第21話「広がる異変」
翌日の放課後。
蓮たちは学校近くの公園に集まっていた。
「昨日の印……まだ気になるな」
湊がスマホを見ながら呟く。
「何か分かったのか?」
「いや、まだ何も」
湊は首を振る。
「でも、昨日の資料に書いてあったことを考えると、あの印は他の場所にもあるかもしれない」
黒川が頷く。
「探してみる価値はある」
三人は公園周辺を調べ始めた。
しばらく歩いたところで、蓮が足を止める。
「……あれ」
公園の奥にある古い石垣。
その一角に、見覚えのある印が刻まれていた。
「まただ」
湊が近づく。
「昨日のものと同じ」
黒川が周囲を見る。
「妖怪の気配は?」
蓮は目を閉じる。
「……今はいない」
湊が印を撮影する。
その時だった。
遠くから悲鳴が聞こえた。
「誰かいる!」
蓮が走り出す。
黒川と湊も続く。
公園を抜けた先の路地で、一人の男性が倒れていた。
その前に、妖怪が立っている。
「逃げろ!」
蓮が叫ぶ。
妖怪が振り返る。
「人間……」
蓮は天照を抜く。
「その人から離れろ!」
妖怪が笑う。
「邪魔をするか」
妖怪が蓮へ向かって突っ込んでくる。
ガキィン!
天照と爪がぶつかった。
蓮は踏ん張る。
「こいつ……!」
今までの妖怪よりも力が強い。
黒川が札を構える。
「蓮、下がれ!」
「分かった!」
蓮が横へ飛ぶ。
黒川が札を放つ。
「封!」
札が妖怪の腕に張り付く。
しかし妖怪は力任せに札を引き剥がした。
「効かない……!」
黒川の表情が変わる。
妖怪が蓮へ迫る。
「蓮!」
湊が近くにあった木の棒を拾い、妖怪へ投げつける。
妖怪が一瞬だけ振り向いた。
その隙に蓮が踏み込む。
「はあっ!」
天照が妖怪の肩を斬る。
「グアッ!」
妖怪が後ろへ下がった。
だが、倒れない。
「まだだ!」
蓮が構える。
妖怪も再び身構えた。
その瞬間――
妖怪の身体に刻まれていた黒い模様が赤く光った。
「何だ……?」
地面に、あの印が浮かび上がる。
黒川が叫ぶ。
「蓮、離れろ!」
蓮が飛び退く。
印から黒い煙が噴き出した。
妖怪はその煙に包まれる。
そして――
姿が消えた。
「また逃げた……」
蓮が息を切らす。
黒川は首を横に振った。
「違う」
「え?」
「今回は、逃げたんじゃない」
黒川は地面に残った印を見る。
「この印を使って移動したんだ」
湊が驚く。
「じゃあ、あの印は……」
「妖怪たちが移動するためのものなのかもしれない」
蓮は印を見つめる。
昨日まで知らなかった妖怪たちの動き。
そして、各地に現れる謎の印。
玄冥が目覚めたことで、何かが始まっている。
そんな感覚が、蓮の中で強くなっていった。
「……止めないと」
天照を握る。
「このまま妖怪が増えたら、もっと人が襲われる」
黒川が頷く。
「だからこそ、もっと力が必要だ」
湊も二人を見る。
「俺もできることを探す」
三人は、それぞれの決意を胸に公園を後にした。
その頃。
遠く離れた場所。
一つの印が、地面で赤く光る。
その中心から、別の妖怪が姿を現した。
「人間の世界……」
妖怪は周囲を見渡す。
「ここから始めるか」
第21話 完




