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世界最強の義兄弟  作者: 白入
『属性決め』編
7/10

第05話 真相


「「いってきまーす」」


 ベルと家を出る。

 昨日のパーティーで食べすぎたな…… まだお腹が重い気がする。


「リクは今日はなにすんの?」

「今日は高等学院の説明会だな。まあ、ベズに行くって決めてるけど」

「そっかー。じゃあ同じだな! 俺も今日説明会だ」


 ベルは光属性だから、光属性の学院『リヒト高等学院』の説明会だ。またリヒトの校長でも来るんだろうか。


「でも、昨日説明受けたんじゃないのか? 長々話してたろ」

「うーん、なんか詳しい説明? みたいな?」

「なるほどねえ」

「リヒトにも科があるみたいでさ! 普通科と冒険科!」

「そうなのか。ベルはどっち――」

「もちろん冒険科!」


 まあ、当たり前だよな。

 ベルの方を見ると目をキラキラさせている。


「そりゃそうか」

「リクはー? もう決めた?」

「まだ迷い中。 今日の説明聞いて決めよっかなって」

「学科いっぱいあるもんな~! 決まったら教えてな!」

「はいはい」


 途中でジオに遭遇する。


「おはよジオ!」

「おう、おはようさん」

「ジオ今日の教室どこだっけ」

「俺らは408教室だな。昨日と同じだ」

「サンキュー」

「そういえばお前らは一緒か! いいなー」

「そうか、ベルは一人だもんな」

「いいな~。 先生とマンツーマンって結構キツいんだぜー」

「ご愁傷様」


 たしかに、一対一で説明受けるのはキツそうだ。しかも相手はリヒトの校長。

 ベルに心底同情する。


「まあまあ、それだけ光属性が希少ってこった。光栄なことじゃねえか! 光だけに!」

「うわ、つまんな」


 ジオの寒いギャグに冷たいベル。ベルは案外ギャグに厳しい。


 そうこうしているうちに、学校に着いていた。


「じゃあ、俺ら4階だから。また後でワルテ集合な」

「おう! てか俺教室どこだっけ……」

「俺らは知らん」


 なんでこの馬鹿が光属性なんだ、まったく。基準が知りたい。

 俺も人の事言えないけどな。


 うろうろしているベルを置いてジオと408教室に向かう。


「どうだリク、学科は決まったか?」

「まだだよ。今日の説明聞いて決めるつもり」

「そうかそうか。スムーズに決まればいいな」

「どうかな。将来やりたいことも特に決まってないしな。迷いまくりそうだ」

「ま、大切なことだ。とことん迷えばいいさ」

「そうだな」


 ドアを開けて教室に入る。ジオと左後ろ窓際の席に座る。

 説明会が始まるまでまだ時間があるようだ。


「なあ、お前が何科に行くか、そろそろ教えてくれてもいいんじゃないか?」

「まーたその話か。そのうち分かるんだからいいだろ?」

「それはこっちの台詞だっつの」


 呆れながら返す。どうしても教えてくれないらしい。


「まあまあ。ほら、先生が来たぞ」


 大きめの音がしてドアが開き、昨日の先生がドスドス入ってきた。少し乱暴な先生みたいだ。怒らせないようにしよう。


「おはよう、諸君。進路について少しは考えてくれたかな?」


 生徒に書類を配りながら話す先生。


「時間はまだある。今日の説明会も参考にしてくれ」


 配り終えた先生は教卓に戻る。


「えー、今日は二つの高等学院について詳しく話していこうと思う。諸君は既に知っていると思うが――」


 その時、静かな音を立てて教室のドアが開く。


「失礼。リク=ブランはいるか?」


 副校長のホルガ―先生だ。


「は、はい。なんですか」


 突然名前を呼ばれて動揺してしまった。心当たりがなくてもこういうのは、怖い。


「校長がお呼びだ。ついてきてくれ」


「わかりました」




「中断してすまない。続けてくれ」


 申し訳程度の気を遣うホルガ―先生。


 俺は席を立って教室を出る。途中不思議そうな顔をしたジオが視界に入る。


(なんだろう。なんか変なことしたっけ……)


 必死に記憶の糸を手繰るが、何も思いつかない。


「今から校長室に来てもらう。なに、怒られるわけじゃないからそこは安心してくれ」


「は、はあ……」


「それよりも、もっと重大な問題だ」


 いや余計に怖いわ!


