を細める。
「その刀……」
「天照だ!」
獄牙が天照を睨む。
「その刀を持つ者が、再び現れたか……」
「どういう意味だ!」
獄牙は答えない。
身体から黒い妖気を噴き出す。
バキッ!
札が破られた。
「なっ……!」
獄牙が黒川へ腕を振る。
「黒川!」
黒川が吹き飛ばされる。
その隙に獄牙は二つの封印石へ手を伸ばした。
「渡さない!」
蓮が斬りかかる。
獄牙は二つの封印石を掴む。
「これで……!」
「させるか!」
蓮の天照が獄牙の腕を弾いた。
獄牙の手から、もう一つの封印石が落ちる。
黒川がすぐに拾い上げる。
「一つは渡さん!」
獄牙は奪った封印石を見る。
そして、残った一つを見る。
「……一つで十分だ」
「何?」
獄牙は笑う。
「残りもいずれ手に入れる」
黒い妖気が獄牙を包む。
「待て!」
蓮が追おうとする。
しかし、獄牙の姿は完全に消えた。
蓮は立ち止まる。
「……一つ奪われた」
黒川が手元の封印石を見る。
「だが、一つは守れた」
湊が石碑を見る。
「これで、獄牙が持っているのは一つ。俺たちが持っているのは一つ……」
蓮は頷く。
「残りがどこにあるのかも分からない」
黒川は険しい表情を浮かべる。
「そして獄牙は、必ず残りを探す」
蓮は天照を握りしめた。
「だったら、俺たちも先に見つける」
三人は石碑を見つめる。
封印石を巡る戦いは、始まったばかりだった。
第25話 完




