第23話「黒い石」
放課後。
蓮たちは黒川の家に集まっていた。
机の上には、昨日見つけた黒い石が置かれている。
「これ、本当に妖怪が探してるものなのか?」
蓮が石を見る。
「分からない」
黒川は慎重に答える。
「ただ、あの妖怪が取り戻そうとしていたのは間違いない」
湊が古い資料を広げる。
「この石について書かれてるものがないか、探してみる」
三人で資料を調べ始める。
しばらくして――
「あった」
湊が一冊の古い記録を開く。
そこには、黒い石によく似た絵が描かれていた。
「これ……」
蓮が覗き込む。
絵の横には、
『封印石』
と書かれている。
「封印石?」
「詳しくは書かれてない」
湊がページをめくる。
「でも、妖怪を封じるために使われたものらしい」
黒川が石を見る。
「なら、妖怪たちが探している理由も分かる」
「これを壊せば、もっと妖怪が出てくる?」
蓮が尋ねる。
「可能性はある」
その時。
蓮の手が、石に触れた。
「……!」
天照が突然光る。
「蓮!」
蓮の視界が真っ白になる。
次の瞬間――
燃える森。
逃げ惑う人々。
無数の妖怪。
そして、森の中央に立つ一人の男。
男は天照を握っていた。
蓮は、その顔を見ようとする。
しかし、炎に遮られて見えない。
「誰なんだ……!」
男が振り返る。
その瞬間、景色が消えた。
「……!」
蓮は現実に戻った。
「大丈夫か?」
黒川が肩を支える。
「今……また見えた」
「何を?」
蓮は息を整えながら話す。
「燃えてる森と、妖怪。それから天照を持った人」
湊が考え込む。
「この石に触れたから見えたのか?」
「分からない」
蓮は石を見る。
「でも、今までよりはっきりしてた」
黒川が石を布で包む。
「もう触るな」
「うん」
その時。
窓の外から、何かが落ちる音がした。
ガタンッ!
三人が振り返る。
黒川がすぐに窓へ向かう。
外には誰もいない。
ただ、庭の地面に――
黒い石がもう一つ落ちていた。
湊が息を呑む。
「……同じ石?」
黒川が外へ出る。
石を確認する。
「同じだ」
蓮が窓から外を見る。
「じゃあ、これを置いたのは……」
その瞬間。
屋根の上から声が響いた。
「それは返してもらう」
三人が見上げる。
昨日の妖怪が立っていた。
「またお前か!」
蓮が天照を抜く。
妖怪は屋根から飛び降りる。
「その石は、我らには必要だ」
「何に使うんだ!」
「知る必要はない」
妖怪が襲いかかる。
蓮も迎え撃つ。
ガキィン!
天照と爪がぶつかった。
黒川が札を構える。
「蓮、無理に倒そうとするな!」
「分かってる!」
湊は後ろから石を守る。
妖怪は蓮と数度刃を交えると、黒い石へ向かって走った。
「そっちか!」
蓮が追う。
妖怪が石へ手を伸ばす。
しかし――
天照が妖怪の腕を弾いた。
「渡さない!」
妖怪は一瞬、蓮を睨む。
「……覚えておけ」
妖怪は黒い煙に包まれ、その場から姿を消した。
蓮は天照を下ろす。
「また逃げた……」
黒川が首を振る。
「今回は石を取り戻すのが目的だった」
湊が石を見る。
「ということは、やっぱりこの石は重要なんだ」
蓮は頷いた。
「うん」
机の上に置かれた二つの黒い石。
そして蓮の頭に浮かんだ、天照を持つ謎の人物。
妖怪たちが探すものと、天照の過去。
二つの謎が、少しずつ繋がり始めていた。
第23話 完




