解説 本編読了後にお読み下さい
解説的、あらすじです。
必ず、本編終了後に読んで下さい。
ネタバレです!
あまりの長さに活動報告には載せれませんでした。
解説
夫を事故で亡くした、薄紅。
幼い美桜と二人、仲良く暮らす日々。
美桜が4つの時、黒紅が薄紅を見つけて娘と引き換えに連れ去られる。
美桜はこの時から、祖父母に育てられる。
父親と死別、母親が行方不明。
寂しい美桜を助けてくれたのが、幼い頃の健。
この時から、健は美桜の支えになる。
百姫楼に連れて来られた薄紅は、毎日娘の幸せを祈る日々。
辛い生活の中でも、前向きに生きる。
ずっと愛しているのは、死んだ美桜の父親だけ。
どんなに黒紅が想いを寄せても、娘と引き離された恨みから決して心を許さない。
百姫楼に来た人間は、鬼と交わり物の怪になる。
飲食を必要とせず、鬼から得る力で永遠に若くいられる。
そして、人間の世界での記憶は薄れていく。
そんな時、薄紅は銀朱と出会う。
亡き夫を思わせる声を持つ銀朱に、心が揺れる。
最後には小指まで渡してしまう薄紅だが、本当に愛していたかどうかはわからない。
この頃には、夫の記憶などほとんど残っていない。
愛していた記憶さえ、あやふや。
欲望の赴くがままに奪い続ける鬼の中で、薄紅の瞳には銀朱が優しく特別に映っていた。
孤独な鬼の世界で、心の支えになってくれた銀朱。
これが愛なのか、誰にもわからない。
愛してしまったとしても、誰も責める事はできない。
夕鶴は、親に愛されなかった孤独な少女。
銀朱の目に、寂しそうに佇む夕鶴の姿が薄紅と重なる。
消えたいと願う夕鶴を、銀朱は深く考えずに百姫楼に連れて行く。
夕鶴は願いを叶えてくれた銀朱に、特別な思いを抱く。
悲劇は、想いのずれから生じる。
黒紅は決して自分を愛さない薄紅に対して、最後の賭けをする。
薄紅に指を切らせ、呪いをかける。
耐え切れぬ程の苦痛を与え、自分の元へ戻ってくるように。
そうでなければ、死を。
鬼は本来、愛など知らない。
愛し方も知らない。
卑怯な手を使い奪う事しか知らない。
銀朱への薄紅の想いにも気付いていた黒紅。
わざと銀朱をけしかける。
銀朱も鬼。
薄紅に出会うまでは、黒紅と同じ鬼。
人を喰わなかっただけで、信じる事など知らない。
夕鶴は、誰にも愛された事がなかった。
初めて優しくしてくれた薄紅が大好きだった。
けれど、薄紅と黒紅が交わした『夕鶴を元の世界に戻す』
という約束を知らなかった為誤解して薄紅を恨む。
裏切られた思いから、困らせようと指を渡さなかった。
運命の日、薄紅は様子の違う銀朱に気付くが呪いのせいで伝えられない。
けれど、それでも良いと思っていた。
最初から、役目が終われば物の怪としての自分を終わりにしたかったから。
銀朱に惹かれる事に罪悪感もあって、銀朱を恨む気持ちはなかった。
ここで終わるのも良いとさえ思っていた。
薄紅亡き後、銀朱は薄紅を喰い薄紅を恨む事で強い力を手にする。
ただ、心は晴れぬまま。
ある日娘の事を思い出し、興味本位で鳥居をくぐる。
人目見るだけのつもりが、つい心を奪われ攫う。
現実の世界に思いを残さぬよう、記憶を消して連れてくる。
鬼の世界に連れて来られた美桜。
祖父母に育てられ、母親が行方不明だった事もあり控えめで諦めがちな性格。
百姫楼で戸惑いながらも、夕鶴に助けられ過ごす。
現実の世界では、失踪した美桜をさがす健。
一心不乱にさがすも見つからず。
ある日、健は幻を見る。(番外編13約束の前半の白き幻は、薄紅)
銀朱に喰われた薄紅は、成仏できぬまま事の流れを見ていた。
美桜の一大事に、幻となって健を鳥居へと誘う。
健が鬼の世界に行けたのは、薄紅の差しがね。
記憶の戻らない美桜は、薄桃としての現実を受け入れる。
その後、健に逢う事で記憶を取り戻し元の世界へ帰ろうと努力する。
黒紅は薄紅が欲しかっただけで、最初は美桜に興味がなかった。
鬼の世界で出逢い、興味を持つ。
美桜に頬の傷に触れられた時に、美桜の事も欲しいと思い始める。
