表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖怪大戦記  作者: 湯けむり作家
第1章「封印崩壊編」
PR
2/34

第2話「天照の選択」

蓮は、手にした天照を見つめていた。


「……これ、本物なのか?」


刀身からは、まだ僅かに光が残っている。


目の前には、玄冥。


巨大な身体から放たれる妖気に、蓮は思わず息を呑んだ。


「なあ……」


蓮は震える声で尋ねる。


「なんで俺を襲わないんだ?」


玄冥は蓮を見る。


「襲う必要がないからだ」


「必要がない?」


「今のお前は、天照を持っているだけにすぎぬ」


玄冥の言葉に、蓮は眉をひそめる。


「どういう意味だよ」


「その刀を持つ資格と、その力を使いこなす力は別物だ」


蓮は天照を見る。


「俺には……使えないのか?」


「今はな」


玄冥は静かに答えた。


「なら、これから強くなればいい」


蓮自身も驚くほど、その言葉が自然に口から出た。


玄冥の口元がわずかに動く。


「面白い」


「何が?」


「恐怖しているにもかかわらず、逃げようとはしない」


玄冥は蓮に背を向ける。


「その刀がお前を選んだ理由も、いずれ分かる」


「待てよ!」


蓮が呼び止める。


「お前はこれから何をするつもりなんだ?」


玄冥は振り返る。


「まだ決めてはいない」


「だが……」


赤い瞳が鋭く光る。


「長き眠りから目覚めたのだ。まずは、この時代を知るとしよう」


その言葉を最後に、玄冥の身体が黒い霧に包まれる。


蓮が目を凝らした時には、玄冥の姿は消えていた。


「……消えた?」


静まり返った境内。


蓮は一人残された。


「俺……どうすればいいんだよ」


手元の天照を見る。


「これを置いて帰るわけにもいかないよな……」


蓮は神社にあった布で天照を包んだ。


そのまま山を下りていく。


家に帰る頃には、すっかり日が暮れていた。


「ただいま」


「おかえり。遅かったね」


母親がリビングから顔を出す。


「どこ行ってたの?」


蓮は一瞬、言葉に詰まった。


「……ちょっと山まで」


「山?」


「うん。ちょっと歩いてただけ」


「そう。暗くなる前に帰ってきなさいよ」


「分かった」


母親は、それ以上聞かなかった。


蓮も、神社で起きたことを話すことはなかった。


夜。


自分の部屋に戻った蓮は、布に包んだ天照を机の横に置いた。


「玄冥……百鬼の王……」


何度考えても信じられない。


だが、あの刀はここにある。


蓮が布を少し開いた。


その瞬間。


キィン……。


天照が微かに光った。


「……!」


蓮は息を止める。


しかし、それ以上の変化は起きなかった。


「……一体、何なんだよ」


蓮は天照を見つめ続けた。


その頃。


日本のどこかにある古い洞窟。


誰もいないはずの暗闇で、何かが動いた。


ゴトッ。


さらに奥から、低い声が響く。


「……目覚めたか」


暗闇の中で、赤い目が開く。


そして別の場所でも。


古い森。


山奥。


忘れられた祠。


長い間眠っていた何かが、ゆっくりと動き始めていた。


玄冥の目覚めは、まだ誰にも知られていない。


だが、日本のどこかで確実に異変は始まっていた。


第2話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