 色々考えながら副校長について歩く。変な汗が出てきた。


(重大な問題ってなんだ? 最近なにかしたか俺)


 いくら考えても答えが出ない。


 校長室に着いた。


「今から校長と二人で話してもらう。くれぐれも失礼の無いようにな」


 そう言うと副校長は扉をノックする。


「どうぞ」


 中から校長の声が聞こえる。

 俺は扉を開けて中に入った。


「失礼します」


「急に呼び出してすまなかったな。説明会の途中だったろう」


「えぇ、まあ……」


「何故呼び出されたか分からない、そんな顔をしているな」


 そりゃそういう顔になるわな。


「はい。俺はなんで呼び出されたのでしょうか」


 そのまま返してやった。


「ハッハッハ。素直でよろしい」


 軽く笑い飛ばして、すぐ真剣な顔になるセロシア先生。


「実は、『属性決め』の件で話したいことがあってな」


「『属性決め』……ですか? 俺は無属性だったんですよね?」


「問題はそこなんだが…… 実は、リク=ブランは無属性ではない」




 驚きすぎて何も言葉が出ない。



「驚くのも無理はない。順々に説明する」


「――が、これから話すことは基本的に口外無用だ」


「誰にも話しちゃいけないってことですか?」


「そういうことだ。ただ、例外はある」


 口外無用に例外なんてあるのか。意味あるのか? それ。

 何故か心の中で冷静なツッコミをする俺。


「それはベル=ブランだ。あと、お前が普段仲良くしている生徒が何人かいただろう。そいつらだ」


「ジオ達のことですか?」


「そうだ。まあそれについては後で確認する。今は内容が先だ」


 そうだ。重大な問題の中身をまだ教えてもらっていない。


「まず、これを見てほしい」


 そう言って机の下から徐に大きい木箱を取り出した。

 蓋を開けて、重そうに中から取り出したものは…… 水晶玉だ。

 水晶玉を机に置いて木箱をまた机の下に戻すセロシア先生。


「もう少し近付いてくれ。手はかざさなくていい」


「はい」


 言われるままに机に歩み寄る。やっぱり水晶玉はくすんでいる。


(『属性決め』の時ほど緊張してないのに)


