第20話「謎の印」
翌日の放課後。
蓮、黒川、湊の三人は、黒川が知っている古い資料館を訪れていた。
「ここに妖怪に関する記録がある」
黒川が棚を見渡す。
「この印について調べるんだよな?」
湊が尋ねる。
「ああ」
三人は古い資料を一つずつ調べていく。
「これも違う……」
「こっちにもない」
なかなか手掛かりは見つからない。
しばらくして、湊が一冊の古い本を取り出した。
「これ……」
表紙には何も書かれていない。
中を開く。
古い文字の中に、見覚えのある印が描かれていた。
「これだ!」
蓮が身を乗り出す。
その横には、短い文章が残されていた。
『封じられしもの、再び世に現れる時、百鬼の王もまた目覚める』
「百鬼の王……」
蓮が呟く。
黒川がページをめくる。
そこには、さらに一つの名前が記されていた。
玄冥
「やっぱり……」
湊が息を呑む。
黒川は文章を読み続ける。
「この印は、封印そのものじゃない」
「じゃあ何なんだ?」
「妖怪が現れた場所を示すためのもの……そう書かれている」
蓮が印を見る。
「妖怪が現れた場所を?」
「ああ」
湊が考える。
「じゃあ、妖怪たちは自分たちで印を残してるのか?」
「その可能性がある」
その時。
資料館の外から、何かが落ちる音がした。
ガシャーン!
三人が振り返る。
「今の音……」
黒川が立ち上がる。
「外を確認する」
三人が外へ出る。
しかし、誰もいない。
ただ、地面には黒い跡が残っていた。
蓮が天照に手を添える。
「また妖怪か?」
黒川が跡を確認する。
「新しい」
湊が周囲を見る。
「さっきまで、こんなのなかった」
その時。
遠くの建物の屋上に、何かが立っていた。
「……!」
蓮が気づく。
黒い影。
こちらを見ている。
「誰だ!」
蓮が叫ぶ。
影は動かない。
そして、ゆっくり手を上げた。
その足元に――
赤く光る印が浮かび上がる。
「……あの印!」
湊が叫ぶ。
次の瞬間、影は屋上から姿を消した。
蓮は追おうとする。
「待て!」
黒川が止める。
「今は追うな」
「でも!」
「相手の目的が分からない」
蓮は悔しそうに拳を握る。
「……分かった」
三人は再び資料館へ戻る。
机の上には、先ほどの古い記録。
そして、その最後のページには――
『百鬼の王が目覚めし時、印は各地に現れる』
と記されていた。
蓮は静かにページを見つめる。
「玄冥が目覚めたから……印が増えてるのか」
黒川は答えなかった。
ただ、険しい顔で古い記録を見つめていた。
第20話 完




