第16話「天照の秘密」
放課後。
蓮と黒川は、いつもの公園にいた。
蓮は天照を見つめている。
「なあ、黒川」
「何だ?」
「この刀……何なんだ?」
黒川は少し黙った。
「昨日、お前が見たものか?」
「うん。燃えてる森と、たくさんの妖怪。それに……天照を持った誰か」
黒川は頷く。
「やっぱりな」
「知ってるのか?」
「少しだけ」
黒川は天照を見る。
「天照は、ただの刀じゃない」
「じゃあ何なんだ?」
「妖怪と戦うために作られた、特別な刀だ」
蓮は驚く。
「誰が作ったんだ?」
「そこまでは分からない」
「なんだよ……」
「でも、一つだけ分かっている」
黒川の表情が真剣になる。
「天照には、持ち主の力に反応する性質がある」
「俺の力に?」
「そうだ。お前が強くなれば、天照も変わっていく可能性がある」
蓮は刀を握る。
「じゃあ、昨日光ったのも……」
「お前の力に反応したんだろう」
蓮はしばらく黙った。
「俺が強くなれば、もっと強くなるのか?」
「可能性はある」
「だったら……」
蓮は天照を見つめる。
「もっと強くならないと」
その時。
天照が突然光った。
「……!」
蓮の頭の中に、また景色が浮かぶ。
燃える森。
逃げ惑う人々。
そして、無数の妖怪。
「まただ……!」
その中に、一人の男が立っている。
その手には天照。
男は何かを叫んでいる。
だが、声は聞こえない。
「誰なんだ……?」
蓮が手を伸ばした瞬間。
景色が消えた。
「……消えた」
黒川が蓮を見る。
「何を見た?」
「前と同じ。でも、今回は少しだけ違った」
蓮は見た光景を話す。
黒川は考え込む。
「それなら、天照がお前に過去を見せているのかもしれない」
「過去?」
「ああ」
「じゃあ、あの人は……」
「天照の昔の持ち主かもしれない」
蓮は驚いた。
「俺以外にも、天照を持ってた人がいたのか?」
「可能性は高い」
その時だった。
公園の入り口から、声が聞こえた。
「天照の昔の持ち主……?」
二人が振り返る。
そこには、誰もいない。
「……誰だ?」
黒川が札を構える。
しかし、気配はすでに消えていた。
蓮は周囲を見回す。
「今、誰かいたよな?」
「……ああ」
黒川は険しい顔をする。
「聞かれていた」
蓮は天照を握る。
「俺たちの話を?」
「ああ」
静かな公園。
二人は警戒しながら辺りを見る。
だが、もう誰の姿もなかった。
その夜。
山の中。
一匹の妖怪が誰かに報告していた。
「天照の過去を調べ始めています」
暗闇の奥から声が返ってくる。
「放っておけ」
「しかし……」
「まだ早い」
赤い瞳が闇の中で光る。
「天照の秘密を知るには、あの少年自身がもっと成長する必要がある」
その声の主は――
玄冥だった。
第16話 完