夕鶴が薄紅と美桜の関係に気付く。
薄紅の死後、真相を知った夕鶴は今度は自分が美桜の力になろうとする。
銀朱に嫌われる覚悟で小箱を渡す。
銀朱、薄紅の想いを知り錯乱。
恨む事で薄紅への想いにけりがついていたのに、誤解だと知り激しく後悔する。
薄紅を亡くしてしまった悲しみ、信じる事ができなかった自分。
銀朱の中で、様々な思いが交差する。
黒紅は美桜を欲しいと思いつつ、薄紅の時ほどの執着心は無い。
薄紅に対する、多少の罪悪感があるのか美桜の帰還に手を貸す。
薄紅への想いに苦しみ、悲しむ銀朱。
美桜はその姿に何故か、惹かれる。
それが同情なのか、何なのかはわからない。
薄紅が桜の木に刻んだ名前は『美桜』
いつか消えてしまう記憶、忘れないように刻んだ娘の名前。
健と共に元の世界に戻った美桜。
今度は鬼の世界と、薄紅だった母親の記憶を亡くす。
鬼の世界に少しの時が流れる。
その間に高校1年生だった、美桜と健は高校3年生になる。
銀朱のつけた炎は燃え上がり、百姫楼を焼き続けた。
夕鶴を助けた黒紅は、自分の家へ連れて行く。
銀朱は、その後も悔やみ続ける日々。
人も喰わず、欲する事もない。
抜け殻のように、ただ生きる。
鬼の体は強くできているが、心は脆い。
思い悩むようには、できていない。
悩み続ける銀朱は、鬼として生きていけない。
ある日、悲痛な美桜の声を聞く。
あまりに悲痛な声に、銀朱は堪らず美桜の前に現れる。
銀朱の事を忘れてしまった美桜。
成長して益々美しく薄紅に似たその顔に、銀朱は邪な考えを抱く。
鬼としての本能が目覚め、美桜を自分のものにしようと企む。
銀朱を思い出した美桜。
健を助け、鬼の世界に戻る事を決める。
誰も助ける事のできない状態だった健を、銀朱が助けてくれた事は事実。
そう気付いた時、美桜は銀朱に感謝の気持ちがわく。
『ありがとう』
美桜が銀朱を見て微笑んだ時、銀朱の心から鬼が消える。
薄紅の事を純粋に想っていた頃に戻り、約束を遂げようと決める。
燃え尽きた百姫楼。
しかし姿を消す事はなく、鬼と欲が存在する限り百姫楼は何度でもそこに現れる。
黒紅の元を出た、夕鶴。
黒紅に心を許しかけていたけれど『鬼を想えど、待つは地獄』
いつ気が変わるかもしれない黒紅の元で、帰りを待つ生活より
通ってきてもらう百姫楼での生活を選ぶ。
それはいつか来るかもしれない銀朱を待つ為なのか、
自分への罰なのかは夕鶴にしかわからない。
黒紅も銀朱も、薄紅の持つ母性にも似た優しさに惹かれていたのかもしれない。
百姫楼には、普段、若い女が攫われてくる。
若く、幼い娘を持つ薄紅の姿は鬼の二人には特別だったのかもしれない。
黒紅は、薄紅を失い人を想う事を止め元の鬼に戻った。
銀朱は元から、優しい鬼。長く生きる運命にはなかったのかもしれない。
銀朱の亡骸を見た者はいない。
銀朱の最期は、想像の域を越えない。
銀朱の最期は、想像におまかせします。
死んだと思うも良し、実はどこかで生きていると思うも良し。
健or美桜の中に入り込んだと思うも良し。
人の心の話なので、心情までは解説ではっきりと書きませんでした。
ただ、全員を幸せにとか、全員が誰かとくっついて終わりにはしたくありませんでした。
百姫楼を残したのもその為です。
過ちも欲も、美しいものも醜いものも。
何もかも混在しています。
その中で自分がどうするか、それが大事だと思います。
薄紅も夕鶴も、幸せだったのかもしれません。
人の心は、その人のものです。
ただ、薄紅はきちんと成仏できたんだと思います。
死後の世界で誰に会いたいのかはわかりませんが、美桜を見守ってくれると思います。
私の稚拙な文章で書かれた物語でしたが、どうだったでしょうか?
もっと上手に書ければと、今回ほど思った事はありませんでした。
いつかもっと上手に書ける日が来たら、手直ししたいと思います。
長いお話読んでくださってありがとうございました。
愛着のある百姫楼のお話。
今後は別の登場人物で、お話をスタートさせる予定です。
では、またその機会に。