第19話「三人の初調査」
蓮、黒川、湊の三人は、学校から少し離れた路地を歩いていた。
「この辺りだ」
湊が足を止める。
「昨日、ここで黒い跡を見つけた」
蓮が地面を見る。
そこには、黒い染みのような跡が残っていた。
黒川がしゃがみ込む。
「妖怪の痕跡だな」
「やっぱり……」
湊が周囲を見回す。
「でも、昨日はここまでしか分からなかった」
蓮は周囲を警戒する。
「何かいる気がする」
黒川が頷く。
「気を抜くな」
三人は路地の奥へ進む。
すると――
「グルル……」
低い唸り声。
蓮が天照を抜く。
キィン。
刀身が淡く光る。
「来る!」
路地の奥から妖怪が飛び出した。
蓮へ向かって爪を振り下ろす。
ガキィン!
天照が爪を受け止めた。
「くっ……!」
蓮が押し返される。
黒川が札を投げる。
「蓮、右!」
蓮が横へ飛ぶ。
札が妖怪の肩に張り付いた。
「今だ!」
蓮が踏み込む。
「はあっ!」
天照が妖怪の腕を斬り裂く。
「グアッ!」
妖怪が後ろへ下がる。
だが、今度は逃げなかった。
「まだやる気か……!」
妖怪が地面を蹴る。
蓮も迎え撃つ。
爪と天照が何度もぶつかる。
ガキン!
ガキィン!
「こいつ……今までの妖怪より強い!」
蓮が一歩下がる。
黒川が札を構える。
「蓮、動きを止める!」
「分かった!」
黒川が札を放つ。
「封!」
札が妖怪の胸に張り付く。
妖怪の動きが鈍る。
「今だ!」
蓮が走る。
天照を両手で握り――
「はああっ!」
一閃。
妖怪の身体から黒い煙が噴き出す。
「グ……グア……」
妖怪は膝をつく。
そして、そのまま消えていった。
蓮は息を切らしながら天照を下ろす。
「……倒した」
黒川が頷く。
「よくやった」
湊は驚いた顔で二人を見る。
「本当に倒した……」
蓮は苦笑する。
「俺たちも毎回勝てるわけじゃないけどな」
その時。
湊が壁を見つめた。
「……待って」
「どうした?」
「これ」
壁には、あの奇妙な印が刻まれていた。
黒川が近づく。
「またか」
蓮も印を見る。
「妖怪が現れた場所には、必ずある」
湊が呟く。
「でも……」
「ん?」
湊は倒した妖怪が消えた場所を見る。
「今の妖怪、最後にこの印を見てた」
三人が印を見る。
ただの印ではない。
妖怪たちは、この印を何かの目印として利用しているのかもしれない。
黒川が立ち上がる。
「この印について調べる必要がある」
蓮は頷く。
「うん」
湊も頷いた。
三人は印を写真に残し、その場を後にした。
その夜。
誰もいなくなった路地。
壁に刻まれた印が、ほんの一瞬だけ赤く光った。
第19話 完




