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妖怪大戦記  作者: 湯けむり作家
第1章「封印崩壊編」
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12/15

第12話「迫る強敵」

放課後。


蓮は昨日と同じ公園にいた。


「もう一回!」


「焦るな」


黒川の指示を聞きながら、蓮は何度も木刀を振っていた。


「はぁ……はぁ……」


腕が重い。


それでも蓮は止めなかった。


「昨日よりは動けてる」


「本当か?」


「少しだけな」


「少しだけかよ……」


蓮は苦笑する。


その時だった。


黒川の表情が変わった。


「……静かすぎる」


「え?」


さっきまで聞こえていた鳥の声が消えている。


風も止まった。


黒川が周囲を見回す。


「蓮、天照を出せ」


「妖怪?」


「たぶんな」


蓮はすぐに天照を抜いた。


すると、公園の入り口に人影が現れた。


長い黒髪。


人間のような姿。


だが、その目は赤く光っている。


「……お前が天照の持ち主か」


蓮は刀を構える。


「お前も妖怪か?」


「そうだ」


妖怪はゆっくり歩いてくる。


「名を覚える必要はない」


「なんだよ、それ」


「お前はここで終わる」


蓮が踏み込む。


「だったら――」


天照を振り抜く。


しかし。


カキィン!


妖怪は片手で天照を受け止めた。


「……え?」


蓮の目が見開かれる。


「遅い」


妖怪が腕を振る。


蓮の身体が吹き飛んだ。


「蓮!」


地面を転がる。


「ぐっ……!」


立ち上がろうとするが、身体が思うように動かない。


「昨日の妖怪より……強い」


妖怪は蓮へ近づいてくる。


「天照を持っているだけでは、何もできない」


蓮は歯を食いしばった。


「……まだだ」


立ち上がる。


「俺は……まだ終わってない!」


天照を握り直す。


「来い!」


妖怪が一瞬で目の前まで迫る。


蓮は必死に刀を振る。


しかし、すべて避けられる。


「くそっ!」


「力任せでは勝てぬ」


妖怪の蹴りが蓮の腹に入る。


「ぐあっ!」


蓮は地面に倒れた。


黒川が札を投げる。


「蓮から離れろ!」


札が妖怪へ飛ぶ。


しかし、妖怪は手で払い落とした。


「……!」


黒川が驚く。


「札が効かない……」


妖怪は黒川を見る。


「人間が邪魔をするな」


「くっ……!」


黒川が構える。


だが、妖怪の姿が消えた。


「どこへ……?」


次の瞬間。


黒川の目の前に妖怪が現れる。


「黒川!」


蓮が叫ぶ。


妖怪の腕が振り下ろされる。


黒川は間一髪で避ける。


「危な……!」


地面に大きな亀裂が入った。


蓮は天照を握りしめる。


「黒川に……手を出すな!」


身体中が痛い。


それでも立ち上がる。


天照が微かに光る。


妖怪が蓮を見る。


「その目……」


初めて、妖怪の表情が変わった。


「怒りか」


蓮は構える。


「関係ない」


一歩踏み出す。


「守りたいだけだ!」


天照が強く輝いた。


蓮は全力で斬り込む。


妖怪は受け止める。


しかし――


「……!」


今度は妖怪の足が、わずかに下がった。


「今の一撃……」


蓮自身も驚く。


妖怪は天照を見つめる。


「なるほど」


妖怪は後ろへ飛び退いた。


「今日はここまでだ」


「待て!」


「お前はまだ弱い」


妖怪は蓮を見つめる。


「だが、いずれ面白い存在になる」


黒い霧が妖怪を包む。


「その時に、また会おう」


霧が消える。


妖怪の姿もなくなっていた。


蓮はその場に座り込む。


「……勝てなかった」


黒川が近づく。


「でも、生き残った」


「それだけ?」


「今のお前なら、それだけでも十分だ」


蓮は天照を見る。


「もっと強くならないと……」


黒川は頷いた。


「そうだな」


二人は静かに空を見上げた。


第12話 完

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