 気のせいでもなく、しっかり煤けている。


「どう見える?」


「はあ…… くすんでいるように見えますが」


 質問の意図が分からない。


「その通り、くすんでいる。リク=ブラン。これは、普通ではないのだ」


 どういう意味だ? たしかにジオ達もおかしいとは言っていた。


「この水晶玉は、普段は綺麗に透き通っていて一切の曇りも無い」


 なるほど、ジオ達の言っていたことと一致する。やっぱり俺がおかしかったのか。


「そうなんですね。俺の目がおかしいんでしょうか」


「そういうわけではない。私の目でも同じように見えている」


「無属性の者はこれに手をかざしても何も起こらない。透き通ったままだ」


「だが、お前の場合は違う。お前がこの部屋に入ってきた瞬間、この水晶玉がくすんだのだ。元々くすんでいたわけではない」


「はあ……」


 何が言いたいんだろう。さっさと結論を教えてほしい。


「この反応はどの属性にも当てはまらないのだ」


 やっぱり無属性なのか? 変にもったいぶるなあ。


「いや、どの属性にも、というのは語弊があった。闇以外の属性には当てはまらなかった」


「しかし、無属性にも当てはまらない」


「つまり、リク=ブラン、お前は闇属性なのだ」




「えっ……」



 暫く校長の言っていることが理解できなかった。実際の時間で言えば、2~3秒程だっただろう。それでも、かなり長い時間に感じられた。


「闇属性…… ですか」


「そうだ。闇属性だ。存在は知っているだろう?」


 勿論存在は知っている。8属性の一角だ。都市伝説だと言われているが。


「続けても良いか? どれだけ考えても、今は実感できぬだろう」


 校長の言う通りだ。意味は分かるが、どういうことかはまだわからない。

 とりあえず続きを聞くことにした。


「はい。続きを聞かせてください」


「うむ。思ったより冷静だな。取り乱すかと思ったが」


 フリーズしかけているだけで、同じようなものだろう。


「で、だ。リク=ブランは闇属性なのだが、これは機密性が非常に高いことなのだ」


「まあ、詳しいことは王都で聞いてもらう。ただ、今はできる限り秘匿してほしい、というのが国の考えだ」


 国? そんな大きいものが関わってくるのか? 俺の属性に?


「であるから、お前の属性について、報告する者を制限させてもらう。それがさっき言ったことだ」


 そういえば、さっきベルやジオ達には言っていいと言われた。

 混乱している頭を必死に働かせて校長の言葉に耳を傾ける。


「逆に言えば、それらの者以外には一切話してはならない。親も含めてだ」


 おばさんおじさんにも話しちゃダメなのか。随分と厳しい制限だな。


「なぜベルやジオ達には話していいんですか?」


 思いついた疑問をそのまま校長にぶつける。


「それは、あやつらがお前の仲間になり得るからだ」


 仲間? もう仲間のつもりだったが…… どういう意味で言っているのだろうか。


「いずれ分かる」


 さっきからもったいぶるな、校長(この人)は。


「後ほど、あやつらには『血の契約』をしてもらう。これであやつらから情報が漏れることは無いだろう」


 『血の契約』? 聞いたことないな。


「リク=ブランよ。当面お前に課せられることは、お前の属性を誰にも話さぬことだ。これはお前の命にも関わることだ。心してくれ」


 命? なぜだ?

 さっきから国だの命だのと、大げさな気がする。


「はあ…… わかりました。気を付けます」


「うむ。お前の処遇については、王都にて詳しく説明を受けるだろう。それまでは無属性として振舞っていてくれ」


「ただ、くれぐれもベズ高等学院に行くとかケイン高等学院に行くとは話さぬようにな。面倒なことになる」


「わかりました」


 実際行かないのなら、たしかに面倒なことになるだろう。それくらいは俺でもわかる。


「今はこれくらいだな。何度も言うが、くれぐれも悟られぬようにな」


「はい」


「いったん408教室に戻ってくれ。ジオ=バナーレもいると思うが、まだ言ってはならないぞ。説明会が終わったら仲間達とここに戻ってきてくれ」


「わかりました」


「うむ。では行ってくれ」


「失礼します」


 校長室から出る。


 なんか、夢みたいだな。良くも悪くも。現実味がない。


 闇属性か…… まさか自分が都市伝説になるとは。


 放心気味に408教室のドアを開け、先ほど座っていた席につく。ジオが隣で何か言いたげな顔をしているが、説明会中で喋ることはできない。俺もそれどころじゃない。


 法杖をついて校長の言葉を反芻する。とてもじゃないが説明など聞いている余裕はない。ていうか聞く必要無いし。


 少し高めの空をボーっと眺める。


(闇属性か……)


 予想外すぎて全く実感がわかない。


(そういえば、闇属性だけ学院なかったな。俺はどこに行くんだろう。校長は王都で説明を受けるとか言ってたけど)


 次から次へと疑問が湧いてくる。そしてどれも自分で考えただけじゃ永遠に解決しなさそうだ。


 とりあえず説明会が終わるのを待ってるしかないな。


 あれこれ考えるのをやめてひたすら空を見つめる。


 今日の空は雲一つ無く真っ青で、なんか謙虚だな。



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